松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

筑前琵琶を和ろうそくの灯りで聞いた

2014-08-31 21:33:17 | 和ろうそくを灯す時
30日(土)に、ギャラリー「水の音 土の音」(朝倉市上秋月)で開催された筑前琵琶のコンサートに行ってきました。

演奏家の高木青鳳さんの横に燭台が据え付けてありました。
私は和ろうそくの数寄屋15号というちょっと大きめの和ろうそくを持っていき、あかりを灯すと、なんとなく芯切りのお世話係になりました。

筑前琵琶といえば平家物語。平家物語といえば筑前琵琶。
…というほど筑前琵琶は知られていますが、恥ずかしながらあまり聞いたことはありません。

音楽が入ると歌詞がわかんなくなる私ですが、高木青鳳さんのよく通る声が部屋中に響き渡り、和ろうそくがそのたびに瞬きながら、次第に耳で聞くだけで平家物語の世界にずんずん入っていくのは不思議な感覚でした。



最後に忘れられなかったのが「耳なし芳一」。

私も今まで何人か音楽家のために和ろうそくの灯りをつけてきましたが、必ず楽譜横に小さなライトスタンドが必要でした。

自分から和ろうそくの灯りのみにした演奏家は初めてです。

部屋が暗くなった時、いくら和ろうそくの灯りが明るいからって、楽譜が見えるほどの明るさじゃありません。大丈夫かなと一瞬心配になりましたが、私の杞憂でした。

灯りの揺らぎによって、演奏する高木さんの影が動き、地の底から這うような声が響いてきました。

「芳いち~~、芳いち~~。」

ぞっとするような怨霊の声と、激しい琵琶の音に合わせて、ゆらゆらと揺らぎ瞬く和ろうそくの灯り。
恐ろしいほど会場は芳一の世界に入り込んでいました。

素晴らしい時間でした。

ただ、唯一、惜しかったものといえば、ワタシです。
曲のあいまに前に進んで芯切りしてましたが、こういう時は黒子の衣装でもつけたかったです。(持ってないけど)

原点に戻る

2009-11-04 21:42:41 | 和ろうそくを灯す時
来週は福岡産業デザイン賞の審査があります。

せっかくお供え用を出そうとは決めていたものの、まだパッケージが定まらない私はほとんどパニック状態になってしまい、すっかりあきらめムードになってしまったり、誰かに泣きつこうかと弱音を吐いたり、最近はブログも手に着かない状態になっていました。…あ、言い訳してしまった。

そんなわけでウツウツとした日々を過ごしていた私ですが、今日はピープルMさんからありがたいご教示をいただき光明が見えてきました。

その一つは、主・従を取り違えてはいけないってこと。つまり私は今回、和ろうそくを皆さんに使って頂きたいから販売するんであって、和ろうそくを包む紙を販売するわけじゃないってことです。

どんなプレゼントでも、リボンや包み紙はあくまで表層的な飾りの演出であって、中身が一番大切。中身こそ主役であって、決して外側のパッケージが主役になるべきじゃありません。

なのに私は和ろうそくを包むことばかり考え、飾ることばかりを考えていて、肝心の和ろうそくこそ大切だってことを忘れていました。

一つのことをずっとやってると大切な事を見失う時があります。まさしく今の私がそれ。弓道で言えば、真ん中に中てよう中てようと思って、どんどん射形が崩れてしまってる感じ。

なぜ私は和ろうそくを使って貰うべきだと思ったのか。もう一度原点に戻って人に伝えなくてはならない。そのためのパッケージなのだ。そう改めて思い直しました。

もうあまり時間がないんだけど、なんとかもうちょっとがんばってみようと思います。

↓押してくださると励みになります。

人気ブログランキングへ


福岡よかもん市場店「松山櫨復活委員会」へ

振り出しに戻る

2009-10-22 10:07:49 | 和ろうそくを灯す時
昨日はえ~るピアでデザインワークショップがあり、半年ぶりに私の発表でした。

前回の五月頃に考案した「和ろうそく お供え用」の試作品を商品化して販売したことを皆さんに説明し、更にお供え用シリーズとしてパッケージに和紙を使ってみたサンプルを公開して、意見をいただくことになりました。

