兵庫県は外部弁護士への告発制度が用意されていなかった・・・・・・
兵庫県斎藤知事のパワハラやおねだり体質等疑惑が問題となっているが、告発した元県播磨県民局長は、百条委員会に出席するはずだったにも関わらず、自殺(抗議の覚悟の自殺か)していたことが明らかになった。この職員に知事は嘘八百の事実無根だとして、局長本人に停職3か月の懲戒処分をしていたのである。
公益通報者保護法は、いわゆる内部告発した労働者(ここでは県民局長)に対し、事業者(ここでは知事である)は、解雇のみならず不利益になるような取り扱いは禁止されているところである。兵庫県の公益通報制度が、残念なのは、人事課等の内部機関への通報制度はあったが、外部の弁護士への通報が用意されていなかったところにある。だからといっては、なんなんだが、元局長は初めから県議・報道機関への告発へ動いたのではないか。外部弁護士への介在があったら、この制度はうまく機能できたかは結果をみなければ分からないが、少なくとも、今の混乱した状況にはならなかったのではないかとも思える。(実は県民局長は、報道機関等の告発の後に、内部通報制度により再告発。)。
私は同じ県組織に勤めていた元宮崎県職員である。宮崎県の公益通報制度は私の職員時代に出来たもので、記憶をたどれば、人事課への内部通報と外部の弁護士への通報があった。そして、現在の発表されている宮崎県職員公益通報制度実施要綱をみれば、弁護士への通報は、実名は弁護士のみで人事課へは匿名扱いできるとなっている。そうでなければ、弁護士への告発であっても、告発者本人の名前が知られることになり、握りつぶされかねない懸念もあって、弁護士告発制度のない兵庫県のように告発者は頭から報道機関への発表となってしまうのはないか。兵庫県という大きな組織において、外部の弁護士への告発が用意されていなかったところに大きな問題がある。(⇒このような場合にあっては、直接、報道機関への告発となっても、公益通報者保護法で、告発者は守られるものと考えられる。)
この公益通報者保護法が、残念なのは、実際のところ機能していないのが実態であるように思う。地方公共団体においても、民間においても、告発をする労働者が、事業者の監督下にあり、事業者は強力な解雇などの懲戒処分をもって対応できるからである。そのためこの法律が出来たといってもいいのだが、実態はまだまだこの法律自体が周知徹底されていないところにあるように思う。告発した労働者が最後に泣きを見るような結果になるのでは、この法律の意義がないのである。単なる解雇の無効、降格、減給などの不利益の禁止に加えて、法改正により事業者は通報によって受けた損害賠償も請求できないとなった。しかし、法律そのものがちゃんと履行・徹底されない以上、すなわち「解雇等の労働者の不利益そのものがなくならない限り」問題はなにも解決されないのである。
この記事を書いた翌日、テレビのひるおびを見ていたら、元鳥取県知事の片山善博氏が出演していたが、この公益通報者保護法は商品欠陥等の消費者保護から発展したので、「公益通報者の保護」というのが一般化してないこともあるのではと話されていた。また、片山氏や同時出演の佐藤みのり弁護士は、告発者に事業者がこの不利益を与えた場合は、罰則を設けることも必要なのではと話されていた。いずれにしても、もっとこの法律を強化し認識してもらう必要があるのではと思う。(24.7.18追記)
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