アキラは元々,好き嫌いが非常にハッキリしている子なのだが,最近では時々「アキラ,おとうさんキライ!」などとアカラサマに言うようになった。それも,例えば夕食後の休息時,長椅子で新聞などボーッと読んでいる父のもとに何処からともなく擦り寄ってきて,そしてホッペとホッペをこすり付けんばかりにして密着しながらそう言い放ったりするのだ。その原因は恐らく,日頃アキラが本やオモチャを散らかし放題にしてほとんど片付けることをしない,その散らかし方もちょっとハンパじゃない,そのような状況に対して父がしばしばキツク注意をするせいだ。その点,母はアキラに対してかなりルーズな対応をしているようであるが,父はアキラのそんな性格を容認できず,何とかして矯正したいと願っている。そのせいだか最近では注意の頻度も増している気がする。そして,それが衝突を生む。
キライ!と言われた父は,とりあえず泣く。エーン,エーンと声を出してオーバー・アクション気味に泣く。するとアキラは,ニコニコしながら父の頭をなでる。恐らくアキラは父を泣かせたことがウレシイのだろう。立場が逆転したことがウレシイのだろう。タカシ風に言えば,よっしゃー,この勝負もらったー!というわけか。
でもね,アキラ,頭をなでてもらった父も,実はちょっとウレシイんだよ。
キライ!と言われた父は,とりあえず泣く。エーン,エーンと声を出してオーバー・アクション気味に泣く。するとアキラは,ニコニコしながら父の頭をなでる。恐らくアキラは父を泣かせたことがウレシイのだろう。立場が逆転したことがウレシイのだろう。タカシ風に言えば,よっしゃー,この勝負もらったー!というわけか。
でもね,アキラ,頭をなでてもらった父も,実はちょっとウレシイんだよ。