今日は雨かと思っていたら、朝から晴れたので、櫨の下草を刈ることにしました。
(有)原田緑地建設の原田一彦社長は第一期生の樹木医です。昔、美しかった櫨紅葉の風景が失われていること、植木苗木の里のルーツとなった松山櫨の話を聞いて、最初に協力してくれ、毎年、松山櫨の接ぎ木にも挑戦していただいています。
私が困っている状況を伝えると「よし、オレがしちゃろう!」と、原田社長は快く引き受けてくれました。
電話の翌日、なんとさっそくリフト作業車で櫨屋敷に来てくれて、大家さん立ち会いの下、剪定作業に取りかかりました。
密集していた松の枝。枯れた松の葉っぱが溜まり、それが固まりとなって全体を暗く覆っていた松の枝をバッサバッサと取り除いていきました。
「ついでに下のヤブも切っちゃろう。」と原田社長は他の庭木の剪定までしてくれました。
10メートル以上の大きな夫婦松です。結局、丸一日かかった剪定作業は、全て原田社長のボランティアでした。作業が終わると一切の報酬は受け取らず、颯爽と帰っていきました。
ふと見上げると、恐ろしいほど密集していた枝が取り除かれ、すっきりと整えられた枝の向こうには青い耳納連山が見えました。
そして、風です。
松の枝の間から、爽やかな風が吹き込んできました。
湿って淀んでいた地面の空気が入れ替わり、建物も生き返ります。人々は安心して訪れ、庭を楽しむことができるようになりました。
外から建物もはっきりわかるようになりました。
「もともと日本人はこうやって庭木と共に暮らして来たんだ。」と原田社長。
ガーデニングは、庭を生かし、建物を生かし、そして人を生かすこと。
身近に緑を置くことで、心を豊かにすること。
松の剪定をすることで、原田社長は櫨活動の応援のみならず、ガーデニングの真髄を身を以て表してくれました。
そしてようやく私はガーデニング教室の幕を開けることができたのです。
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久留米まち旅プログラム「筑後川河畔の湯宿で奏でる日本の秋の夕べ」が無事に終了しました。
以前から、櫨灯りで食事をいただくイベントができないものかと思っていたので、ようやく念願叶いました。
和ろうそくは茶道の「夜噺」で使いますが、ほとんど一般の人には馴染みがなく、参加するには少し敷居が高いのが難点です。そこで少し敷居を下げて、「お食事会」にすることで一般にも良さを広められるのではないかと考えました。
古い旅館で行ったので、ミニコンサートや受付の時の照明、トイレの照明とか、急な階段の照明には非常に悩みましたが、不安を感じさせない程度の明るさで照明を行いました。
お座敷に座っての食事の時だけは、櫨灯りのみです。
今回は「浮き櫨きゃんどる」という水に浮かべる櫨キャンドルを使いました。櫨蝋と芯を使った和ろうそくの灯りそのままに、大きく揺らぎながら燃えていきます。
へら絞りという特殊な金属加工をほどこしたホルダーに入れて水に浮かべ、久留米の鉄人さんの燭台に固定すると、食事の約2時間、浮き櫨キャンドルは、しっかり灯りの役目を果たしてくれました。
「浮き櫨きゃんどる」は中身の櫨蝋を補充すればホルダーは何回でも繰り返し使えるので、数百円程度の予算でまかなえます。
櫨灯りでお食事会、初めての試みで緊張していましたが、参加者の方からはとてもよかったとお褒めの言葉をいただきました。細かい反省点を修正していけば、これからいろんな場所で広められる可能性があります。
大いに希望をもらった夜でした。
福岡市西区にある民藝・工藝の館どいざきさんで、櫨にまつわるワークショップ「幸せの黄色いハゼノキ展」をしますのでお知らせです。
秋になると真っ赤に紅葉する櫨。櫨は年数が経つと木の<wbr style="color: rgb(51, 51, 51); lucida grande', tahoma, verdana, arial, sans-serif; font-size: 11px; line-height: 14px; text-align: left; "></wbr>中に美しい黄色の芯が表れます。この芯材で染めた色は「<wbr style="color: rgb(51, 51, 51); lucida grande', tahoma, verdana, arial, sans-serif; font-size: 11px; line-height: 14px; text-align: left; "></wbr>櫨染(はじぞめ)」と呼ばれ、平安時代、高貴な衣の色と<wbr style="color: rgb(51, 51, 51); lucida grande', tahoma, verdana, arial, sans-serif; font-size: 11px; line-height: 14px; text-align: left; "></wbr>して重宝されていました。弘仁十一年には天皇陛下のみの<wbr style="color: rgb(51, 51, 51); lucida grande', tahoma, verdana, arial, sans-serif; font-size: 11px; line-height: 14px; text-align: left; "></wbr>禁色として「黄櫨染」が指定されています。
