レオンLéonという名のオス猫が,ここ数年来,老いたる私の日々の徒然に,まるで影のように,あるいは背後霊のように,いつも寄り添いながら共に暮らしている。それも昼夜をわかたず,ほとんど四六時中,私の行く先々を執拗について回り,ミャーミャー鳴いては私の足元に絡みつくように,時には先回りして行手を塞ぐようにして,絶えず私を見守り,観察し,監視している。
ある時は背後から急にジャンプして,私の草臥れ萎縮したネコ背気味の背中に飛びつくこともある(マウンティングか?) 薄着の今の時期だと,その爪が肌に引っかかったりして少々痛い。場合によっては爪が食い込んで薄っすらと血が滲むこともしばしばだ。あまつさえ,私が少し屈んで作業している時など,それがいかなる意味を持つ行動なのかはよく解らねども,突然前方から飛びかかって両の前足で私の頭部を挟み込むような仕草を行うことすらある(真剣白刃取りか?) さすがにそのような時は爪は立てない。もし爪を出されたりしたら,こちらの顔面が血だらけになってしまう!
おそらく彼は彼なりに私に対して何かを訴え,主張しているのだろう。不甲斐ない私の日常態度,ないし日々の緩慢なる行動を咎め諌めているのかも知れない。あるいは,精一杯の叱咤激励とかを行なっているのかな?
もちろん,以上のような諸々の所作振る舞いは,すべて「家屋内限定」の出来事なのであるからして,私が自転車活動等で一寸家を不在にする時などは,それらの呪縛から束の間ながらも解放される。その代わり,帰宅時における彼のお出迎え歓待ぶりハシャギぶりときたら,それはもう賑々しくも騒がしい限りだ。一方で,野外での自転車活動が少々長引いて半日余り家を留守にしたときなどは,帰宅して私室のドアをそっと開けると,部屋の隅の方に縮こまったまま蹲って居り,やおら小さな掠れ声でニャ〜と弱々しく鳴き,それからユルユルと近寄ってきて私の足元を遠慮がちにスリスリしたりする。そうかそうか,ずっとヒトリボッチで淋しかったのか。ヨシヨシ,美味しいオヤツあげるからネ,などと語りかけるようにナデナデしつつ,いそいそと戸棚から猫フードの小袋など取り出して慰めてあげねばならない。そんな,メソメソ&ビビリの内弁慶の子なんだけれども,そこがまた何とも切なく愛おしい。孤独な老人の唯一無二の大事な相棒,などと申せば聞こえがいいかも知らんが,要するにコンラート・ローレンツ博士におけるハイイロガンというか,有体に申せば紛れもないストーカーとしての存在だろう。けれども,その存在自体が,その一つ一つの行動自体が,ジジイのオキシトシン(幸せホルモン)を増長させることに寄与しているのもまた確かなのだ。
ところで,巷間著名な養老センセイのお宅の愛猫《まる》は過日安らかに大往生されたらしいが,あのような由緒正しき血統の猫(スコティッシュフォールド)であるとか,あるいはまた,昨今ホームセンターなどのペットコーナでガラス張りケージの中に鎮座して展示販売されている,すこぶる可愛らしく,同時にすこぶる高価なさまざまな種類のペット猫(アメショやら,マンチカンやら,チンチラやら,ラグドールやら)だとか、それらの「高貴なネコたち」などとは全く比ぶるべくもない,ウチの《レオン》の方はその出自も血筋も系統もまったく不明な,いわゆる「保護猫」として身請けしたごくごく普通の日本猫なのである。まぁ、我が家には分相応,ってヤツかも知れない。もっとも,私のような高齢者は保護猫を引き取ることができない規定になっているとのことで,譲渡に際して実際の里親になったのはウチの妻の方だ。それでも彼と最初に出会い,彼の容姿や仕草にたちまち惹かれ,そして彼を引き取って我が家の一員に加えることを強く望んだのは他ならぬ私の方なのだ。当然,名付け親も私自身である。2019年2月(頃)の生まれというから,現在2歳半になる。
そんな彼のことを,この先少しだけ記録しておこうと思う。
ある時は背後から急にジャンプして,私の草臥れ萎縮したネコ背気味の背中に飛びつくこともある(マウンティングか?) 薄着の今の時期だと,その爪が肌に引っかかったりして少々痛い。場合によっては爪が食い込んで薄っすらと血が滲むこともしばしばだ。あまつさえ,私が少し屈んで作業している時など,それがいかなる意味を持つ行動なのかはよく解らねども,突然前方から飛びかかって両の前足で私の頭部を挟み込むような仕草を行うことすらある(真剣白刃取りか?) さすがにそのような時は爪は立てない。もし爪を出されたりしたら,こちらの顔面が血だらけになってしまう!
