2022年10月13日(木)午前 10時~11時15分
第17回講座 「世界の財産 鵜殿のヨシ原」
講師:TKK自然観察会 代表 田口 圭介 さん
鵜殿のヨシ原とは、三川(宇治川、木津川、桂川)の合流地点から、約2.5Km下流の淀川右岸の河川敷に広がるヨシ原の群生地です。
面積は73haで、甲子園球場の約16倍にも及ぶ広大な広さがあり、野鳥や動植物にとっても貴重な生息地でもあります。
田口さんからは、以下のような内容のお話をいただきました。
1.淀川の流れと治水 (古代から江戸時代、現在に至る地形変化、治水工事そして歴史など)
2.鵜殿のヨシ原の自然を守る活動 (つる草取り、小学生への鵜殿教育)
・1971年以降治水工事の影響で、冠水がなくなり乾燥化が始まり、乾燥化に強い
ツル性植物の繁茂によりヨシ原の衰退が始まった。
3.ヨシ原の自然観察会 (哺乳類、植物、野鳥、昆虫の観察状況)と生態系
4.鵜殿ヨシの活用(雅楽器のひちりき)や ヨシを守る運動の新しい展開 など
・世界広しと言えども、ひちりきの蘆舌(リード)は鵜殿のヨシ原でしか
採取できない。
カヤネズミは、絶滅寸前とまで言われている小動物です。
田口さんのお言葉を紹介しておきます。
「鵜殿ヨシ原が抱える問題に色んな立場から取り組まれていますが、現在、これで解決という具合
にはいきそうにありません。でも、やっぱり鵜殿ヨシ原は素晴らしい、市民にとっては大きな自然
と文化の宝庫だと思います。次代に引き継ぐべき "財産”だと思います。」 以上 田口さん言葉
高槻市民として、「鵜殿」という貴重な財産をもっていることに誇りを感じると共に、
次世代に残せるよう微力ながら努めたいと感じました。
◇ 「ナガエツルノゲイトウ バスターズの活動紹介」 11時15分~30分
高槻市・ナガエツルノゲイトウバスターズ : 赤對(しゃくつい)さん
(環境大學5期生)
ナガエツルノゲイトウ(長柄蔓野鶏頭)は、南米原産で特定外来生物に指定され、
「地球上最悪の侵略的植物」と呼ばれる。
水草なのに乾燥に強く水陸両生、放置すれば ①水生植物を追いやる。 ②水田に入れば
稲の生育を妨げる。 ③風や水流で茎が切れれば塊のまま流れ、水利施設を詰まらせる
などの恐れを引き起こす。 という厄介な植物です。
2016年以降、高槻市内で駆除作業が続けられていますが、繁殖抑制を実現する大原則は
「早期発見」「早期駆除」であり、市民による繁殖地の早期発見が大切とのことです。
*バスターズの活動: 毎月 第1、第3水曜日 10時~12時 雨天中止
連絡先=高槻市立自然博物館(あくあぴあ芥川)
皆さんの参加 お待ちしています。
2022年10月13日(木)午後12時45分~15時
第18回講座 「鵜殿のヨシ原を歩いてみよう」
講師:たかつき環境市民会議 辰巳 英輔 さん
スタートに先立ち、石碑前で辰巳さんから説明を受けました。
淀川流域には大小いくつかのヨシ原がありますが、鵜殿は最大規模であり、関西自然に親しむ
風景百選にも選ばれていて、当日は好天に恵まれ目前に天王山や石清水八幡宮で知られる男山
そして遠くには比叡山も見ることができました。
河川敷に降りて鵜殿への入り口には、地図の看板がありました。
鵜殿ヨシ原には、ヨシの仲間以外に数百種類の植物が生育しており、その中には希少種といわれる種も確認されているそうです。
当日は、事前に鵜殿でみられる植物40種類のリストが配布され、辰己さんの説明を聞きながら
一つ一つリストと照らし合わせながら鵜殿を約2時間散策しました。
前半は圧倒的にツル性植物が多く、1列になって進みます。ヨシは見えません。
ヨシの天敵であり、ヨシ群落に悪影響を与える カナムグラです。木や草にからみつきます。
ナンバンギセル (その花の姿から思い草ともいわれる万葉植物の一つ とのことです)
ヒメジョオン
オオイヌタデ
3mほどに成長した ヨシ (本年多数のボランティアの手でつる草取りがされた区域)
行程の終盤にやっとめぐり逢えました。
辰巳さんから教えていただきました。
葭:芽生えの時のヨシ 蘆:成長期のヨシ 葦:穂が出たところのヨシ(今の時期)
お疲れ様でした。約2時間の行程を終えて土手に戻ったところです。 (右に説明看板)
今回は、植物観察を主に散策しましたが、鵜殿は小動物や野鳥の宝庫でもあるそうです。
チャンスがあれば、カヤネズミやホンドキツネ、オオタカやミミズクに出会いたいものです。
次回の講座 10月27日(木)
午前:「生物多様性保全と里地里山」
午後:「里山を歩いてみよう」
講師:兵庫県立大学 名誉教授 服部 保 さん
場所:原公民館 集合