獲得された絶望感(盲人ウエカジ @ウエカジハローセンター 公式ブログ)

~網膜色素変性症と司法試験とモー娘。と全盲ヘルパー事業所と・・・~

チャプター3 バスがくるまで ~コンサート遠征に最も適した交通手段を考える~

2020-05-04 23:35:24 | 「目が見えなくなったボクが、どうしてハロプロを好きになるのか。」」
チャプター3  バスがくるまで~コンサート遠征に最も適した交通手段を考える~

哲学者スピノザによれば、人の喜び、幸せとは活動能力を増大させること。

いろいろ解釈はあると思うが、私は、活動能力とは、ひとりで遠くに行けることだと思う。小学生は、わずか半径300メートルぐらいのところで、すべての生活が完結している。でも、いつのころからか、それでは満足ができなくなる、トンネルのその先には何があるのか、橋の向こうにはどんなところか、この国道をひたすらまっすぐ行けばどこへ行くのか、考えて夜も眠れない。そして、子供たちは、黄色い自転車にのり、サンドイッチなんかつくって、冒険をする。実にワクワク、幸せな感情。大人になるにつれて、どんどん活動能力が増大していく。

だけど、目がみえなくなると、いちからのやりなおし。目が見えなくなると、半径300メートルどころか、半径3メートルの世界に、活動能力が減退する。そして、そこからなかなかでてこれない。視覚障害者になって、目がみえなくなって、何年も家に閉じこもるという人も少なくない。

何年もたって、やっと、白杖の歩行訓練を受けるという人も多い。白杖の歩行訓練を受けて、ひとりで家の周りをもう一度散歩できるようになり、近所の自販機でビールを買えるようになり、最寄りのバス停まで行けるようになり、そして最寄り駅、それから図書館や福祉施設などにひとりでいけるようなる。活動能力の増大。ワクワクする達成感。やればできるじゃん。

多くの視覚障害者はここで、満足。活動能力の増大をここでとめてしまう。でも、私はそれでは満足しない。

繁華街の大型書店、CDショップ、映画館、ショッピングモール、ライブハウス、コンサートホール、に行かねばならない。目が見えなくなったぐらいで、やめるわけにはいかない。

大阪で言うなら、紀伊国屋書店、HMV、タワーレコード、TOHOシネマズ梅田、神戸ハーバーランド、西宮ガーデン、ゼップなんば、NHK大阪ホール、オリックス劇場、大阪城ホール、
東京で言うなら、新星堂、サンシャイン噴水広場、東京ドームシティラクーア、ゼップ東京、中野サンプラザ、日本武道館

私はいかねばならない。なぜなら、そこにハロプロがあるから。本屋での写真集サイン会、CDショップでのインストアイベント、映画館でのコンサート生中継上映会(ライブビューイングという)、ショッピングモールでのCD販売促進ミニライブ握手会、そしてコンサート。私はいかねばならない。ワクワクがとまらない。活動能力の増大。

それはもちろん一人で行かねばならない。障害福祉サービスの同行援護という制度を使ってガイドヘルパーさんに1割負担で外出支援をしてもらうことは可能だけども、月たったの50時間しか利用できないので、遠征ではその制度は利用できない。ガイドヘルパーさんなしで、白杖1本、どこへでも行かねばならない。

そして、現在私は白杖一本、単独で日本全国38都道府県に行くことができた。ハロプロのコンサート、Juice=Juiceのライブ、宮本佳林のソロコンサートに行くために。全国制覇ももうすぐそこ。目の見えない私の活動能力をここまで増大させた、ハロプロ、Juice=Juice、そして宮本佳林っていうのはやはりすごいね。

コンサートやイベントのため遠くまで行くこと、これをアイドルファンの間では遠征という。遠征とはあくまで手段であるのだけども、視覚障害者にとっては、その遠征そのものが活動能力を増大させてくれるもの、つまり喜び、幸せでもある。

では、ここで、目が見えなくなった私の遠征でよく使う交通手段、最も最適な交通手段は何かかんがえていこう。

私は大阪在住なので、名古屋までの遠征の交通手段についてまずは考えたい。

大阪から名古屋までだと、一般的に、4つの方法が考えられる。JR新幹線、JR在来線、近鉄電車、高速バス

JRで新幹線をつかうと、大阪から名古屋まで自由席で、6000円
近鉄電車だと、大阪難波から近鉄名古屋まで、特急指定席で4300円
JRで在来線だけで行くと 3400円
高速バスだとJR大阪駅からJR名古屋駅まで3000円
この料金の違いは、所要時間の差でもある。新幹線を使うと約1時間だけど、近鉄電車だと約2時間、JR在来線だと2時間45分、高速バスなら3時間となる。

