エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

快晴の知来岳(988m)再訪

2018年03月22日 | 山紀行 (増毛・夕張・芦別)
三段山オフミに続いてHYMLの仲間と・・・
増毛山魂・・・知 来 岳 (988m)
これ以上無い快晴に恵まれて再訪した鋭鋒と絶景
■ 山 行 日    2018年3月21日(祝水)  日帰り
■ ル ー ト     御料地赤川林道~知来岳南東尾根 往復
■ メ ン バ ー    CL.GAKUさん、松ちゃん、チョーさん、エバ
■ 登 山 形 態      山スキー&アイゼン登行
■ 地 形 図     1/25000地形図  「御料地」
■ 三角点・点名    二等三角点 点名「知来岳 チライダケ」
■ コースタイム     登り 5時間35分    下り 2時間40分
<登り>
05:55            登山口出発
07:35          林道終点 (SB渡渉)
09:10          南東尾根 Ⅽ680
10:50~11:05    スキーデポ (アイゼン装着)
11:30          知来岳頂上

<下り> 
11:50          下山開始
12:00~15       スキーデポ地点
13:25          南東尾根C680(小尾根出合)
13:35~45       SB渡渉 林道終点
14:30          登山口



松ちゃんのGPSログ 

★ GAKUさん最後の挑戦か?・・・
HYMLの仲間でもあるGAKUさんとは2010年以来のお付き合いになった。
北海道の山が大好きで、ほぼ毎年来道しては好きな山を選びコツコツと山を楽しんでいる。
御年78歳。細身ながらすらりとした長身で、元気そのもの。
山行計画から宿の手配、飛行機やレンタカーもすべて一人で準備しちゃう神奈川のお爺ちゃんだ。

GAKUさんから来道の連絡を受けると、なんだか黙っていられない。

ヌカビラ岳~北戸蔦別岳~1967峰~ピパイロ岳の計画は、未だ実現していない2010年の計画。
この時は、神奈川の山仲間4名で来て楽しみにしていた出会いの山行でもあった。
しかし、大雨予報にはどうする術もなく敢え無く中止。
サブ山行で日高の「剣山」に登れたことが、せめてもの救いだった。

あの時以来、GAKUさんと登った山は「夕張岳」「富良野西岳」「幌天狗」
「▲エサオマントッタベツ岳」「群別岳」「奥徳富岳」「音江山」「三段山」
「雄冬山」そして今回の「知来岳」だ。
単独で来道していた時、増毛山魂の他の山々にはすでに登頂済みで今回の知来岳が
唯一残っている登りたい山らしく、登れたらもうこの山域で行きたい山はないと言うGAKUさん。

だから、今年が最後の挑戦で来年はないと言う・・・。



赤川林道出合が登山口・・・除雪された駐車スペースに車を停める

★ 私の記録・・・
2年前の4月1日から私たち夫婦は道東の「海別岳1419m」を計画していたが悪天予報で
中止となり唯一天気が良い1日のみの行動が出来そうだった。
この時に選んだのが「知来岳」。増毛山魂の1000m超峰を全山夫婦で登頂した後で気になっていた
鋭鋒が知来岳で是非行きたかった山だった。

ブログにアップした記録を読んでくれたGAKUさんの目に留まり「次はここ・・」と決めたらしい。


2016年4月1日エバ夫婦の「知来岳」は ⇒ こちら 

★ 予備日・・・
3/17~19は、HYML三段山オフミに参加し翌20日に知来岳の計画をしていた。
更に21日は予備日として確保していた日で、現地で車中泊しながら・・・だったが。

三段山オフミの最中すでに20日の天候が悪いと判断。翌21日は高気圧に覆われて晴れる予報だった。
GAKUさんを始め同行する松ちゃんとの打合せで20日の知来岳は中止し、21日に変更した。
そのためオフミ終了後松ちゃんと私は一度帰宅し、21日に日帰りで決行する事にした。
その間、オフミでも一緒だったチョーさんが急きょ加わる事になり頼もしい相棒が増えて心強かった。

現地集合 5:30。
登山開始 6:00の計画に沿ってそれぞの準備が進められた。



陽が昇る前に出発


林道から目指す「知来岳」を望むも遥か遠く・・・

★ 快晴の兆し・・・
現地の集合に合わせて自宅を3:00に出た。
前回の記録を見ると丁度2時間で登山口に着く予定で余裕があった。
道路状況も良く路面は乾いていて夏道状態。順調に車を走らせいつものルートを通る・・・。
しかし、ハプニング発生!