櫨の木の持つ鮮やかな黄色は、南の太陽の色であり、富<wbr style="color: rgb(51, 51, 51); lucida grande', tahoma, verdana, arial, sans-serif; font-size: 11px; line-height: 14px; text-align: left; "></wbr>と幸せを約束する象徴だったのです。
しかし近年は櫨産業の減少とともに櫨の木も激減し、手<wbr style="color: rgb(51, 51, 51); lucida grande', tahoma, verdana, arial, sans-serif; font-size: 11px; line-height: 14px; text-align: left; "></wbr>に入れるのが非常に難しい状況にあります。平成19 年から櫨の復興活動を行ってきた松山櫨復活委員会では、<wbr style="color: rgb(51, 51, 51); lucida grande', tahoma, verdana, arial, sans-serif; font-size: 11px; line-height: 14px; text-align: left; "></wbr>捨てられた櫨の木を集めて商品化作りに取り組んでいます<wbr style="color: rgb(51, 51, 51); lucida grande', tahoma, verdana, arial, sans-serif; font-size: 11px; line-height: 14px; text-align: left; "></wbr>。
今回はこの貴重な櫨の魅力を知って欲しいとの想いから<wbr style="color: rgb(51, 51, 51); lucida grande', tahoma, verdana, arial, sans-serif; font-size: 11px; line-height: 14px; text-align: left; "></wbr>、櫨の素材を生かした3つのワークショップを企画しまし<wbr style="color: rgb(51, 51, 51); lucida grande', tahoma, verdana, arial, sans-serif; font-size: 11px; line-height: 14px; text-align: left; "></wbr>た。
櫨蝋を使った櫨キャンドル、櫨染和紙による和綴じ本、<wbr style="color: rgb(51, 51, 51); lucida grande', tahoma, verdana, arial, sans-serif; font-size: 11px; line-height: 14px; text-align: left; "></wbr>櫨の木を使ったアクセサリー。富と幸せを呼び込む櫨を使<wbr style="color: rgb(51, 51, 51); lucida grande', tahoma, verdana, arial, sans-serif; font-size: 11px; line-height: 14px; text-align: left; "></wbr>った手作り作品を、ぜひ作ってみませんか。
期間中は、日本でも珍しいブックバインディング(製本)<wbr></wbr>やカリグラフィを手がける初島さつき氏(Studio Ponte主宰)の作品や、鉄のオブジェアート、キャン<wbr></wbr>ドル燭台などユニークな鉄人・井上雅晴氏の作品を展示販<wbr></wbr>売します。
展示期間 2012年11月17日~12月1日(月曜定<wbr></wbr>休)
時間 10:00~18:00
場所 民藝・工藝の館 どいざき本店
〒819-0025 福岡市西区石丸2-43-1
TEL(092)882-5253 http://doizaki.jp/
ワークショップ内容
1,櫨染和紙を使った大福帳作り
大福帳「Book of Happiness」作り。大福帳は和綴じ製本。好きな<wbr></wbr>言葉などを書き込みましょう。表紙に黄色い櫨染和紙を使<wbr></wbr>います。※ココロとカラダにやさしい手作りおやつ(大福<wbr></wbr>餅)付
講師 初島さつき
大福帳作り日程 12/1(土)、2(日) ?13:00 ?15:00
参加費 2,000円
2,櫨の木を使ったアクセサリー
黄色い櫨の木を使ってネックレスを作ります。縁起の良い<wbr></wbr>櫨の木を身につけることで、富と幸せを呼び込みます。
参加費 ?1,500円 ?2,500円
3,櫨蝋を使った櫨キャンドル作り
美しい櫨の炎には浄化作用があります。手作りの暖かい<wbr></wbr>灯りは疲れた身体やストレスを優しく癒してくれます。
参加費 1,500円
櫨の木アクセサリーと櫨キャンドル作り 講師 矢野眞由<wbr></wbr>美 堀 純子
日程 11/<wbr></wbr>17(土)、18(日)、24(土)、25(日)、12/<wbr></wbr>1(土)、2(日)
?13:00 ?14:30?16:00
ワークショップの申込は民藝・工藝の館 どいざき まで
TEL(092)882-5253
どうぞ皆様、お待ちしています!