すると先生達からのご意見は…
「一番かっこいいのはロウソクなのに、包んでいけばいくほどだんだん悪くなってる」

き、きびし~orz

来月は福岡産業デザイン賞の審査があるのに、目の前にしてダメ出しか。
貴重なアドバイスは皆さんからたくさんいただいたので、なんとかもう一度振り出しに戻ってパッケージデザインを改良しようと思います。

ちなみに、私の発表の前に房屋さんの新作が公開されました。


模様とか房の色とか、いろんな意見が飛び交いました。私も高級で品の良いアクセサリーだと思います。昨年から一年間試作を進めてきた実績が商品に表れています。

ああぁ。私もアセるアセる。あと一ヶ月。どんな工夫をすればいいのやら?

↓押してくださると励みになります。

人気ブログランキングへ


福岡よかもん市場店「松山櫨復活委員会」へ

お供え用が三種類登場

2009-07-03 22:10:49 | 和ろうそくを灯す時
「正徳芯和ろうそく お供え用」が、三種類の色で登場です。

最初は一種類でずっと販売するつもりだったんですが、気が変わりました。というのも、よかもん市場の担当者Tさんからキツく言われたのがきっかけです。

「商品はシリーズとして、三種類は出すべきです!」

商品を販売する時の常識として、ドレッシングとかでも●味、△味、□味と三種類を出して棚を確保して、消費者に選択の余地を与えるんだそうです。

なるほど~と思った私ですが、なんせお供え用ですから、あまり華やかな色にはできません。いろいろ考えた挙げ句、当初からあったグレーに、白と薄緑を加えました。

不祝儀用なんだから、緑とか使う人いないかもと思われましたが、まあ、変わった人とかもいるし、緑を見て白やグレーを選ぶわけだから、いっか!と思い切って作ってみました。

ところが、実際にできた商品を見せてみると意外な反応が返ってきました。

「あら、緑がキレイね。これがいいわ。白とかちょっと殺風景じゃない?」

えええっ!

不祝儀=派手は御法度=白や灰色が好まれる

という図式じゃないんですよ。今や、不祝儀といえども女性はキュートなものを使いたがる傾向は止められないんです。一昔前ならいざしらず、今は仏壇だって金箔なしのタンスみたいな現代仏壇があるし、何か不祝儀の世界に蠢く新しい感覚が生まれようとしてるんじゃないでしょうか。

このお供え用和ろうそく、よかもん市場でさっそく新登場しています。ぜひご覧下さい!

↓押してくださると励みになります。

人気blogランキングへ

和ろうそくを灯す時 その14

2009-06-12 21:31:08 | 和ろうそくを灯す時
「正徳芯和ろうそく お供え用」のパッケージが完成しました。

少しずつ、いろんな方に見て頂いて用途を説明すると、7割ぐらいの人達が「これはイイ!」と言ってくれます。よく法要に顔を出す必要のある方ほど、使い道を理解してくれるようです。

逆にほとんど法要に出たことのない人や、身近な人や大切な人を亡くしてない若い人には、全くピンとこないようでした。つまるところ若いってことは、死の存在がほとんど感じられないってことなんでしょう。

「お供え用」を弓のT先生がさっそく使ってくれることになりました。宮崎にいる親しかった友人が亡くなったので、手紙と共に送りたいとのことです。第一号を使ってくれるということで、私はぜひ使い心地(?)をT先生に聞いてみました。

「先生、もうあの「お供え用」は送ったんですか?」と私。
「いいや。」
「…亡くなってしばらく経つし、早く送った方がいいんじゃないですか?」
「いや、その、手紙がうまく書けなくてどうも…。」

しばらく経ってもう一度聞いてみました。

「もう書いて送りましたか?」
「いや、早く送ろうと思ってるんだけどね。」
「……亡くなってもう軽く四十九日は過ぎてますよ。」
「う、うむ。それがどうも、本人は亡くなっているわけだから、遺族あてに書くわけで、どう書いていいのか…。」
「……適当に書いたらどうですか?」
「そういうわけにはいかん!」

更にしばらくしてもう一度聞いてみました。

「もう送りましたよね?」
「そ、それが…。」
「手紙を書いて「お供え用」と一緒に送ってもらったら、遺族はきっと喜びますよ。」
「うむ。早く書こう書こうと気持ちは焦っているんだが…。」
「今夜にでも書いたらいかがですか?」
「う、うむ。よし!今夜がんばって書こう。」

