どこか遠くの方でマルセル・ムルージ Marcel Mouloudjiが歌っていた。抑揚のある不安定な音声で歌っていた。そのクセのある声が耳について離れない。順耳,順耳。 ボワシ,ブニュ,メ,サンカンタン。 エ,ジュビ,トジュー,アンディマンシュ...... おいおい,仏語文盲になっちまっただよぉ~。
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最近のアキラは,日常生活の様々な場面で兄のタカシをかなりライバル視しているように見える。恐らく3才年上のオニイチャンなどという意識はさらさらなく,ちょうど「山の子」にやって来るちょっと生意気なオトモダチ,といった風に接しているようだ。ただ,さすがに多くの場合においてアキラはタカシに敵わない。すると,その敵わないことに対する不満と苛立ちが,アキラをしてワガママ小僧への道に向かわせる。かくしてアキラ . . . 本文を読む
葛葉川ふるさと峡谷までドングリを拾いに,家族4人で出かけた。その行きと帰りとの道すがら,アキラは合計3回ころんだ。そのうち,2度の大きな転倒で右の膝小僧と左の膝小僧とをそれぞれ擦りむいて少々の血を流し,両の膝にミッキーのバンドエイドが誇らかに貼られた。しかし,何とも痛そうなこと!
アキラの欠点は,走る際に脚が十分に上がらないことだ。スリ足のようにしてヘタヘタ走る。それは多分,母親からの遺伝で . . . 本文を読む
夕方,裏のお宅のオバサンに声をかけられていた。それも猫なで声で「ミーシャ,おいで~。ホラッ,こっちにおいで~」などと呼び寄せられていた。最近におけるミーシャの放浪僻を周囲の人々がどのように思っているか,少々気になっていたのだが,あーあ,とりあえずは良かった良かった。シッシッなどと邪険に追い立てられたりせず,水や砂を掛けられたりもせず,むしろ愛想を振りまかれたりしている。この幸せ者が!
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昨日までビンボーであった自分がいて,今日ユーフクな自分がいる。その差はどこから来るかというと,いや何,銀行口座の預金残高が変更になった,単にそれだけのこと(ムフフ)。しかし,この事実は悲しい。
最近,アキラが通っている幼児サークルでの若い母親たちの井戸端会議で,こんな会話が交わされたそうだ。ウチの子,来年から3年保育で幼稚園に入れたいんだけれど,S園は月いくら? 27,000円? まぁ高い。 . . . 本文を読む
タカシは痛がりだ。夕食後の団欒時,ほんの冗談で手の甲に“富士山”をやっただけで,「いたぁ~~い!」と大声で叫んで泣き出す。それも本気で涙をいっぱい流して泣く。そして,泣きながら父に対してせいいっぱいの罵声を浴びせる。しばらくは冷戦状態(まぁ,10分位だけどね)。ホントニモウ,一体どこが痛いんだか。
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サルバトーレ・アダモ Salvatore Adamoの 《君が戻ってくる時》という古い歌が,ここ最近ときどきアタマの中をよぎる。それは,こんなフレーズだ。
君がまた ぼくの元へ戻って来るとき
ブドウの蔓は 君が嫌いだった壁を覆っているだろう
もう隙間風も入らない
さぁ ぼくは屋根を修理しよう
君はぼくの部屋が 春よりももっと暖かいことを知るだろう
だってそこには 1 . . . 本文を読む
本日は父親参観日,雨の中をひとり歩いて幼児園へと出掛ける。行事内容については特に改まった感慨はない。優しい先生方やよいオトモダチに囲まれてまことにタカシはシアワセである。
ひとつ,窓の外からタカシの諸々の行動を観察していて気付いたことは,ウチにいる時よりも何だかとても眼が輝いているようで,ひとつひとつの仕草が随分と楽しそうだ,ということ。それは多分,自分のやっていることに対して,家でのように . . . 本文を読む
最近,外出するのが日課になった。朝食を済ませるとすぐさま,行ってきまーす! とばかりに自ら網戸を開けてイソイソと出掛けてゆく。新たな寝床を何処に見出したのかな? 隣の芝生はキレイかな?
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4週間ごとのきまりでK病院へと定期診察に行く。これまでの担当医であったT医師が今月の15日で退職され,代って年の頃は40才前後と思われるNという医師が新たに私の担当医になった。しかしこれがまた何ともブッチョウ面の陰気な男。当方の初対面の挨拶に対してもまともに返答すらせず,喋ることは最小限必要事項を俯きながらボソボソッと小声で言うだけ。まぁ,新任間もないので未だ当病院内の勝手が分からないのかも知れ . . . 本文を読む
秦野駅まで用事があって4人でそろって出掛けた。昼刻だったので,パン屋の北欧でパンなど買って駅前の新設ペデストリアン・デッキのベンチに座って簡単なお食事をする。その後,何処に行こうかねぇ何処にとあれこれ考えて,発作的な思い付きで電車に乗って3駅先の伊勢原市立こども科学館へ行くことにした。シカシ何だな,タカシは基本的に体力不足なのだろう。電車の中で,始めは窓の外をキョロキョロ眺めていたが,そのうち飽 . . . 本文を読む
今夜は久しぶりにバルバラ Barbaraを聴く。《マリエンバード》や《我が麗しの恋物語》などのエキセントリックでアンバランスな抒情が,不肖ワタクシにとっての失われた数多の時間を思い起こさせ,しばしドラッグ・トリップ状態に陥ってしまう。ハズカシナガラ,その香りは甘く,そして苦い。なるほど,その昔 桑原武夫先生がどこかでおっしゃっていたように,時間というものは決して単純一様で均一な放水路のような人工 . . . 本文を読む
アキラは自由の子だ。アキラは自分のやりたいことが思うように出来ないと,たちまち怒る,あるいは泣く。例えば夜,寝る間際になって,急に本が読みたくなる,あるいはビデオが見たくなる(それは何の本でも何のビデオでも構わないんだけどね)。その思いが叶わないと知るや,とたんにワガママ小僧と化してしばし荒れまくる。
ところで,恥かしながら遅まきながら昨日やっと了解したのだが,アキラは好きなことを自由にやら . . . 本文を読む
最近,指相撲をやるのが面白いようで,誰彼ともなく相手に誘ってはよくやっている。しかも信じられないことに,結構強いんだこれが。ふと,フリー・クライミングを仕込んでみようかしら,と思った。
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午前の1時間ほど才ヶ分という所(それにしても変な地名だ)にある秦野市交通公園に出掛けてタカシといっしょに自転車に乗って遊んだ。タカシにとって久しぶりの自転車ではないだろうか(もちろん,いまだ補助輪は欠かせない)。本人は結構楽しんでいるようで,ホラホラー,ドケドケー,とか誰に対するでもなく声を発しながら無茶にも思えるほどスピードを出して走り回るのだが,如何せん握力が極めて非力で,ブレーキをキチン . . . 本文を読む