朝、目をさまして
布団でごろごろしていると
耳の奥の方、頭の中で
トコドンカンカカンと
まだ鉦や太鼓の祭囃子が
聞こえているような気がした。
たしかに、まだ一部地域では
だんじりを曳行しているようだが
遠くのそんな音が聞こえているのかと思い
家の者にも確かめてみると
そんな音はしていないとのこと。
昨日まで、目の前の交差点を
何台ものだんじりが
大音響で通り抜けていったからなあ。
まだ耳の奥に残っているんでしょうね。
交差点で、目の前をだんじりが
通り抜けるときは、どどど~と
地響きまでするんです。
大阪で震度3の地震があったときも
ちょうど目の前をだんじりが通り抜けている
真っ最中だったので
「ひゃあ、ここのだんじりは重いんやなあ」
なんて思っていたほどです。
これも定点警備ならではの印象です。
祭の後の名残は
そんなだんじり囃子の幻聴だけではない。
二日間の名残は
胃にもしっかり残っている。
祭期間中は
朝、家を出ると
夜間曳行が終わるまで
帰ってこない。
食事はすべて詰所で済ませる。
懐石弁当だったり
おにぎりだったり
カップラーメンだったり・・
それに、詰所にはサーバーが
おいてあるので
生ビールが飲み放題だ。
おつまみになるような
お菓子なんかはふんだんにある。
曳き出しの後なんかは
追加の副食にしようと
近所のコンビニで
おでんを買ってきて
ぱくついたのだが
小さなコンビニなんで
一気に100個も頼むと
ろくに味が染みていない
糸こんにゃくや
はんぺんなんかが
大半を占める。
それでも、暖かいのが
おいしいなと思うくらい
朝は気温が低かったなあ。
そういえば、さっきブラッとコンビニに行ったら
今夜はおでんもそんなに
売れていないとみえ
しっかり味がしみこんでいるようでしたわい。
祭期間中はそういうわけで
食生活は、不規則だし
内容もめちゃめちゃ体に悪い。
何かと胃に負担をかけていたんだろう。
今日の片付けの後の
昼食もみんな、
もうええわ
みたいでしたなあ。
もし祭が一週間も続いたら
きっと誰かが体を壊すに違いない。
明日から仕事でまた元の
日常に戻っていく。
放課後はいつものように
ぜひとも走りに行こうと思っている。
そして街を歩くと、小さな木屑が
いっぱい落ちている。
これはだんじり曳行の
名残なんやね。
昔は、だんじりの車輪は
一本の大きな松ノ木を
輪切りにしたものでしたが、
今は、重駒(しげごま)といって
木を張り合わせた合成材で作っているものを
使っている。
だもんで、だんじりのわだちに残る
木屑の形も変わってきた。
昔はスルメのような形だったけど
最近は、細かい木屑と
大きな塊が目立っている。
木屑の多くは
交差点の地面に残る木の刻印から
広がってくる。
これは祭の後の独特の光景やね。
そうそう、電線に残る
クラッカーの紙テープもそうかな。
すっかり高くなった空の下
そんな街角の光景を眺め
幻聴をききながら
胃もたれの体で街を歩いていると
ああ、今年も祭が終わったって
ようやく実感するdoironなのであった。