遠征にはお金がかかる。ライブチケットが1公演6000円ぐらいするので、そのライブを見に行くために、安くても往復6000円かかってしまう。新幹線で往復するとなると、チケットの倍以上のお金を払わないといけない。6000円のライブをみるために、さらに12000円はらわないといけない。つまり、遠征オタクにとっては、そのライブは6000円のライブではなく、18000円のライブということになる。その値段にふさわしいと思えるからこそ、遠征オタクは遠征をする。その魅力がハロプロにはある。

でも、ちょっと冷静に考えると、なんか損した気分。6000円でいいのに、なぜ私は3倍の料金を払わないといけないの。なんか不平等。

そこで、遠征オタクはこう考える。普通なら、そんなに交通費がかかるのなら、やめておこう、地元にハロプロが来てくれた時に行けばいいやとなるのだけども、遠征オタクはそうは考えない。交通費が12000円かかるのなら、1日2公演のコンサート、昼公演と夜公園2公演にはいればいいいじゃないか。そうすれば、1公演あたりの費用は18000円から、12000円と安くなるじゃないか。ということで、多くの遠征オタクは、帰りの交通手段がなくなる場合をのぞいて、昼夜2公演はいる。

もっと言えば、2日連続、土日それぞれ2公演のコンサートがあるのならば、4000円ぐらいの格安ホテル、カプセルホテルに1泊して、翌日の昼夜コンサートも見れば、1公演あたりの単価は1蔓延にまで下がる。そうだ、1泊して明日の2公演も見ようとなる。なんか笑い話のようでもある。費用を抑えようとして、結果的に、倍以上のお金を払うことになる。これは遠征オタクあるある。

さらに言うと、そのコンサートは昼夜、セットリスト(コンサートで披露される楽曲)はまったく同じ、つまり同じコンサートを見るために1泊して、4公演同じコンサートを見る。ここまでくると、もう一般人の人には理解できないと思う。

でも、そこに価値を見出すのが遠征オタクのすごいところ。遠征オタクは、まったく同じセットリストのコンサートであっても、その違いをみつける。それは、座席位置が違うことによる見え方音の聞こえ方だったり、客層であったり、客の盛り上がりだったり、コンサート中のMCトークであったり、もっというと、メンバーの汗の書き具合、声の張り、などで違いを見つける。遠征オタクにとっては、まったく同じ内容のコンサートというものは存在しない。そして、遠征オタク独特の経済原理がここに加わる。遠征オタク独特の審美眼ととでもいうべき価値基準と経済原理。実におもしろい。

ここまでは、コンサートチケットが買おうと思えば買える場合の話。もし1公演だけしかチケットがとれなかったとかで、大阪名古屋を日帰り遠征する場合、遠征オタクの価値基準と経済原理からしても、やはり、選ばれるのは、一番安い高速バス往復6000円。

もっとも、車の運転できる遠征オタクでありかつ、遠征オタク友達(オタトモと言う)が複数人いるのならば、一番安いのは、だれかの車で4人の遠征オタクが同乗して名古屋にいくことだと思う。ガソリン代と高速代を4人でわけるので、遠征費用はもっと安くなると思われる。

ここまでは、目の見える遠征オタクの話。では、目が見えなくなった私はどうだろうか。

基本的に、私は協調性のない人間なので、コンサート会場で知り合いの人とたむろするということがあまりない。いわゆる、一人オタ。コンサート会場まで一人で行って、だれともオタクトークうぃおすることなく、一人で帰ってくるという遠征スタイル。

そんな一人オタクであり、目の見えない私が選ぶのは、片道1500円、往復3000円の高速バス。

本来、片道3000円、往復6000円の高速バス。障碍者手帳をみせれば、障碍者割引が適用されて、半額になる。これはありがたい。

目がみえなくなって、うれしいことが3つある。ひとつは、パチンコやマージャンなどのかけ事ができなくなったこと、ふたつめは、目立てることそして3つ目は、障碍者割引を受けられるということ。