今朝の西日本新聞筑後版に、まち旅プログラム「筑後川の湯宿で奏でる日本の秋の夕べ」のリハーサルが掲載されました。
ろうそくの灯りで音楽を聴く、あるいは日本舞踊を見るなどは今まで取り組んできたことですが、ろうそくの灯りだけで食事をするってのは、お茶事の「夜噺」以外ではまだやったことがありませんでした。
というのも、櫨灯りといっても火を使うわけですから、マッチを擦ったこともなく、普通のパラフィンろうそくしか使ったことのない、要するに火とのつきあい方を知らない人間が、果たして楽しく食事できるのかというと、非常にハードルが高くなっていたからです。
そこで今回の櫨灯りでは、伝統の和ろうそくではなく、フローティング用キャンドルを使います。芯と櫨蝋は和ろうそくと同じですから、灯りの良さはそのまま生かせますし、水に浮かべることで水面の反射光の効果と、水による安心感を与えられます。
そして灯りの位置も重要です。単にてきとーな燭台を使うわけじゃなく、お料理が美しく照らされる高さを計算した位置に炎が来るような燭台を開発しています。
この灯りの演出を手がけたのは、山口で活躍する日本舞踊の花柳寿寛福さん。お父上の花柳寿寛さんと共に、山口・瑠璃光寺で和ろうそくの灯りで舞うイベントを10年以上続けておられ、和の灯り演出の専門家と言えるでしょう。今回は灯りアドバイザーとして手がけていただきました。
そんなわけで、櫨の灯りがいかに美しく料理を照らし、向かい側に座っている人を照らし、幻想的な世界に導くかを、ぜひ皆様にも体験していただきたいです。
まだ残席には少し余裕があります。どうぞ櫨灯りが導く未知の世界をあなたも体験してみませんか?
お申し込み先はこちらです。
電話予約も受け付けています。
まち旅博覧会事務局 電話0942-31-1730
いよいよ明日、第一回の櫨フォーラムが朝倉市甘木地域センターで開催されます。櫨の関係者が一堂に集まる貴重な機会となりました。
全三回の予定で、今回は櫨の植栽について話し合います。
現地13時からはライブ配信も行います。
どうぞごらんください。
先日、KBCテレビ「アサデス」の「自分で作ってみよう」コーナーで櫨の和ろうそく作りが取り上げられました。
番組の松井美里さんが苦心して櫨の実から櫨蝋絞り、そして櫨屋敷で灯芯草による芯作りから和ろうそく作りまでイチから手作りするコーナーです。
朝から夜8時まで、熊本~櫨屋敷での撮影が行われ、最後に作った和ろうそくに灯りを灯す瞬間は感動ものでした。
7月25日水曜の朝7時20分ぐらいに放映予定だそうです。
お忙しい時間帯ですが、よろしかったらぜひごらんください。
明日から久留米岩田屋で筑後の夏キャンペーンに出品します。
写真ではフローティング櫨キャンドルと眞櫨きゃんどるが掲載されてます。
同じ売り場では末吉らんたい漆器さん、八女のとんぼ玉の山下さん、黒木町の木屋民芸さんがいらっしゃいます。
職人さんカテゴリで催事に参加するのは初めてです。ん?職人?私が?
