朝方,アキラが泣いていた。それもひどく悲しげに,声をしゃくり上げるようにしてオイオイと泣いていた。傍らで母がしきりになだめている。そばに寄ってその訳を問うてみると,さっきまで飲んでいた「ビフィール」をちょっとこぼしたからだという。それも何とほんの1滴こぼしただけなんだって! オーイオイオイ,オーイオイオイと泣きつづけるアキラ。いったい何がそんなに悲しいのか。ビフィールのしずくで机を汚してしまっ . . . 本文を読む
最近のタカシが好んで行う遊び,それも室内遊戯についての話だが,基本的な得意分野はいわゆる“知能テスト”に類するゲームである。以下に列挙してみよう。
まず迷路。ずっとムカシからタカシは迷路が大好きな子で,遡れば2~3才の頃からいろんな本や雑誌に載っている迷路をよくやっていたようだが,最近では既成のものをやるだけでは物足りず,自らオリジナル迷路を作成するようになった。それも,親の贔屓目で見てもか . . . 本文を読む
タカシのオトモダチとの付き合い方に関して,父の仕事関係から一言余計を述べさせていただく。コイ科魚類の稚魚及び未成魚の河川内における競合ないし棲み分け状況,それらを観察していると,実にタカシらの「子供の領分」と同じようなものなんだなぁと思わせるものがある。例えば今の時期,早春のまだ冷たい川の中に入って水際をゴソゴソ探ってみると,ウグイやらアブラハヤやらオイカワやらタモロコやらモツゴやらニゴイやら, . . . 本文を読む
ここ2週間ほど前からほとんど毎日,ミーシャのところにオトモダチがやって来る。朝な夕なに,さらに夜中にも。オワ~~,オワ~~,オギャ~~,オギャ~~,といった声も賑々しく。声の主は『黒ちゃん』である。先日など台所から家の中にまで上がられて,おまけにスプレーのオマケまで頂戴した。ミーシャも結構気になるのか,声が聞こえるとすぐさま窓際まで駆け寄ってゆき,外の様子に耳を澄ましている。でも,外に出せばヤラ . . . 本文を読む
昨夜,タカシは気合いが入っていた。明日は絶対に一番になるんだ!いえ何,朝,幼児園に到着する順番の話なんですが。父と一緒に歩いて行く日は,これまでもかなり早く園に着いている方であり,「たんぽぽさん」(年長組)の中では一番になることも時々あるのだが,「なでしこさん」(年少組)に来るのがすごく早い男の子1人いるらしく,全員の中での一番には未だなっていないらしい。明日は時計の長い針が8になったら出ようよ . . . 本文を読む
昨日,家のすぐ近くの下水道建設工事現場で事故があり,作業員1人が死亡した。昼少し前,二階で仕事をしていると,消防車やら救急車やらパトカーやらがウーウーワンワンとけたたましくやって来て,すぐ近くに止まったようだった。窓から外を見ると表通りの方が非常に騒々しい。残念ながら当方,現在仕事超多忙中につき外に出て見に行くわけにはゆかなかったが,何やら大きな事故であることは十分に察せられた。その少し後で,ち . . . 本文を読む
現在私が住まうこの町には,はっきり申してマトモな文具店がない。一例を挙げるが,その店の名称を「○△紙店」(一部伏せ字)と記しておこう。誇らしげに“創業慶応二年”なぞと銘打っている。普段は訳あってほとんど行かないけれど,本日限りで全商品2割引セールを行っており,また現在急いで必要な品物も二,三あったので,近くまで出掛けた序でに立ち寄ることにした。店に入っていくつかの商品をピックアップし,さらにスコ . . . 本文を読む
アキラは元々,好き嫌いが非常にハッキリしている子なのだが,最近では時々「アキラ,おとうさんキライ!」などとアカラサマに言うようになった。それも,例えば夕食後の休息時,長椅子で新聞などボーッと読んでいる父のもとに何処からともなく擦り寄ってきて,そしてホッペとホッペをこすり付けんばかりにして密着しながらそう言い放ったりするのだ。その原因は恐らく,日頃アキラが本やオモチャを散らかし放題にしてほとんど片 . . . 本文を読む
先日,この4月にタカシが入学予定の小学校で保護者説明会というのがあり,母が代表して出掛けてきた。その際もらってきた資料のなかに「入学前の心構え」という一文があって,そこには計14項目にわたって大層な“心構え”が細々と記されていた。それらのうち,タカシにおいて多少なりとも困難を伴うであろうと思われる事項は以下のごとし。
・話を落ち着いて聞くことができるように。
・困ったことができたら,自 . . . 本文を読む