国道275号線月形から道道28号線、当別浜益港線への連絡路である道道11号線が通行止め。
急きょ新十津川を経由する大きな迂回路を余儀なくされ集合時間に間に合わないかもと不安になった。
その旨、松ちゃんにはすぐ連絡を入れたが、最初からご迷惑を掛けるかも・・・と焦っていた。

心配をよそに迂回しても30分ほどのロスタイムで済み、現地には5:30に着いた。
すでに松ちゃん、チョーさん、GAKUさんも着いていて準備を終えていたが間に合って安堵する。

まだ夜明け前だが、空の雲は高く目指す知来岳と尾根も登山口から見えていて予報通り
今日は快晴の兆しにテンションが上がっていった。


5:55 登山開始


林道の中間付近で小休止・・・


林道終点、これから赤川のSBを渡って小尾根に取付く・・(写真提供:松ちゃん)

★ 長いアプローチも・・・
登山口は、浜益村御料地地区の村営実田牧場入口付近に流れる赤川沿いの林道分岐。
勝手に「赤川林道」と呼称しているが、実際の林道名は確認していないので注意してほしい。
分岐点には除雪されたスペースがあり、私たちの車3台を停めてほぼ満車。林道は除雪されておらず
まだ深い雪の下である。

林道出合の標高は約80m程で目指すその終点までは距離4キロ強、標高は約350mとなる。
歩いていても気が付かないほど平坦に近い林道だが、少しずつ登っているので帰りの登り返しは
ほとんどないのが嬉しい。林道は途中までほぼ直線的に一本道なので迷う事は無いが、後半に
明瞭な分岐点が一箇所あり迷うかも知れない。ここは直進し数百メートルで終点となる。

スタートからGAKUさんを先頭に自分のペースで歩いて頂く。私たちはサポート的同行者。
歩きながら世間話が楽しかったが、GAKUさんだけは黙々と無言で歩き気合が入っていた。
林道途中で後ろから声を掛けて来た別の男女3人パーティーと出会う。
いきなり「エバさんですか?」と呼ばれびっくりしたが、札幌の某山岳会のメンバーで
大滝山を日帰りすると言う。その時に私のブログを参考に行くと言うのでまたびっくりだ。
記録がお役に立てたら嬉しい限りだ。女性のメンバーはチョーさんと知り合いだった。

長いアプローチも歩いて見れば1時間40分ほどで終点に到着し、山に登る前の準備体操と
考えればそれほど長くは感じなかったと言うのは私の感想だ。

大滝山のメンバーが先行して歩いたが、途中の分岐から左折するルートを選び、そこから
小尾根への急斜面を登ったと後で分かる。小尾根で彼らのトレースと合流し以降トレースを
拝借して南東尾根までお世話になった。



小尾根への登りは、さほどキツクはない


間もなく南東尾根出合、先行者のトレースを拝借して楽をする

★ 核心の南東尾根・・・
9:10 南東尾根 C680付近
林道終点から赤川の渡渉はまだ雪に埋もれた川に滑り降りる形で一気に越える。
対岸にも林道が続いているようにも見えるが不明だ。対岸がすでに次の小尾根と呼ぶ取付き点
でもあり、緩やかに登りながら尾根上を目指す。
小尾根で先行者のトレースと遭遇したが彼らの姿は見えなかった。

小尾根は、ダケカンバなどの疎林で歩き易く景色を楽しみながら登れる。
斜度は上に登るほど急になるが、今回はトレースにも助けられ難儀する事はなかった。

渡渉から小尾根に登りこの山行の核心部と言える南東尾根に着いたのが9:10。
約1時間ちょっと。林道歩きと合わせて約3時間のアプローチだった。
これはGAKUさんのほぼ計画通りで順調な滑り出しと言えよう・・・。