それから更にしばらくして再び聞いてみました。

「まさか、まだ送ってないんじゃ…?」
「う…。何度もペンを握って書こうとするんだが…。」
「……もう、初盆の頃に送りますか?」
「…そうしようかな。」

「お供え用」の使用感(?)を聞くのは、まだまだ先になりそうです。

↓押してくださると励みになります。

人気blogランキングへ

和ろうそくを灯す時 その13

2009-06-11 22:59:06 | 和ろうそくを灯す時
ついに出来ました。和ろうそくと香典を合わせたパッケージです。

気がつくと最初の思いつきから、実に一年以上経っていました。試行錯誤の割に、出来た形は割合シンプルです。切り目を入れたり、三角の紙を貼ったりすることをせず、単に包む時点でのポケットを作りました。そこに香典を挟み込みます。

これなら包む上で香典の名前が隠れないので、和ろうそくと香典を同時にお供えすることができます。また香典の形に沿っていて、他の香典と一緒に置いていてもあまり違和感なく溶け込めそうです。

パッケージには、はっきりと「亡くなった方のためにお供えする和ろうそく」というコンセプトが表れています。グレーと紫を使った色合いも仏事用の色としてイメージしやすく、使い道は見ただけでわかると思います。

果たしてみんながこれを使ってくれるでしょうか。

↓押してくださると励みになります。

人気blogランキングへ

和ろうそくを灯す時 その12

2009-06-05 21:55:56 | 和ろうそくを灯す時
和ろうそくと御香典を一緒に包んでお供えするためのパッケージ。

私はパッケージデザインや包み方に関する本を見たり、百貨店やモールに足を運んでみました。ギフト商品はそれぞれ工夫を凝らしてあるので、見ているだけでもとても参考になります。

でも、実際に自分が求めるパッケージのことを考えると、なかなか折り合いがつきません。そこで、パッケージに必要な機能を一つ一つ考えてみました。

1,和ろうそくの保護
和ろうそくは落としたら折れてしまうし、直射日光で溶ける恐れもある。

2,お供え用だってわかること
ぱっと見ただけで、お供え用というのがイメージできないと、使いづらい。

3,コストに見合う価格
あまり高価だと手を出しにくい商品になってしまう。だからといって安すぎては…。

4,作業が簡単
誰にでも作業できるような包装でないといけない。

5,扱いやすい外観
ちょっと触っただけで崩れてしまうようなパッケージだと売り物にはならない。

6、デザイン的な美しさ
和ろうそくは、ある意味嗜好品でもあると思う。だから事務用品みたいな、機能だけのそっけないデザインでは物足りない。だからといって過剰包装も避けたい。

パッケージで非常に参考になるのは日本の和菓子だと思いました。中身はまんじゅうだったり、最中だったり、せんべいだったりと、変哲のないものにも関わらず、様々な包み方や見せ方があります。和菓子の世界は着物に見られるような上品かつ華麗で優美なパッケージの世界が広がっています。

ただ、和ろうそくの場合、仏事用だし…。上品さや優美さは必要だけど、華麗さは必要ありません。

外観は御香典とそう遠くないイメージの方が良いような気がします。御香典の袋の中にあっても、そう違和感のないパッケージの方が、差し出しやすいというものです。色は地味な感じで…。

あと、もうちょっとで何かが生まれそうな気がしてきました。

↓押してくださると励みになります。

人気blogランキングへ


和ろうそくを灯す時 その11

2009-06-05 00:27:50 | 和ろうそくを灯す時
和ろうそくの箱と御香典を一緒にくっつけてお供えするには、どうしたらいいのか。

「簡単だよ!箱の包装紙に三角のポケットを貼ってそれに御香典を挟み込めばいい。」
三角のポケット。切り込み入れた時と同じくらい不安定な感じがします。それにやっぱり包装紙に不格好な継ぎ当て感は否めません。

「それじゃ帯でまとめればいいじゃないか。」
箱の上に御香典を置き、ヨコ帯で丸めると、まとまるにはまとまります。が!肝心の御香典の名前が隠れてしまうし、何より水引の上に帯が並行に重なってしまいます。タテは下の箱の方が小さいので不安定です。