そう!なんと私は芯作り職人として実演するんですよ。百貨店で!
他の方達がすごい職人さんたちばかりなので、自分が同じ売り場に出ていいのかしらって感じですけど、今更ジタバタしても仕方がないので、せっせと芯引き・芯巻き作業に精を出す一週間になりそうです。
新館の三階エスカレータを上ったら正面で実演をやってます。お近くのかたはぜひいらしてくださいね!
昨年に引き続き、くるめっ子館で三回にわたり櫨ろうそく体験教室を行っています。
今日は大雨にもかかわらず子供達が12人も来てくれました。
芯引きでイグサ科の灯芯草の髄を引き出し、芯巻きで髄を巻いていきます。
外は雨だし、今日は芯巻きはちょちょいと実演して適当に終わろうかと思っていたら、この有様。
比較的おとなしい子供達でしたが、ものすごく興味津々な顔と、いつのまにやらベタッとまとわりつかれて私もタジタジ。
「じゃ、芯巻き、やってみたい人いる?」と聞くと、全員が手を上げました。で、一人ずつ芯巻きを体験。といっても子供には芯巻きは少し難しいので、8割ぐらいは私がやって簡単な部分を子供にさせてやります。
いつもは大人達への体験教室がほとんどですが、たまには子供達相手っていうのも結構楽しいもんです。
今年から、櫨屋敷では櫨の台木苗を出来る限り多く育てることになりました。そこで櫨の種を蒔いたのが3月はじめ。二ヶ月ほどかかってようやく双葉ちゃんのお出ましです。
ここまでくるのに、もう数回は草取りしてスギナをはじめとした強力な雑草軍を排除して待っていました。
櫨の種には蝋分があるゆえに、芽を出すのにも時間がかかります。
しかし凜とした姿は結構目立っているので、あとは周囲の雑草を再び排除しながら、成長を楽しみに見守っています。
この双葉にはまだ種のカラがくっついていて、帽子みたいですね。
取ってやりたいけど、自然に外れるのを待たなくては。ガマンガマン。
無事に大きくなりますように。
今日は天気予報では寒波で雪が降るんじゃないかと言われていましたが、なんと快晴!天気に恵まれました。
順調に中国とシンガポールから観光の団体客が櫨屋敷に来ました。
中国のお客様は30分で次の目的地へ行かなくてはならず、あっというまでしたが、シンガポールのお客様は櫨キャンドル作り体験がありました。
一時間という限られた時間内で、33人が同時にキャンドル作りをして楽しんでもらわなくてはなりません。また、櫨の商品も販売したかったので、英語・中国語のパンフが必要です。
幸い、なんとか昨日、英語・中国語の翻訳ができあがったので、昨日、大急ぎで商品カタログを作りました。お客様全員に配って説明すると、みな興味深く商品を見てくれたり、購入してくれた方もいて、ああ、がんばって作った甲斐があったと嬉しかったです。
ろうそくの芯引きの実演風景なども興味深く見てもらいましたが、同時にストーブの写真を撮ってのは不思議でした。日本のストーブ、珍しいみたいです。
キャンドル作りは流し込む作業だけなので簡単ですが、今回は通訳付きです。ムダをはぶいて重要な言葉だけを選んでしゃべりました。マイクを2本、設置していたのが助かりました。
ちなみに接待した飲み物は抹茶ラテ。大人気でした。
細かい反省点はいろいろありますが、とにかく体験型の観光地として、櫨屋敷が人気になるよう今後もがんばりたいと思います。
26日に中国とシンガポールからの観光客が、立て続けに櫨屋敷に立ち寄ることになりました。特にシンガポールのお客様は体験をするので大急ぎで準備することに。
今まで櫨屋敷では体験客は20名程度で、しかも10名ずつに分かれてやってましたが、今回は一気に30名以上の客を同時にやらなくてはなりません。
