松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

松山櫨の接ぎ木を前に

2007-04-30 19:39:32 | 復活奮闘日記
ようやく最初は不可能だと思われた
松山櫨の接ぎ木をすることになりました。

この日記を始めてから、
ものすごく長かったような気がしますが
実際にはここまで来るまで、約1ヶ月しか経っていません。

とはいえ、最初の段階を思い出すと
なんと私は台木と苗木の違いも知りませんでした。
もちろん櫨の品種の違いもろくに知りませんでした。
松山櫨も簡単に見つかるもんだと思ってました。

考えるのとやってみるのは大違いです。
櫨について無知な私に
各方面の方々から、優しい助言や協力をいただき、
本当に感謝しています。

これで、ようやく松山櫨の接ぎ木に着手することができます。
成功率は限りなく低いようですが、
もし今年失敗しても、来年や再来年と続ければ
きっと成功するはずです。

私がこれからすることは、見守るだけですが
成長を楽しみに、時折観察していきたいと思います。

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接ぎ穂採りに行く その7

2007-04-29 19:12:50 | 復活奮闘日記
大崎農園さんによると
接ぎ穂は芽が出始めた寒い頃に
採っておかないといけません。
気温が暖かくなる時期になると
接ぎ穂の芽がどんどん育ってしまって
うまく活着しないそうです。

ただ、接ぎ木作業自体は4月頃、
かなり暖かくなってするので時間差ができます。
そのため、採ってきた接ぎ穂を
冷蔵庫に保存しておかなくてはなりません。

とはいえ、荒木社長によると
昭和福櫨は3月には接ぎ木するそうですから、
櫨の接ぎ木には、これ、と
決まった方法はなさそうでした。

今回は大崎農園さんに頼むので、
とりあえず、接ぎ木については全て
大崎さんにおまかせすることになりました。

なにはともあれ、これでめでたく台木と接ぎ穂、
接ぎの役者の揃い踏みと相成りました。
歌舞伎に例えるならば、
「見得」のポーズをした立ち役に合わせて
チョチョンと拍子木のツケ打ちが聞こえてくるようです。

いえいえ、接ぎ木の話なんですけどね。

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接ぎ穂採りに行く その6

2007-04-28 19:39:50 | 復活奮闘日記
大崎さんは、例によって
荒木社長が持参してくれた種を調べました。
すでに実から種を取り出したものです。
「ふ~む。いくつか中身は入っとる。」
ほっとしました。
これで台木作りへの第一歩が踏み出せます。
また、荒木社長が採取した接ぎ穂もチェック。

OKのようです。

「OKじゃないとよ。
あの台木。あんな老木持ってきてさ。
いったいアレ、何年経っとると?」
と大崎農園さん。
こないだコガキューさんから買って預けた櫨の台木に
かなり不満タラタラです。

「さぁ。実までついてたから…。」
「げっ。実がついとったとや?!
5年くらい経っとるっちゃなかろ。
普通、接ぎ木をするのは1年か2年ばい。
あげな婆さんみたいなの、成功するっちゃろか。」

どうして爺さんじゃなくて、
婆さんなのか異論はありますが、
ともあれ台木が年をくってると、
活着率が悪くなるというのです。
それはさんざん聞かされていたので、
私にもわかっていました。
しかし、婆さん、いや爺さんしかいないんだから
爺さんをこき使うしか仕方ないじゃありませんか。

私は婆さんか爺さんかで意見を戦わせるのは止めておいて、
接ぎ木の時期はいつ頃にするのか尋ねました。

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接ぎ穂採りに行く その5

2007-04-27 21:50:56 | 復活奮闘日記
荒木社長と中川社長のおかげで
無事に接ぎ穂採りに成功しました。

あとは大崎農園へ
採取した穂木を届けなければなりません。
私と荒木社長は、いったん中川社長と別れて、
大崎農園へ向かいました。

広々とした植木畑の真ん中で、大崎農園の方々は
キウイの接ぎ木作業の真っ最中でした。

植木・苗木の里、田主丸は全国的にも有名なんですが
最近は苗木作業をする所が少なくなったそうです。

「見て下さいよ。
ほとんど畑に出てる人がいないでしょ。
みんな高齢化で植木屋が年々少なくなってるんですよ。」
と、荒木さん相手に標準語でしゃべる大崎さん。

確かに、大崎さん達以外は、ほとんど人がいません。
過疎化している田舎では、
ほったらかしになった田んぼも多く見かけますし、
以前は巨峰で賑わったぶどう園が廃業になって、
いまや樹海になっている場所も少なくありません。