「そうだ!水引で全部まとめれば?」
水引のヒモを買ってきて、あわじ結びをチマチマとやっている自分が頭に浮かびました。だめだ。パッケージで結びの技術がいるようなことをしてたら、結ぶだけで日が暮れてしまう。

「そういうの、会葬御礼とかであるじゃないか。厚紙で印刷してあって…。」
「あんなのは見るからに予算オーバーです。」

どうやら八方ふさがりです。箱と香典袋をスムーズに合体させることは不可能なんでしょうか。私の周囲の人は、ほとんどあきらめムードで妥協案を提案してきました。

「だからね、お葬式とかお通夜の時に持って行くんじゃなくて、その後の四十九日とか初盆とかお彼岸とか、家の仏壇の前に箱をお供えすればいいのでは?」

もちろん法要でお供えするのに、箱は体裁がいいでしょう。しかし、それだと線香とか素麺とかと変わらないわけで、人はそういう時、線香や素麺を選ばずに和ろうそくの箱入りを選んでくれるでしょうか?和ろうそくの炎を見たことがない人なら、迷わず素麺が選ばれるような気がします。だって食べられるし。

それに、死者と遺族を結ぶ絆としての和ろうそくの役割を考えると、そんなに悠長に構えていられません。人は亡くなった時にすぐろうそくを灯される状態になるんですから、お通夜やお葬式で和ろうそくを供えるというのは非常に意味のあることなのです。

私は箱とご香典の合体作戦をどうにもあきらめきれず、弓の練習の間も考えていると、見かねた算段のM子さんが

「もう箱を使わなければいいじゃん。布とか紙で包めば?」

包む?考えもしなかったアイディアです。しかしよく考えたら、蛇腹の中敷きはあるんだから、ろうそくは固定されます。後は包み方次第。

私はさっそくラッピングと風呂敷の本を図書館で見てみました。

↓押してくださると励みになります。

人気blogランキングへ

和ろうそくを灯す時 その10

2009-06-03 21:10:50 | 和ろうそくを灯す時
箱の包装紙に切り込みを入れて、香典袋と和ろうそくを合体させて渡すというアイディア、思いついた時は「やったね!」って感じだったんですが、紙は破れるという単純かつ冷徹な法則の壁が立ちふさがっていました。

「テープを貼って、切り込み部分を補強すれば?」

どうも気が進みません。きれいに包んだ包装紙にわざわざテープで補強するなんて、まるで障子紙の破れた部分を塞ぐ継ぎ当てみたいな感じで、あまり見た目的に良いものではありません。

「いっそのこと、箱を香典袋に入れちゃえば?」
「箱が大きすぎる。どうやってこの箱が香典袋に入るっつーのよ。」
「だから大きな香典袋を新たに作るのよ。」
「却下。」

巨大な香典袋。せんべいのBIGサイズのような。きっと遺族は巨大な香典袋を見て一体何が入っているのかをいぶかしがるでしょう。受付の人が気になって衝動的に開けてしまうかもしれません。そういう状況は避けたいものです。

それに外側から全く中身がわからないというのは、差し出す側にとっても不安です。肝心の和ろうそくが気づかれず、灯すのを忘れちゃうかもしれませんからね。いちいち「中身は和ろうそくが入ってますから。」と宣言しなくちゃいけないってのも、悲しみの場にそぐわない感じ。

つまりお供えする側としては、和ろうそくを一緒にお供えしてるんですよ、という無言のメッセージが明らかに表面に表れなければならないわけです。受け取る側もひと目で「あっ、和ろうそくが供えられている。」とわかるのがベスト。

ということは、やっぱり箱とご香典を外でくっつける必要があります。

「切り込みがだめなら、新たに紙を上から包んで…。」
「やだ。面倒臭い。」

数個作って疲れるようなパッケージは先が思いやられます。包装というのは過剰にならないこともコスト面から言って大切ですから、あまりに手の込んだやり方もだめ。

箱と御香典の合体作戦。簡単かつシンプルにくっつけるには?

