当地へ転居してからもうじき5年になろうとしている。同じ土地に5年間も住んだのは,まだ西も東もわからなかった子供の頃は別として,少なくとも成人してからは初めてのことだ。いや何,どこぞの風に吹かれてきたって訳ではさらさらないんだけれど。 ん? ということは,今年で5回目の“たばこ祭り”を迎えたことになるわけだ。
この町に移り住んで最初に驚いたのが,毎年9月下旬に行われる“たばこ祭り”というイベン . . . 本文を読む
アキラ対策その2
最近では,あんまり勝手し放題で父の言うことをゼンゼン聞かないときは「そんなにいうことを聞かないと,もう,川に置いてきちゃうよ!」などと思わず口に出してしまう。そして,アキラと父との間で以下のような会話が交わされる。
「え? みずのなかに?」
「いや,水の中に入れたら死んじゃうから,川のすぐ近くの草のところに置いてくるよ」
「あー,よかった」
「でも,そのへんは,クモの . . . 本文を読む
大相撲の秋場所が終わった。内外ともどもに騒々しい場所であった。おかげでスモウ・レスリングについて少々ツマラヌことを考えてしまった。
日本古来の,という枕詞が常に冠せられるこの風変わりなゲームは,そもそも現代の私たちの日常においてどのように位置づけられているのだろうか。
無論,スポーツとはいえまい。いわゆるラジカルでプリミチブな伝統芸能。異形の者たちが織り成すすぐれて攻撃的な,しかして勿体 . . . 本文を読む
夜,寝る前の時間,一緒に本を読んだりしているときに,「オトウサンはもうすぐシュッチョーに行くんだよ」と言うと,アキラはとても喜んだ。それも「エー?ヤッター!」とかいうような感じで,だ。その対応に少々気落ちしつつも,「ねぇ,何でオトーサンがシュッチョーに行くのがそんなにうれしいの?」と改めて問うてみると,その答えは以下の如し。
(1) リンゴとかコンブとかのオミヤゲを買って来てくれるから
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1ヶ月ほど前,老眼鏡をあつらえた。当世流行の「境目のない遠・近両用」ってヤツである(正しくは室内専用の「中・近両用」だが)。これが大層具合がよろしい。
ここ1,2年視力の衰えかなり著しく,近くのモノが悲しいくらいに見えなくなって,特に夜など,新聞や小さな活字の雑誌などを読むことが非常に辛くなっていた(そして,だんだんとナマケモノになってゆく)。また,仕事においても,例えば調査で川に入ってカゲ . . . 本文を読む
アキラの言辞・言動について。今に始まったことではないのだが,とりわけ最近のアキラは父の言うことを聞かなくなってきた。交わした約束を守らなくなってきた。ここらで本腰を入れて適切な教育的指導を強めてゆかねばアキラの性格はテポドン1号,あらぬ方向に逸れていってしまうことが懸念された。
で,今日の夕方,アキラを父の前に呼んで星座もとい正座させ,次のような言葉をいうように,それも父の後をついてゆっくり . . . 本文を読む
オトモダチづきあいも度が過ぎると少々困ったことになる。昼間,こんなことがあった。
午前中,いつものように二階で仕事をしていると,部屋の外のそう遠からぬところからフギャフギャフギャー!と大きな悲鳴があがった。何事かと驚いて部屋を出てあちこち探索してみると,なななんと!寝室の隅っこの方に「黒ちゃん」がちゃっかりと座っており,こっちを睨んでいるではないか。一方,お相手たるミーシャはどこにも見当たら . . . 本文を読む
夜10時近くに,タカシが通う小学校から連絡網の電話があった。何でも近所の山にクマが出たので,明日の祝日はくれぐれも気をつけるようにとのこと(ヲイヲイ,どこなんだ此処は?)。
電話を置いてから,やおら地図を取り出して広げる。出没したのは弘法山界隈だという。ウチから車でほんの5分程の,山というよりは小高い丘が連なるようなところだ。桜の名所で標高はほんの200m程度,ぐるり周囲の山麓には住宅地が密 . . . 本文を読む
毎度毎度の繰り言になるが,ここ数年は自分自身でもはっきりと自覚できるほどに体力・気力の衰えが著しく,あっちこっちの筋肉はおしなべて脆弱になり,ココ壱番,もとい,ここ一番というときの集中力がなかなか保持できず,記憶力は当然ながら確実に劣化し,脳細胞は多分みっともないくらいに収縮し,そして過去に経験してきた(に違いない)数多の事柄のうち確実に思い出しうることがますます限定されてゆき,アタマの片隅には . . . 本文を読む
タカシが壁にぶち当たっている。何度も何度も挑戦しても一向にその先に進めず,真剣に,一心不乱に繰り返すのだが,それでも敵は非常に手ごわいようなのだ。時間だけは徒に経過してゆく(30分単位で)。その傍らでノートパソコンで家計簿なんぞを入力していた父は,暫くの間じっと固まって動かなくなってしまったタカシの様子をやや不審に思い,顔を覗きこんでみると,なんと目にいっぱい涙をためていた。
「どうしても, . . . 本文を読む
憂鬱な心境の断片を少々。今般,世界的規模で発生している異常気象,ならびに多少なりともそれに起因すると考えられる本邦特定地域における河川の増水・洪水・氾濫,あるいは場所によっては減水・渇水・干出等々の自然現象,河川流域で日々を暮らす人々にとっては歓迎されざる,いや憎むべきといった方がより適切であろうが,そのような自然現象に関して,人は私に何を発言せよというのか? (いえ,二,三の方面から聞かれたり . . . 本文を読む
ごく一般的かつ妥当な見解だと思うのだが,夜のニュース番組のスポーツコーナーに出てくるアナウンサー男たち,それらは有体にいってかなり不快な存在である。特に私が気になるのは,ニュースステーション(TV朝日系列)の男とブロードキャスター(TBS系列)の男だ。両人の共通点としては,いずれの男もしばしば意味もなくウレシソウにニヤケた面をカメラに向かって振りまく。メインキャスター(前者は久米,後者は福留)に . . . 本文を読む
長時間のデスク・ワークに疲れると,時おり窓を開けて外をボンヤリと眺めたりする。ちょうど今の季節,私の二階の仕事部屋のすぐ外側にはカツラの高木が葉をいっぱい身にまとって覆い繁っており,背景となる丹沢山塊の山並が視界からほとんど塞がれてしまう。しかし,それは決して不愉快な風景ではない。
約4年半ほど前,我が家の三角庭(猫の額その①)に,頼りないくらいにヒョロヒョロのカツラの若木(樹高約3m)を植 . . . 本文を読む