この先の日本の農業を考えると、
なんだか暗澹としてくる言葉です。

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接ぎ穂採りに行く その4

2007-04-26 19:23:18 | 復活奮闘日記
15分後に現地に到着しました。
近くにある白梅が満開です。

ツタが巻き付いてしまった松山櫨を見て
荒木社長も残念そうでした。
「ツタが巻いてしまうと、
木がどんどん弱くなってしまいますもんね。」
そうなるとどうなるのか。
あんまり考えたくない現実です。
この松山櫨が枯れて倒れてしまうなんて。



荒木社長は案外身が軽く、木にすいすいと登っていきます。
松山櫨の木は崖に生えているので
崖の高さをプラスすると、
かなりぞっとする高さになります。
私は邪魔しないよう息を呑んで見守っていました。
植木ばさみで、適当な接ぎ穂をとっていきます。

ところで、気になる発言がありました。
荒木社長「これ、全部松山櫨じゃ、ありませんね。」
中川社長「うん、全部じゃない。でもどれかは松山櫨じゃ。」

えええっ!

一体どの木が松山櫨で、どの木が松山櫨じゃないのか。

たった5本しか台木がないのに、
しかも活着率が悪いのに、
もし接ぎ木に成功したとしても、
その木が松山櫨じゃないかもしれないとは。

やはり、一年を通して観察してみなければ
松山櫨と確定はできないようです。
なんだか道のりは長そうです。

最後に櫨農家の橋本さんを真ん中に記念撮影しました。


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接ぎ穂採りに行く その3

2007-04-25 19:28:16 | 復活奮闘日記


荒木社長が来年の接ぎ木のための
台木用の種をたくさん持ってきてくれたので、
中川社長も、その種から台木作りに
チャレンジすることになりました。
台木の成長を楽しみに
これから時々訪れることになりそうです。

松山櫨の話は尽きませんが、
ようやく接ぎ穂採りに出発です。

天気は快晴とはいかなくて、
予報どおり、少し雲がでてきました。
雨が降らなければいいんですが。

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接ぎ穂採りに行く その2

2007-04-24 19:53:31 | 復活奮闘日記
荒木社長によると、
最近櫨を植える人も少しはいるそうですが、
どうやら櫨の品種が偏っているそうです。

例えば、和ろうそくでは
それぞれの品種は使う場所が違うので
有名どころの伊吉櫨や昭和福櫨ばかりが
一方的に増えてしまっても
他の品種が足りなくなっては
高品質の和ろうそくは作れません。
それぞれの品種がバランス良く使われてこそ
世界に名高い和ろうそくが作られるのです。

美しい色あいを生かした
和ろうそくの上掛けにぴったりな品種…。

そう、それこそ松山櫨の出番です!

江戸時代末期、最も和ろうそくが作られた時代、
和ろうそくの品質が一番高かった時代において、
松山櫨は「最上」との評価を得ました。
この評価は現代でも
十分に当てはまるものだったのです。

その松山櫨が一本でも復活できるのなら。
そう荒木社長も夢を持ったのでした。

(画像は荒木製蝋の和ろうそくの光です)

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接ぎ穂採りに行く その1

2007-04-23 20:29:13 | 復活奮闘日記
2月22日。松山櫨の接ぎ穂採りに行く日です。
天気は晴れ時々曇りといった具合です。
荒木社長とは、いったん中川石油で落ち合って、
中川社長の自宅へ立ち寄ることになりました。

朝倉市に向かう前に、
中川社長の自宅の応接間でお茶会です。
当然、松山櫨の話題になりました。

荒木社長「松山櫨の色はどんな色でしたか?」
中川社長「少し緑がかった薄い黄色やったですね。」
荒木「やっぱり、他の品種とは少し違ってたんですね。」
中川「はい。独特の色でしたもんな。」