↓押してくださると励みになります。

人気blogランキングへ

和ろうそくを灯す時 その9

2009-06-02 23:13:03 | 和ろうそくを灯す時
和ろうそくの箱がやっと出来たのはいいものの、その用途はどうやら単なるギフト用になりそうです。

「これじゃお線香を箱入りで売っているのと変わらんね。」
「……ま、そうですね。」

ギフト用はギフト用として使えるからいいとして、なんだか当初の狙いとは外れてしまった感じがします。でも一体どこが外れてしまったのか。

言われる通り、ギフトとして贈れば、貰った側はスムーズにつけるかもしれません。でも、やっぱりタンスのこやしになってしまうでしょう。なぜって「高そうだし、もったいないから灯せない。」という感覚は変わらないからです。

私は和ろうそくを灯して貰うために販売しているのであって、飾り物を販売しているのではありません。和ろうそくは灯されるために作られてるんです。

だったら、どうやったら和ろうそくを灯してもらえるのか?

またもや振り出しに戻りました。やっぱり死者へのお供え用として差し出すのが一番です。誰のために差し出しているのかをはっきりさせておけば、法要は繰り返し来ますから、その時に灯される確率も高くなるでしょう。

御香典を差し出す時に、和ろうそくも一緒に出せるようなパッケージをもう一度考えなくちゃ。

「簡単やん!御香典と一緒にくっつけて出せば?」
「どうやって?」
「箱を包装紙で包んで、切り込みを入れて、そこに御香典を挟めば出来上がりやん。」

なるほど。智恵のある人は頭が回るもんです。私は言われる通り、まず箱を仏事用の包装紙に包んでナナメに切り込みをいれることにしました。そこんとこに香典袋を入れられるようにします。

そうこうするうちに、知り合いの弓道関係者が亡くなり、お通夜がやってきました。いよいよ箱入りお供え用の出番です。

幸い第一号として算段のM子さんが使ってくれることになりました。御霊前と書いた香典袋を差し込むM子さん。じっと見守る私。差し込んだ後、すぐにビリビリと紙が裂ける音がしました。

「げっ!」

香典袋にお札を入れると多少厚みが増した上に、袋が落ちないように思いっきり差し込んだせいで、包装紙の切り込み部分が裂けてしまったのです。

お通夜の会場を目の前にして、裂けた包装紙と香典袋を手に、M子さんと私は、しばし固まってしまいました。

↓押してくださると励みになります。

人気blogランキングへ


和ろうそくを灯す時 その8

2009-06-01 21:07:29 | 和ろうそくを灯す時
ずっと袋入りで和ろうそくを販売してきた私ですが、ついに箱が必要になりました。

和ろうそくを、ちょっと畏まって先方にお渡しする時に、パリパリと音のするPP袋を無造作にバッグから取り出すよりは、上の画像のように、箱入りにした方がちっとはサマになるというものです。

外箱は眞櫨きゃんどると同じ色の和紙を貼り、中箱は櫨蝋のうぐいす色を際だたせるためにえんじ色を選びました。和ろうそくを固定させる蛇腹の中敷きを考案したのは弓道のT先生です。感謝感謝。意外なところで智恵が出てくるもんです。

この箱なら、和ろうそくを1本ずつ丁寧に使ってもらえるでしょう。

これで立派な贈り物用の和ろうそくが出来上がりました。

「これでお供え用に持って行けるのができたよ。」
「うん…。でも、やっぱりこれ、持って行きたくない。」
「なんで!?これを包装して、のしを貼って名前書けば使えるじゃん!」
「使えるけど、香典も一緒に差し出す時はどうする?香典とろうそくがバラバラになったらいかん。」

……このろうそくの箱と一緒に御香典も一緒に差し出す?

確かにろうそくだけだったら、この箱でも良いけれど、御香典も一緒に差し出すのだったら、少々厄介です。他の人の御香典と一緒くたに盆に入れられるから、名前を書いておかないとバラバラになります。かといって二つも名前書くってのはくどい感じだし…。

どうやって、この箱と御香典の袋を合体させる?

