読む日々

テーマばらばらの読書日記

青空のむこう

2010-07-21 | 絵本
アレックス・シアラー著/金原瑞人 訳「青空のむこう」を読了。

イギリスの作家です。これは日本での初翻訳本だそう。内容としては子供向けなのかな・・。大人向けの小説もたくさん書かれている方だそうです。

事故で亡くなったハリーは「死者の国」でアーサーと出会います。
アーサーは150年前に亡くなった子供。亡くなった人は受付を通った後、いつまでも日が落ちない夕暮れの中を「彼方の青い世界」に向かって歩いていきます。

でも、アーサーは、自分を産んで亡くなった母親と出会いたいという強い願望があり、彼方の青い世界へ旅立てません。
そしてハリーは、亡くなる直前に姉と交わした心ない会話に後悔が残っています。

心残りがある人間は「彼方の青い世界」へ向かって歩き出せません。アーサーに誘われたハリーは下界へ降りて、学校と自宅を訪ねます。

せつないんだけど、清々しい、いいお話でした。
死んじゃってるんだけど、ハリーの心の成長がすごいです。なんと表現したらいいか・・。

そして友達や先生はハリーのいない世界にすっかり馴染んで日常を送っていますが、家族は違います。その家族の愛情が、またせつない・・。

ハリーは姉との間の心残りを解消して死者の国へ戻り、そしてアーサーは死者の国で母親と出会います。そして皆で「彼方の青い世界」へ向かいます。どうやら「彼方の青い世界」とは万物の母となる海のようです。そして命はまた巡る、というような解釈らしい。

これも もう少ししたら息子に読ませたい本です。

満足度85

イスタンブールの闇

2010-07-20 | 
高樹のぶ子「イスタンブールの闇」

もともと、合わないのは承知してたんですが、大好きなトルコの地名に惹かれてついつい借りてしまいました。

やっぱり合わない・・・。

ストーリーは、津和野で陶芸を生業とする主人公(48才・女)が、姪の結婚式に招待されてトルコへ行くところからスタート。

突然失踪する姪、その姪に関わっていた主人公のかつての恋人で、主人公の息子の父親がメインキャスト。

トルコである一時期だけ作られた朱赤の焼き物の再現をめぐってのドタバタ劇がメインストーリー。サブはやはり昔の恋人との関係、その次が息子と姪の恋愛・・。

息子と姪って、イトコ同士ですよ・・・?まあ、法律で結婚が認められてる位なのでタブーではないでしょうけど、でも、普通ちょっと位躊躇しませんかね。(イトコ同士で結婚された方は現実に何人も知ってます。なので、現実に起きうる事に対しての嫌悪感ではないです。あくまでも小説内の二人の葛藤のなさがリアルじゃないな、って事です)なのにこの小説だと、普通の事のように表現されてしまっているし、まあ、主人公と昔の恋人との暗いドロドロした関係にくらべれば(このあたり確かにイスタンブールの闇って感じでした)まだ健全っぽく見えますが。

最後はありきたり、息子の存在を知った男が日本へ息子の顔を見に現れる。主人公は男を追ってトルコへ

5~6年振りにこの作者の本読みましたけど、うーん、時間のムダだったかも。。。

今夏の映画の「マイマイ新子」もこの作家さんでしたっけ?そっちを借りれば良かったかな・・・。

満足度20

絵本2冊

2010-07-17 | 絵本
返す前に覚書程度に。

「ふうせんクジラ」わたなべゆういち作・絵

みなとの祭りで海に踊る風船を、母鯨が止めるのも聞かずの大量に飲みこんだ子クジラのボン。体が浮き上がって、野を越え山越え街まで流されていきます。サッカー場でボールがお腹にあたり風船が口から飛び出て不時着。トレーラーに乗せられて母の待つ海へ帰るお話。

絵がとってもいいです。街の様子なんかも細かく描かれていて。子供も喜んで自分で読んでいました。2年生位にはちょうどいい分量かな。

満足度80

「木の実のけんか」岩城範枝 文/片山 健 絵

子供向けにしては難しいなあ、と読み進め、あとがきまで読んでみたら、狂言の「菓争」(このみあらそい)を下敷きにした物語とのこと。

吉野の桜に感動した「橘」の実が、仲間を引き連れて花見をしていたところ、この山に住む「栗」の実が怒って妨害、「橘族」VS「栗梨族」が戦います。最後は桜が怒っておしまい。

和歌が出てきたり、ためになりますが、低学年にはボリュームがありすぎかな。

満足度70

とむらう女

2010-07-17 | 絵本
ロレッタ・エルスワース著/代田亜香子 訳「とむらう女」。

アメリカのヤングアダルト小説です。19世紀のアメリカ・ミネソタ州に住むドイツ系移民の家族が主人公。中心は10才のイーヴイ。妹のメイは5才。

少し前、優しかった母親が病気てなくなり、子供たちの面倒をみるために父親の姉であるフローおばさんがイーヴイ達の家にやってくるところから始まる物語。

このおばさんが「とむらい師」という、死者を綺麗にして納棺する、映画「おくり人」のような仕事をする人。

母親が恋しいイーヴイは、メイが簡単におばさんに懐いてしまった事もあって大反感を抱き、思春期の入り口ということもあって感情がゴチャゴチャしてことごとく伯母さんに反発します。「とむらい師」という職業も怪しいし・・。でも、おばさんの、子供たちに接する態度が本当に素晴らしい!子供の気持ちに寄り添い、何事も押し付けず優しく見守ります。だんだん心を開いていったイーヴイは、おばさんの仕事に興味を持ち、ある日付き添います。

そこで初めて作中でもおばさんの仕事の詳細が明かされます。想像すると怖いなあ、と思ったけど、読んでみると素晴らしい仕事に思えてくるから不思議。

先日読んだ「花まんま」の中に、死にかけて苦しんでる人をスムーズに死なせてやる呪文を代々受け継ぐ「言霊」という短編があったけど、最初、そのような職業をイメージしてました。伯母と姪だし、代々受け継ぐ家系ってあたりがそっくりで。

で こちらはホラー小説ではないので、実際にあった仕事でした。ヤングアダルトでこんな職業が出てくるなんて凄いと思います。でもテーマは少女の心の成長です。あと、当時のアメリカの人々の暮らしぶりがリアルで(にんじんケーキとか作ってみたい!)大草原の小さな家っぽい空気が好きな人は、その辺も少し楽しめるかもしれません

うちの子には まだ早いけど、忘れなかったら2~3年後の読ませてみたい本です。

満足度90

あしたはドロミテを歩こう

2010-07-15 | 
角田光代「あしたはドロミテを歩こう」イタリア・アルプス・トレッキング

を読みました。

一人旅が好きな著者が、雑誌かな、編集者の提案を受けて、以前受けた体験で持ってしまったイタリアへの悪印象を払しょくすべくイタリアでトレッキングをしたエッセイ。

写真も結構あったし、ドロミテにそびえたつ岩山のドロドロした感じもよく伝わってきました。登場する関係者達もとっても素敵だし、お料理もおいしそう。

もともと旅行記みたいなモノは大好きです。特に、何度も何度も読み返しているのは20年以上前に書かれた 村上春樹の「雨天炎天」という、トルコとギリシャの旅行記

今回は「イタリア」だし(ギリシャの隣だし)、都会の旅っぽくないし、「雨天炎天」の女性版を期待して読んでみました。村上さんにはかないませんが、結構楽しかったです。

満足度75