そこで思い切って三部屋をぶち抜いてテーブルを並べ、マイクも設置しました。なんか昔、修学旅行で泊まった旅館の風景みたいです。
通訳は2名おられるそうですが、結構ドキドキです。しかも非常な寒波が襲来するので、本当に雪の中で来て頂けるのかどうか心配もありますが、ともあれ、寒さ対策に石油ストーブを一台増やすことにしました。
体験は一時間。お客様はその後次の移動があるので、できるだけスムーズにしなくてはなりません。緊張も高まりますがなんとかがんばって対応していきたいと思います。
7日から始まった耳納学園展示即売会(場所・ゆめタウン久留米)も今日までです。
画像は実演中の机の上。
私が和ろうそくの芯引き実演をしていると、お客さんが寄ってきてじっと見つめながら
「コレ、何ですか?」と聞きます。
「灯芯草っていうイグサです。畳イグサと同じ仲間なんですよ。」
そんな会話から和ろうそくの話が始まります。
「このスポンジみたいな髄が、畳イグサにも全部入っているんです。畳の場合は湿気を吸い取るんですが、こうやって和ろうそくの芯に使うと、蝋をグッと吸い込んでくれるんです。」
とまあ、こんな感じで繰り返しお客さんとお話ししていきますが、みんな年配の方も、キラキラした目で見てくれるので、結構やりがいのある実演です。
どちらかといえば、若い人よりも年配の人の方がへぇ~~っという好奇心のキラキラ度は高く、若い人の方がぼーっとした感じを受けます。
若い人の方が同じモノを見ても感性が鋭いような気がするのに、なぜでしょうね?
私はたぶん、年配の方の昔の記憶がフラッシュバックしてるんじゃないかと思います。昔懐かしい作業を見ることによって、自分が経験してきた田舎の風景とかを自分の脳内で探っているような表情になるわけです。、
それって脳が活発に動いているってことなんでしょうかね。
10日まで、ゆめタウン久留米にて耳納学園の展示即売会に出店中です。
櫨の活動を始めてから、もうすぐ丸5年になります。
なぜ私が櫨に関わるようになったかというと、理由の一番は櫨が衰退していたから。もし櫨が皆から注目されている樹木だったら、きっと寄りつきもしなかったでしょう。
もちろん櫨が大人気でブームになった時期もあります。幕末から明治の頃。至る所に櫨は植えられました。山、川沿い、田んぼのあぜ道。九州の人々にとって、櫨は最も身近な樹木だったのです。
櫨にはおおざっぱに言って「ハゼノキ」と「ヤマハゼ」に分類されていて、和ろうそくに使う「蝋」を採取できるのが「ハゼノキ」。実際に蝋を採取するためには、接ぎ木をした「ハゼノキ」でなくてはなりません。
以前は櫨農家がハゼノキの手入れを行い、ちぎり子が櫨の実をちぎり、蝋屋が櫨の実を蝋にして出荷するというシステムが機能して人々は生計をたてていたのです。
櫨が一大産業となっていた華やかな時期を思い起こすと、今となってはまるで夢のようです。
その櫨が今では少しずつ人々の手を離れています。今となっては櫨で儲かるどころか、生計を立てるのも難しく、櫨と本格的に関わっている人は全国でもごく少数です。
しかし、櫨はさんざん利用して捨てていった人間達とは別次元の世界に生きている樹木であり、寿命の短い人間には計り知れない力を持っているのではないか、櫨には昔の人が考えた以上に、もっと潜在的な力があるのではないかと、私には思われてなりません。
櫨は鳥を介して実生できるため、案外いろんな山に繁殖していたりして、人々が苦労して改良した「接ぎ木」の生育の難しさに比べると、野生の力強さがあります。
以前は、私が衰退した櫨をなんとかできないかと思っていたんですが、今では逆に、私が櫨に向かって、もう一度人間とお付き合い下さいと頼んでいるような感じです。
今年も櫨と楽しくお付き合いできますように。