小池真理子「水底の光」
あまり幸福そうじゃない恋愛小説6編。
・パレ・ロワイヤルの灯・・・・・フランスへ向かう飛行機の中で、1年前の彼との別れを追憶。
・水底の光・・・・・・・・・・・既婚者同士のカップル。突然2人で旅に。初日は東京タワーが見えるホテル。0時に東京タワーの照明が消えて連想する水の底。
・闇に瞬く・・・・・・・・・・・自殺した兄の妻が暮らす京都へ2泊3日で泊まりに行く。信じられないほどの数のホタルを見に。既婚者との失恋を経て傷んだ心を癒しに?
・愛人生活・・・・・・・・・・・夫を亡くし、とある社長と知り合い愛人に。別荘地で首つりにもってこいの樹を見つけ安堵する。
・冬の観覧車・・・・・・・・・・酷い離婚をし、その後勤めた秘書を務める社長との愛人関係にある悦子。脳の病気の父が、悦子が子どもの頃喜んで乗った観覧車の話をする。社長は悪い病気。社長の妻の連れ子と社長と、仲良しに3人組で冬の観覧車に乗る。
・ミーシャ・・・・・・・・・・・愛猫の死に目に遭えるよう、仕事先の東京から急いで新幹線で長野に向かう、その新幹線の中での回想あれこれ。
ものの見事にすべて「道ならぬ恋」のお話でしたが、なんだかどれも納得でした。
この方の、明るさをまったく感じさせない小説は、たまにむしょうに読みたくなります。
「冬の観覧車」がとてもよかったです。
満足度100