↓押してくださると励みになります。

人気blogランキングへ

和ろうそくを灯す時 その7

2009-05-31 17:35:00 | 和ろうそくを灯す時
法要の時に和ろうそくを供える。

これはとても良い考えだと確信した私は、5本入りの正徳芯和ろうそくの袋に、のしを貼って差し出してくれと、周囲に言い出しましたが、あまり反応はよくありませんでした。

「アンタが使う分はいいけど、ワタシは使えない。」
「どうして?きっと遺族の方は和ろうそくを灯せるから喜ぶよ。」
「そういう意味じゃなくて、受付で差し出すのがイヤ。」
「どうして?ちゃんとのしを貼って名前を書けば使えるやん!」
「確かに使える。でも恥ずかしい。」
「何が?」
「見た目。」

どうやら和ろうそくの袋入りってのが、どうにも安っぽく見えるらしいのです。一般的なお店で売っている和ろうそくは、全て箱に入っています。箱ならば、そのままのしを貼っても幾分サマになりますが、袋にのしを貼ると、中身が見えなくなり、なんとなく駄菓子にのしを貼ったみたいな印象になってしまいます。

「それに袋のパリパリした音も気になるし。」
「ヘンなものを差し出す変わった人だと思われたくない。」

そもそも私が袋入り5本の和ろうそくを販売しようと思ったのは、気軽に買えるグッズみたいな雰囲気を出したかったからでした。あまりに立派な外観だと買う人が限られてしまうと思ったのです。しかし法要のようなフォーマルな場に持ってくると、そのあまりにもカジュアル的なパッケージが仇になってしまいました。

どこに出しても恥ずかしくないようなパッケージを作らなくちゃ。

やっぱ箱入りがいいのかな?でもどんな箱にする?

↓押してくださると励みになります。

人気blogランキングへ

和ろうそくを灯す時 その6

2009-05-29 22:15:29 | 和ろうそくを灯す時
仏教のお経に「世の中は、心が造る」という言葉があるそうです。私たちの周囲にあるものは全て、自分の心次第で極楽にもなるし、地獄にもなるというものです。

その説話を紹介したサイトから引用すると…

------------引用
「ある人が地獄へ行って見ました。大きな釜にうどんが湯がかれ、たくさんの人が鍋の周りを囲んでいます。よく見れば、手には二メートルもある長い箸を持っています。皆が先を争って箸を突っ込み、うどんをつかもうとするものの、箸が長すぎて食べることが出来ません。箸で相手を突つき、うどんの奪い合いが始まりました。うどんは鍋から飛び散り、ついには殴り合いの喧嘩になります。これはまさに地獄だと思いました。」

「次に、極楽へ行って見ると、全く同じように、大きな釜にうどんが湯がかれ、たくさんの人が鍋の周りを囲んでいました。手には長い箸を持っています。しかし、先ほどとはどうも様子が違うのです。長い箸でうどんをつかんだら、釜の反対側にいる人の口元に運んで「お先にどうぞ」と食べさせてあげるのです。すると今度は、向こう側の人が同じように自分に食べさせてくれます。皆が仲良くうどんを食べているのです。なるほど、これこそ極楽だと合点して戻ったということです。」 
--------------引用おわり


この説話を紹介したのは、毎日の胸三寸で幸福になるかどうかを自分が決めてるんだよ、というありがたい話に続く…わけじゃありません。

実は私は全く別の事に気づいてハッとしたんです。まるで暗闇に光が差したみたいに答えが見えました。…というより、今まで答えは見えていたのに気づかなかっただけで、ずっと前から答えは目の前にあったんですね。

その答えとは、つまるところ和ろうそくはこの説話で言う「長すぎる箸」だったんですよ。

自分が自分のためだけに使うものではなく、他の人にお供えすることで灯すことができ、そしていつか自分ために誰かがお供えして灯してくれるもの。それが和ろうそくの真実の姿だったんです。

今まで私は和ろうそくというものを、どこかぼんやりとした概念でアクセサリーとか小物のようなものだという認識で捉えていました。しかし自分のために買うアクセサリーや小物と、他人のために灯す和ろうそくとは全く別の次元のものです。

だからたまたま自分が気に入って買った場合には、もったいなく感じて灯せずにタンスの奥にしまい込んでしまうんですね。他人のために、そして灯すべき時にお供えすることで、和ろうそくに火は灯され、他人も自分も心癒されていく。和ろうそくとはそういう使い方をするものだったんです。

櫨蝋屋さんにならって私も始めたお供え用ですが、この説話を読んでますます確信しました。

とにかくまずは周囲の家族とか知り合いからです。私は法事の日がやってくる度に、5本入りの袋にセロテープでのしを貼りながら、
「これを持って行って!きっと亡くなった人も遺族も喜ぶから!」
と勢い込んで渡しました。

