この日はしとりんにとってイライラすることが起きました。
それは夕方16:10から30分間、入浴する予定が取られました。
そのため中心静脈点滴を一時停止させて、
水が入らないようにすることが必要です。
この入浴はお昼には決まっていました。
しかし、16時を過ぎても看護師さんが来ません。
この処置をするのに5分以上かかりますから、
しとりんはとても焦り始めました。
16時6分、とうとう部屋を出てナースステーションまで行きました。
すると担当看護師さんが「お部屋で待っててください」と言って姿を消しました。
「16時40分からは他の患者さんが入るから、
時間通りに入らないと今の私のペースでは間に合わないよ」
と困った表情でした。
そして、とうとう16時10分を過ぎてしまい、
どんどん時間が経っていきました。
やっと看護師さんが来た時には16時20分を過ぎていました。
それから処置を素早く行って浴室へ行っても、
もう残り時間は10分ぐらいしかありません。
健康な人間でも衣類の着脱から身体を洗うのに10分では短すぎます。
「もう時間がないから今日はやめます」
としとりんは言いました。
看護師さんは責任を感じたのか、
空いている時間を勧めてくれましたが、
「その時間は夕食直前だから、疲れて食べられなくなります」
と辞退しました。
それでも看護師さんはしとりんに何度も勧めて、
1時間後に入ることになりました。
入浴から出てきたらすぐ夕食となりますが、仕方ありません。
「お昼からわかっていることなのに、何で準備してなかったんだろう?」
としとりんは不思議そうでした。
あとから主任さんが来られて、「申し訳ありませんでした」とお詫びに来られました。
産科病棟では中心静脈点滴を行う人は少ないので、
この処置方法を知らない看護師さんもいるのです。
事実、今度は夕食後再び点滴をつなぐ処置を、
夜勤の看護師さんがわからず右往左往していました。
中心静脈点滴はきちんと時間のスケジュールが決められており、
流す速度をあげられません。
こうして止めておく時間が長くなると、スケジュールが狂ってきてしまうのです。
ちょっとイライラが募った1日でした。