活動能力の増大、それが半分の費用ですむ、逆に言えば、同じ費用で倍の距離までいいけるということ。これはうれしいね。喜びだね。

半額になるのなら、所要時間が短い新幹線や近鉄電車を使ってみようかなともおもうけど、ここに落とし穴がある。新幹線や近鉄特急は、はんがくにはならない。

大阪名古屋までの新刊セなら自由席で6000円のところ、4300円にしかならない。近鉄電車の特急は、4300円が3000しかならない。はんがくにはならない。高速バスは半額になるのに、新幹線や近鉄特急はならない。

このように、高速バスの割引率が一番いいのは、新幹線や近鉄特急だと、障碍者割引が適用されるのは、乗車券の料金のみで、特急料金の割引はなし。そのため、半額にはならない。一方、高速バスは、特急料金という概念がないので、障碍者だとそのまま半額になる。遠征障害者オタクにとって、高速バスほどありがたい乗り物はない。

これは夜行高速バスや空港リムジンバスについてもいえることで、大阪東京間の夜行バスは、3列独立シートで9000円のところ、障碍者だとその半額の4500円。成田空港から新宿までの空港リムジンバスは通常1000円のところ500円になる。

私はよく東京から大阪まで夜行高速バスを使う。東京九段下の日本武道館でハロプロのコンサート夜公園を見て、翌日仕事のため大阪に朝早くもどらないといけない場合夜行バスを使う。。

新幹線の東京駅発新大阪行きの終電は、21時24分。日本武道館でのコンサートは21時ぐらいまであるので、そこから急いで東京駅にいくには、視覚障害者の私には難しい。

そこで頼りになるのが、夜行高速バス、新宿駅に併設されているバスタ新自クという高速バスターミナルから22時40分発の大阪行きの夜行バスに乗れば、翌朝6時45分には、昔ハロプロもよく屋外ミニライブをやった千里セルシー広場のあった大阪の千里中央駅に到着する。朝早く大阪に到着するので、その日の仕事にも遅刻せずにいけるのがいいね。

ただ、高速バス、特に夜行バスは体がつかれる。夜行バスでは熟睡はできないね。

あと、高速バスは、到着時間が遅れることがある。大阪から名古屋まで高速バスを使って、名古屋の映画館ミッドランドスクエアシネマ2で行われたJuice=Juice宮崎由加と高木紗友希のバースデーライブに行ったけど。高速バスが渋滞で遅延して、ライブのはじめの部分が見れなかった、また、東京お台場のゼップ東京で行われたJuice=Juice宮本佳林のソロライブツアーの初日を見て、夜行バスで大阪へ。台風の影響で高速道路が通行止め、それで千里中央駅に到着するのが30分遅れたことがある。あやうく会社を遅刻しそうになった。

それと、夜行バスだと早くバスターミナルに到着したところで、1本前のバスに乗り換えるということが難しいので、出発まで1時間待たないといけないことがよくある。そんな時どうやって時間をつぶそうか。視覚障害者が遠征をしてこまるのは、急にトイレにいきたくなったときのトイレ探しと、空いた時間の時間つぶし。この2つは視覚障害者が苦手なこと。視覚障害者あるある。

バスがくるまで、安倍なつみ演じる安倍かわもち君がコントを見せてくれればいいのだけどなぁ。


おすすめ遠征高速バス路線 (金額は 片道障碍者料金)

大阪ー名古屋 3時間 1500円
大阪ー高松 3時間40分 2050円 
大阪ー徳島 2時間45分 1300円
神戸ー岡山 2時間35分 1450円  
神戸ー高知 4時間 2880円 
福岡ー神戸 夜行バス(3列独立シート) 4130円 20時50分 発 - 5時50分 着  
高知ー大阪 夜行バス(3列独立シート) 22時38分 発 - 5時45分 着 3080円 
東京ー大阪 夜行バス(3列独立シート) 22時40分 発 - 6時45分 着 4500円

西日本に行く場合、大阪よりも神戸三宮から出発したほうが、かなり所要時間が短縮される。神戸から高知まで4時間でいけるのね、大阪から高知だとたしか5時間以上かかった。

おすすめハロプロ楽曲
黄色い自転車とサンドウィッチ(スマイレージ)

黄色い自転車とサンドウィッチ



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