元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

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法定休日の指定と割増賃金<「行政実例」等=厚労省の通知・Q&Aを中心に>、また公休とは?

2013-10-27 05:48:51 | 社会保険労務士
 週休2日制の場合、どちらが法定休日か?

 
 法定休日に関して、当プログを参照される方が多いことに気がつきました。この法定休日の概略については、最後の欄にお示ししたところをクリックしていただくと案内できるようにしましたが、今回は、これに関連して、厚生労働省のいわゆる「行政実例」等を中心に、説明をさせていただきます。

 「法定休日」については、労働基準法で規定していることから、法で定めたという意味での「法定休日」と一般的には云っていますが、労働基準法第35条において、次のように規定しております。
 <労働基準法第35条>
 ①使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない。
 ②前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

 すなわち、休日は毎週1回以上与えなければならないが、4週間に4日以上という弾力的な対応でも可能であるとしています。4週間のうち、まとめて4日とってもいいということになりますが、原則はあくまでも1週間に1日の休日が原則です。これに対し、法定でない休日のことを、所定休日(会社で定めた休日)と一般的には呼びます。

 そこで、法定休日については、一週間のどの日を法定休日にするかを決めなければならないのかということですが、いわゆる、行政実例において、次のように述べております。
 <休日の特定について(昭和23年5月5日基発682号、昭和63年3月14日基発150号)>
 労働基準法35条は、かならずしも休日を特定することを要求していないが、特定することがまた法の趣旨に沿うものであるから、就業規則の中で単に一日といっただけではなく、具体的に一定の日を休日と定める方法を規定するように指導されたい。
 常時10人未満の労働者を指導する事業においても、具体的に休日を定めるよう指導されたい。

 この「指導されたい」といっているのは、国の本部から各地方の出先機関に対して、通知しているからこう云っているのだと捉えていただければいいのですが、これによると、具体的にどの日を法定休日にするかを決めたほうが、労働者保護の労働基準法の趣旨から考えて、より良いといってはいるのですが、望ましいといっているだけで、ここで云っているように、かならずしも法違反ではないではありません。繰り返しになりますが、法は、単に1週間に一日の休日を与えればよいということになります。

 では、これを特定しなければ、特に週休2日のように1週間に2日休みがあるときは、どちらが法定休日になるのかとなると、厚労省「Q&A」において
 改正基準法にかかる質疑応答(平成21.10.5厚生労働省)
 Q 法定休日が特定していない場合で、暦週(日~土)の日曜日及び土曜日の両方労働した場合、割増賃金体系の際にはどちらを法定休日労働として取り扱うのか。
 A 法定休日が特定されていない場合で、歴週(日~土)の日曜日及び土曜日の両方労働した場合は、当該歴週において後順に位置する土曜日における労働が法定休日労働となる。

 
 お分かりのように、土日のどちらか一方を働いたとするならば、週に1日の法定休日を与えなければならないのだから、その働いてない休みの日が、法定休日なのであり、土曜日に働いたならば、結果的に日曜日が法定休日であることになります。両方働いた場合には、どうなるかというと、残った後順の休日であって、週(月火水木金)終わりの「土曜日」が法定休日労働日ということになります。
 これを日曜日を法定休日にするためには、就業規則において、「当社の週の開始は、月曜日とする。」旨の規定をもうければよい。「月火水木金土日」となって、日曜日が週の後順になります。

 このように、週休2日制の場合に、なぜ、わざわざ、どの日が法定休日労働なのかを特定して、区別しなければならないのかというと、法定労働日は、時間外労働がの割増賃金が2割5分増しの割増賃金であるのに対し、法定労働日の割増賃金は、3割5分増しの賃金になるからです。支払額に差が出てしまいます。そこで、週休2日の法定休日の指定をしていない場合には、土日のいずれか一日の残業のときには、残った休みである日が法定休日になりますので、働いた一日の残業日は、一般的には、普通の日(月~金)の残業と同じく、2割5分増しの時間外労働を払えば、法的には可能といえば可能ということになります。

 ただし、普通の時間外労働(2割5分増し)として捉えられますので、法定休日労働を除いた、これらの時間外労働が1か月に60時間を超えると、22年の改正になった改正労働基準法により、5割増になりますので(*注*) 、残業をかなりしている職場においては、逆に時間外賃金を増額して支払わなければならないことになります。

 蛇足になりますが、公休日という言葉があります。「国語的な」解説(読んでのごとく、1.公に与えられた休日 2.同業者が申し合わせて休む日 とあるが、いまいち分からないのです。)もあって、いろいろな考え方もあるようですが、ウィキペディアの解説が私には、しっくりきました。この解説の「脚注」にあるところですが、「1週間40時間を超えて労働させてはならないとすると、一日8時間労働の場合は週5日労働で40時間を超えてしまうので、原則的には残りの2日は公休にしなければならない」と解説してあり、基本的にはこれが公休日であるのかなと・・。
 (とすると、公休日は、「法定休日」云々とは、全く意識はしているものではないことになりますが、
  しいて云うならば、法定休日・所定休日の両方含むことになります。)

 初めにかえって、そのまま、ウィキペディアの解説文から引用します。

 <公休>公休とは、労働者に付与される休日のうち予め使用者側から指定されたものをいう。一般的な企業では、土曜日・日曜日・祝日が公休日になっていることが多い。
 <公休日>公休とは、一般には土曜日・日曜日・祝日である。ただし、交代制の職場の場合、決まった曜日が公休日になるわけではない。一日8時間労働の場合は、日本では104日確保しなければならない。
 <その他の休日>有給休暇のように労働者側から請求して取得してする休暇は公休ではない。また、工場などでは「有給休暇一斉行使日」が指定されていて、全員が休業しなければならない日がある会社があるが、これも公休ではない。

(*注*) 法定休日を指定して、法定休日労働になると、「時間外労働」60時間のカウントから外れるので、5割増ではなく、本来の3割5分増しである。
この残業60時間超の場合の5割増しの賃金については、中小企業者については、現在のところ、猶予されている。(施行3年後見直し)


「法定休日・所定休日とは」の説明へ

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