しかし、自分の確たる思いとは裏腹に、やっぱり周囲の反応はかなりイマイチでした。

↓押してくださると励みになります。

人気blogランキングへ

和ろうそくを灯す時 その5

2009-05-28 21:27:03 | 和ろうそくを灯す時
櫨の和ろうそくは高いというイメージがありますが、実は今よりも昔の方がはるかに高価で、とても庶民には手の出せない代物でした。

ある時、昔は櫨蝋屋さんが通夜に出向く際、蝋燭を二本お供えしていたものだと聞きました。そのままお葬式やその後の法要で灯せますから、遺族にとっては非常にありがたいものだったそうです。

それを聞いて以来、私もお葬式や法要に出向く時は、必ず和ろうそくをお供えすることにしました。

お葬式の受付で、2号の和ろうそく5本入りの袋に、法事用の「のし」を貼り付けて、ご香典代わりにして差し出します。香典袋ばかりの中で、ちょっと違和感はありましたが、まあ中身をよく見れば和ろうそくだとわかるし、なんとなく受付の人も「ああ、和ろうそく。」と納得したような感じです。初めて差し出した時は、ちょっと気恥ずかしい気もしましたが、今のところ特に支障はないようでした。

こうして葬式時や法要で和ろうそくをお供えするようになって、しばらく経つと、
「あの時にもらった和ろうそくを灯したら、すごくきれいでよかった。」という感想を、時折いただくようになりました。

やっぱり人が亡くなった時に、和ろうそくをお供えしてよかった。

自分が買ったろうそくは、もったいなくてなかなか灯せないものですが、亡くなった方にお供えされる和ろうそくだと、法要の機会に合わせて灯しやすいものです。

私はふと、みんなが法要の時に和ろうそくをお供えする習慣ができれば、遺族はスムーズに和ろうそくを灯せるようになり、灯すことで和ろうそくの良さを知ることができるのではないかと思いました。

そうだ。みんなにこのやり方を勧めてみよう!

お葬式や法要の機会が来るたびに、私はしきりに和ろうそくをお供えしろと、周囲の家族や知り合いに勧めはじめました。きっとみんなもこの考えに同調してくれるだろうと思ったからです。

ところが、自分が思ったほど反応はよくありませんでした。

↓押してくださると励みになります。

人気blogランキングへ

和ろうそくを灯す時 その4

2009-05-22 22:52:52 | 和ろうそくを灯す時
人はどんな時に和ろうそくを灯すのだろう?

私はその命題に向かって、まずは自分ができることを考えてみました。ともかく人が確実に灯す機会があるとすれば、こちらのエントリで書いたように、それは人が亡くなった時です。死者と残された遺族を結ぶ絆として、和ろうそくほど一番ふさわしいものはありません。

しかし、死というものは突然やってくるもの。いつ人が死ぬのかなんて誰にもわかりません。コンビニで和ろうそくを売っているのならまだしも、いざという時に持っていなかったら、灯したくても灯せないわけです。

私は近所の葬儀屋さんに聞いてみることにしました。何か葬儀屋さんのカタログとかがあれば、人が亡くなった場合、和ろうそくを遺族に勧めることができるかもしれないと考えたからです。

しかし、お会いした葬儀屋さんは残念そうに言いました。
「…力になりたいのは山々なんですが、今のところ何もできることはありません。」

葬儀屋さんによると、遺族のほとんどがコストパフォーマンスの良いローソクを欲しがるのだそうです。

「このローソク、何時間燃えると?」
「なるべく長い時間燃えるロウソクの方がよか。」
「ローソクと線香はタダでつけてもらえんね。アンタたち儲かりよるっちゃろもん。」

まあ、こんな感じ。
線香ですら、なるべく長く燃えるように、今では蚊取り線香みたいに丸くて世話いらずの商品があるんですから、和ろうそくの出番なんかないというのです。おまけに葬儀屋さんが取り扱っている会葬御礼の品にしても、できるだけ安い商品が好まれていて、とても和ろうそくの入る隙はありません。

私の疑問は膨らんでいきました。

大切な人が亡くなった時でも、人はできるだけ金のかからない、世話いらずのローソクを選ぶべきだと思ってるんだろうか?

自分を育ててくれた親でも?

↓押してくださると励みになります。

人気blogランキングへ