そして、いよいよ核心部の南東尾根である。



南東尾根最初のアルバイトは819への急斜面だ・・・ (写真提供:松ちゃん)


痩せた南東尾根を登り始める・・・


痩せ尾根に張り出した雪庇に登る私 (写真提供:松ちゃん)


大きな雪庇の傍を慎重に歩く・・・


南東尾根の西側眼下に「黄金山」が近くなってくる・・・


南東尾根の北側には徳富川を挟んだ隣に大滝山1038mが鎮座している


痩せ尾根もスキーで登れるのが嬉しい・・・でも長い


知来岳が見えて来る嬉しさ・・・(写真提供:松ちゃん)


ようやく本峰・知来岳が近くなって来た「格好良いねチョーさん」


チョーさんに続け! 念願の初登頂までもう少しだよGAKUさん。


目指す知来岳は間もなく・・・


次のコブでスキーデポしアイゼンを装着・・


スキーデポ地点 938付近


スキーデポ地点の私・・(写真提供:松ちゃん)


いよいよアタックする知来岳を注視する・・右奥は奥徳富岳1346m


知来岳のズーム


奥徳富岳のズーム・・左奥は群別岳1376m


主峰・暑寒別岳1491m


南暑寒岳1298m

★ いよいよアタック、そして登頂・・・
南東尾根までは、GAKUさんにほぼ先頭を歩いて頂いたがここからはサポート隊が先行する。
南東尾根の東側には大きな雪庇が所々に発達して危険個所が多くなり経験者の私がトップを歩いた。
知来岳まで約2.5キロ。左右の絶壁はどちらも標高差250m以上あるので落ちたらヤバイ。
とは言っても出合から最初のアルバイト的急斜面だけジグを切りながら登り標高点819のコブまで
来ると高低差の少ない尾根上となり雪庇に注意しながらもスキーで歩けるのが嬉しい。

時々、大滝山を目指しているパーティーが気になり辿るルートを注視して彼らを探すと米粒のように
小さな存在も徳富川の渡渉を終えて大滝山の西斜面を登っている姿が確認出来た。
あのルートは、私たちが2015年3月に登ったルートでなんだか嬉しかった・・・。

さて私たちのパーティーも順調過ぎるほどどんどんと頂上に近付き、天気も良くなってくる。
2年前より雪は多く雪庇も大きい。特に頂上直下の雪庇は以前とまったく違って見えて難儀しそうな
大きさに見えた。

少し手前の標高点938の先でスキーをデポし、アイゼンを装着する。
私は頂上直下の雪庇が気になったのでスコップを片手に持って先行する事にした。

歩いている尾根は、尾根上ではなく雪庇の上だったかも知れない・・・。
頂上手前の尾根だけは狭く雪庇の上と知りつつも慎重に辿るしかなかった。
微妙な通過点もなんとかクリアーしていよいよ最後、頂上直下の雪庇下に着いた。
ここは急斜度の上に2mを超える垂直の雪庇でピッケルだけでは越えられなかったと思う。
持って来たスコップが役に立ち足場を掘ってからピッケルを深く刺して支点にするとなんとか
攀じ登る事が出来た。
続いてチョーさん、GAKUさん、松ちゃんと登り切るとそこが知来岳の頂上だ!



