おさむのブログ

日常考えていることや、感じた事を書いています!!

古材は宝の山だ。

2013年01月10日 19時23分51秒 | 家づくり
いよいよあの大黒柱の加工が始まりました。

千尋棟梁のもとへ運び込まれたケヤキの大黒柱。それを見つめながら、めきめきと闘志が湧いてきているのか、はたまた『ひえぇ~』なのか???千尋棟梁。



いやいや、もちろん前者です。図面を広げ、どの面をどのくらい見せて、どんな風に加工するか・・・そんな打ち合わせをしていると、これまで千尋棟梁が体験してきた技術的なことや学んできた知識が、怒涛のごとく、そして自信に満ちた表情で語ってくれるのですから!!!

それにしても、古材はすごいです。ほんとうに、すごい。

この大黒柱。解体前から『再利用された大黒柱』であることがわかっていました。その証や、その当時の棟梁の技術的なことが如実に残されているのです。

例えば、天井・廻縁欠き。(ここからまた専門用語でごめんなさい!!)初代で使われた後、根元が腐食していたのか、矩計を変えたようなのだ。そしてそのために表れてしまう傷跡を見事に埋め木している。

写真上部が解体時の天井欠き。上端中央付近に埋め木が見えるだろうか?



そこを拡大してみると・・・



そして、年代によって、(棟梁によって?)精度に対するこだわりがずいぶん違う。見えないところまでむちゃくちゃきれいに仕上げていた初代と、見えるところだけはかっちり決める2代目の違いがよくわかる。指先のギザギザに仕上がっているのが2代目、手前が初代。



圧巻なのは『差し口』です。千尋棟梁曰く、『完璧な仕事』と。固くも無く緩くもなく、すーっと入ってガタツキがない。百数十年経っても!!ですよ。写真はその材を取り外すところ。





大黒柱の中ではこんなふうに組まれていました。見えないですけどね。写真の材は小さい方向の差し物ですが、更に大きい材が直角方向に交わる。とにかく!!!すごいです。



大黒柱一本でも、数えきれないほどの、美しい仕事を見ることができます。機械もない時代、見えないところにこれだけの仕事を残す。日本人らしい美徳さえ感じる。





これまた千尋棟梁曰く、『釘を一本も使わないってのはこういうことなんだよな。だいたい釘や金物じゃ、もたねぇーよな!(笑)』



この材たちを見て思いました。

『だから昔の家は地震や風雪に耐えてこれたんだ。』

いよいよ本格的な加工が始まります。恐らく初代、2代に渡ったことを考えると、300年の歴史はあるであろうこの大黒柱。第3世代の新しい道です。こうしてみると、最初の千尋棟梁の姿は、『闘志』なんてもんじゃなく、大黒柱に語りかけているように見える。そして、祈りのように見える。すばらしいなぁ、大工という仕事。

ではまた。

おさむ