おそらく彼は彼なりに私に対して何かを訴え,主張しているのだろう。不甲斐ない私の日常態度,ないし日々の緩慢なる行動を咎め諌めているのかも知れない。あるいは,精一杯の叱咤激励とかを行なっているのかな?
もちろん,以上のような諸々の所作振る舞いは,すべて「家屋内限定」の出来事なのであるからして,私が自転車活動等で一寸家を不在にする時などは,それらの呪縛から束の間ながらも解放される。その代わり,帰宅時における彼のお出迎え歓待ぶりハシャギぶりときたら,それはもう賑々しくも騒がしい限りだ。一方で,野外での自転車活動が少々長引いて半日余り家を留守にしたときなどは,帰宅して私室のドアをそっと開けると,部屋の隅の方に縮こまったまま蹲って居り,やおら小さな掠れ声でニャ〜と弱々しく鳴き,それからユルユルと近寄ってきて私の足元を遠慮がちにスリスリしたりする。そうかそうか,ずっとヒトリボッチで淋しかったのか。ヨシヨシ,美味しいオヤツあげるからネ,などと語りかけるようにナデナデしつつ,いそいそと戸棚から猫フードの小袋など取り出して慰めてあげねばならない。そんな,メソメソ&ビビリの内弁慶の子なんだけれども,そこがまた何とも切なく愛おしい。孤独な老人の唯一無二の大事な相棒,などと申せば聞こえがいいかも知らんが,要するにコンラート・ローレンツ博士におけるハイイロガンというか,有体に申せば紛れもないストーカーとしての存在だろう。けれども,その存在自体が,その一つ一つの行動自体が,ジジイのオキシトシン(幸せホルモン)を増長させることに寄与しているのもまた確かなのだ。
ところで,巷間著名な養老センセイのお宅の愛猫《まる》は過日安らかに大往生されたらしいが,あのような由緒正しき血統の猫(スコティッシュフォールド)であるとか,あるいはまた,昨今ホームセンターなどのペットコーナでガラス張りケージの中に鎮座して展示販売されている,すこぶる可愛らしく,同時にすこぶる高価なさまざまな種類のペット猫(アメショやら,マンチカンやら,チンチラやら,ラグドールやら)だとか、それらの「高貴なネコたち」などとは全く比ぶるべくもない,ウチの《レオン》の方はその出自も血筋も系統もまったく不明な,いわゆる「保護猫」として身請けしたごくごく普通の日本猫なのである。まぁ、我が家には分相応,ってヤツかも知れない。もっとも,私のような高齢者は保護猫を引き取ることができない規定になっているとのことで,譲渡に際して実際の里親になったのはウチの妻の方だ。それでも彼と最初に出会い,彼の容姿や仕草にたちまち惹かれ,そして彼を引き取って我が家の一員に加えることを強く望んだのは他ならぬ私の方なのだ。当然,名付け親も私自身である。2019年2月(頃)の生まれというから,現在2歳半になる。
そんな彼のことを,この先少しだけ記録しておこうと思う。