スキーデポ地からアイゼンを付けてアタック開始だ! 大きな雪庇に圧倒される


ちょっと難儀した頂上直下の雪庇を登る・・・  (写真提供:松ちゃん)


GAKUさんも踏ん張って登り切る・・・

★ 快晴の知来岳登頂・・・
11:30 知来岳頂上。
快晴・無風・絶景の三拍子。
私とチョーさんは2度目の登頂。そして、松ちゃんとGAKUさんは初登頂である。
全員で固い握手をしながら登頂を喜び、何と言っても念願の知来岳に登る事の出来たGAKUさんに
拍手を送り「おめでとう!」と祝福する。

決して難しい山では無いが登り5時間~6時間を要する長丁場で体力を必要とする山である。
雪庇に注意し、アイゼンは必須の装備、そして天気が絶対条件かも知れない。
条件がすべて揃った山行だったかも知れないが、登り切ったGAKUさんの気迫に溢れる思いに
敬意を表し元気をもらった山行だった。

増毛山魂南の展望台とも言える知来岳は、奥徳富岳を筆頭に大滝山、南暑寒岳、主峰・暑寒別岳などを
間近に眺望し更に羊蹄山やアンヌプリ、積丹連山、芦別・夕張岳、大雪山系や日高も見渡す事が出来る。
快晴の知来岳にすっかりはまりそうな私だが、この絶景は本当に飽きる事もなく素晴らしかった。



3/21 知来岳頂上にて・・・背景は奥徳富岳(1346m)と群別岳(1376m)左奥の尖り


3/21 知来岳頂上にて・・・背景は南暑寒岳(1296m)と暑寒別岳(1491m)

★ 下山も楽し・・・
11:50 下山開始
前回と同様・・・
ずっとここに居たい気持ちは変わらないが、登ったら下りるのが登山のセオリー。
僅か20分の滞在だったが、絶景を目に焼き付けて下山する事にした・・・。

難儀した直下の雪庇をそれぞれ慎重に降りるとあとは辿って来たトレースを戻りスキーデポ地点まで
10分ほどで着いた。アイゼンから再びスキーに代えて938ピークでシールを外した。

スキーの指導員でもあるチョーさんは、もう黙っては居られないと狭い尾根上に格好良く
シュプールを描く。
それに続けとばかり私もシュプール・・・と思うが、そうは問屋が卸さない 笑

南東尾根から小尾根の下りになると雪が腐り始め湿った重い雪に変わってしまった。
表面の新雪が表層雪崩の様に崩れ下の固い雪面でスキーが横滑りしてしまう。
とは言え、下りのスキーはやはり早いし楽しい。

頂上から赤川の渡渉点まで登り約4時間に対し下りは2時間を切る速さだ。
林道も登り返しが無い緩やかな下りなので1時間と掛からずに登山口に着いた。



最後に降りた私・・・(写真提供:松ちゃん)


下山開始・・・


スキーデポ地に戻る・・・


名残惜しく振り返る・・・


938付近でシールを外し滑降?は楽しい!


赤川の渡渉から林道に登るところ・・(写真提供:松ちゃん)

★ お疲れ様でした・・・
先ずは、全員怪我も無く無事登頂し下山出来た事に感謝し安堵する。
そして、GAKUさんの念願に応えるサポートが今回のメンバーたちに支えられた事も記して置きたい。

HYMLのメンバーたちは、老若男女に問わず「登りたい」と願う意向があればそこに「登らせたい」と
サポートしてくれる老若男女も居て、且つ安全に登ってもらうための準備も怠らない・・と思う。
ビギナーと呼ばれる初心者から海外登行を積んだベテランまでHYMLには800名を超える会員が
在籍している。誰でもいつでもOK・・・ではないが、GAKUさんのように北海道の山を愛し会員たちと
毎年交流を深めている愛好者には自然と仲間が集うものなのかも知れない。

自分が70歳、80歳になった時・・GAKUさんのように山を続けられているのか。
そう考えた時、先輩たちの意欲ある背中は後輩にもしっかり見えて受け継がれるものと信じたい。
60歳の私が「もうヨレヨレで歩けない~」なんて弱音を吐くのは恥ずかしい・・・。

ゆっくりでも構わない。
「登れる」「登りたい」と思う強い意欲を持ち続けられるよう日々のもっともっと山に癒されたい。

次の日から全身筋肉痛と雪焼けした真っ赤な顔して仕事に行った。
「汚ったない顔だなぁ~!」と言われると何故が嬉しくて見えないところでニンマリする私だ。

同行して下さった皆様、お疲れ様でしたぁ~。


※ 3/26 一応アップ終了とします・・・。