読む日々

テーマばらばらの読書日記

夏の魔法

2011-12-29 | 
本岡 類「夏の魔法」


先日読んだ「愛の挨拶」がとてもよかったので、同じ作者の本を借りてきました。

15年前別れた妻から、引きこもりになってしまった19歳の息子を預かって欲しいとの連絡があり、主人公の高峰が駅まで息子を迎えにいくところから始まるストーリー。

山地で酪農をしている高峰の酪農場で1年を過ごす間に、息子は大きく変わっていく、その成長の物語。
息子だけでなく、父もまた、息子との生活で変わっていきます。

いやあ、面白かった。「愛の挨拶」以上かも。
途中何度も涙したけど、清々しい涙です。
「男の子は冒険しないと育たない」っていうテーマが身につまされました。過保護じゃいけない。
見守るのはいいけど手だし口出しは必要最小限、というのは、日々心がけてはいますが(でも手だしはしないけど口出しは止められない・・)「冒険」はなぁ、ちょっと親の方が勇気が必要ですね。

息子は今朝、「ベッドの下に埃がたまってきた」と言って、自分で掃除機持ちだして、一生懸命掃除してました。
日常生活の事は、意外と順調にできるようになってきてるかも。
あとは普段の生活でできる冒険ってなんだろうなあ。あ、親がそれを考えてるようじゃダメか

それにしても、高峰の元妻はダメダメですこういう母親にはならないように気をつけなきゃ・・。
自分のマントの下だけで、子どもを管理しようとする母。これはヤバイでしょう・・・。

満足度100

風音

2011-12-27 | 
目取真 俊「風音」

沖縄の島出身の母・和江に連れられてマサシは祖母宅へ。DVの継父から逃げて来た。
この親子を巡る話しと、

第二次大戦の時、流れ着いた特攻隊員の遺体を、村の古い風葬場へ戦争末期に父親と運び込んだ清吉。将来結婚するものと思っていた従兄を特攻で亡くし、最期を知りたいと10年間沖縄を訪ね続ける老婦人、志保。この、特攻隊を巡るお話。

ここに清吉の孫のアキラとマサシの関わりなどが絡まり合ってストーリーは進みます。


島の描写がすごくいいストーリーもいい。

調べてみたら、2004年に映画があり、その脚本を書いた作家の方が、小説も書いた、ってことらしい。
和江につみきみほ。志保が加藤治子。子どもたちは地元の子。サイトを見たらとても面白そうです。

物語自体も面白かったです。とても。最後、うーーん、そしてこの親子はどうなるという心配があったけど、でもでも、おおむね結末にも満足。

子どもが読むには難しいかもだけど、中学生位なら大丈夫かもだし、映画ならたぶん子どもでも大丈夫。DVDは出てるのかな・・。


満足度90

あられもない祈り

2011-12-26 | 
島本理生「あられもない祈り」


育った家庭に問題があり、親との関係がおかしく、おそらく精神的に成長しきれていなくて、付き合ってる男と共依存に陥っている主人公。
その主人公と恋に落ちる、会社経営をしているけどそこそこ若く婚約者(後に妻)がいる男。

この二人の関係を書いた物語ですが、苦手な部類かも・・。
精神的に弱い人の話は、あんまり得意じゃない。読んでるうちにくらーい気持ちになるから。
最後救いがあればまだいいんだけど、それもない。自分には理解不能なお話でした、というか理解できないというよりは理解したくない、って感じかなあ・・。

ただ、自分とは違う思考回路にも関わらず、主人公の思考回路には嵌れました。書き方がお上手なんだと思います。
ストーリー的には微妙ですが、満足度65

ひつじ!

2011-12-25 | 雑感

よくいく雑貨屋さん。先日、クリスマスの前にお菓子を買いに行った時「可愛いなあ」と思ったけど、手持ちのお金が足りなくて手が出なかった羊。なんと今日覗いたら8割引になってました

思わず2個ゲット。毛糸のモコモコで可愛いんです。
大好きなしょうこおねーさんが好きな羊。うちの息子も未年なので、我が家でもひつじは大事なアイテム

どこに飾ろうかなあ。1月のコンサートで1個おねーさんにプレゼントしようかなあ・・・。(9列目です)


息子と言えば、全然関係ないけど、息子は冬休みのサッカー、2回目も参加決定しました
1回目は基本のクラス、2回目は1個上のクラスです
ものすごく張り切ってます頑張れ~

愛の挨拶

2011-12-23 | 
本岡 類「愛の挨拶」


ものすごい面白さ。大感動。これは大当たりだ

26年連れ添った、ヴァイオリン弾きの妻が、若いころ留学していたオランダへ旅行に行き客死した。
亡くなったホテルの部屋では、若いころよく一緒に演奏していたオランダ人男性がいた。

もしや浮気?と疑う夫。
証券会社で働く夫は、妻に、「早く定年して、いつかエルガーの愛の挨拶を合奏しよう」と持ちかけられ、大人のピアノ教室に通っていた。妻を亡くし、続ける意味はあるのか、と思うが、ある出来事がきっかけで、ビルマの政治亡命者家族と関わりが生まれ、教室のメンバーと講師の5人がそのことで少しずつ変わっていく。

妻の死の謎がすべて解け、ラストは圧巻でした。
教室の生徒一人ひとりの抱える事情も人間味があってよかった。
ビルマの政治情勢も、何読むよりもよくわかったかも。


これはオススメです。満足度100。