昔、松山櫨だけで木蝋を作り、
和ろうそくの上掛けにすると、
非常に美しい色合いとなったそうです。

今となっては、松山櫨だけで木蝋はおろか
そもそも松山櫨そのものが絶滅しかかっているので
松山櫨を上掛けにした和ろうそくなど
夢のまた夢。
想像するしかありませんが、
緑がかった微妙な色合いの和ろうそくは
さぞかし風情があっただろうと思われます。

荒木社長はなぜ松山櫨を見に来たかを
話し始めました。

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二人より三人

2007-04-22 18:57:59 | 復活奮闘日記
私は荒木社長が一緒に接ぎ穂採りに来てくれると聞いて
非常に嬉しくなって、さっそく中川製蝋の社長にも連絡しました。
すると、なんと中川社長も一緒に来てくれるとの事です。

製蝋業のお二方と一緒に
接ぎ穂採りができるなんて、
ああ、なんて私は幸せ者でしょう。
こないだまで松山櫨かどうかわからなくて
かけずり回っていただけに、
貯めておいた幸運がやってきたようです。

まるで大船に乗ったかのような気分になってきました。
大崎農園からは
「接ぎ穂を採るのは晴れた日にせんね。」と
言われていました。
雨に濡れると櫨マケしてしまうからだそうです。

接ぎ穂採りに行く日は2月22日です。
その日の天気予報を見てみると、
残念ながら雨になっていました

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一人より二人

2007-04-21 18:14:52 | 復活奮闘日記
接ぎ穂採りも心配ですが、
来年への台木作りのために
ちゃんとした櫨の種をもらいに、
もう一度荒木製蝋へ行かなければなりません。

荒木製蝋に種をもらいたいと電話すると、
なんと荒木社長から、
接ぎ穂採りに一緒に行きたいという申し出が!
実際に松山櫨の場所の確認と、
木を見てみたいとのことでした。
おまけに種も持ってきてくれるそうです。

もちろん、素人の私が一人で接ぎ穂採りに行くよりも
荒木社長が来てくれた方が安心です。
しかも種も持ってきてもらえるので
一石二鳥

私は大喜びしました。
嬉しくなると、こうした経緯を
誰かに聞いて欲しくなるものです。
さっそく中川石油(元中川製蝋)の社長に
電話をかけることにしました。

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一人で接ぎ穂採り?

2007-04-20 19:37:42 | 復活奮闘日記
台木の用意は完璧です。
大崎農園からは、接ぎ穂採取は今頃がちょうどいいと
言われました。時期も完璧です。
ただ、私が一人で接ぎ穂を採りに行くってのは
全然完璧じゃありません。

大崎農園は今や、桃とかキウイとか
(いわゆるイマドキの果樹苗)の
接ぎ木の真っ最中で、朝から大忙しです。
のんびり櫨の接ぎ穂採りに行くヒマなんてありません。
勝手に行って、採ってきてくれと言われ、
なんとも心許ない気分になってしまいました。

「ハゼと木蝋」(1992年)という本には
画像の通り、どの部分を採ればいいか
ちゃんと図解で説明してありますが、
実際やってみたことはないんですから、
ヘンテコな失敗でもするかもしれません。
考えると不安になってきます。

しかし、なんと意外な助っ人が現れました。

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ラベル作り

2007-04-19 20:57:23 | 復活奮闘日記
無事に台木の櫨苗を5本購入したので、
さっそくラミネートしたラベルを
一つずつ作りました。

松山櫨一号
松山櫨二号
松山櫨三号
松山櫨四号
松山櫨五号

台木の櫨苗からは
「オレは松山櫨じゃない!」って言われそうですが、
接ぎ木したら松山櫨だと呼ばれるし、
そもそもアンタ、品種名は何よ?って
突っ込みたくなるので、
ともかく今から「松山櫨(の台木)」と呼ぶことにします。

わざわざラベルを作ったのには理由があります。
一目でわかるようにすることと、
こうした台木にも敬意を払うためです。

接ぎ木はいわゆるクローン外科手術です。
活着するかどうかかなり怪しく(活着率2~3割)
病気になって枯れてしまう確率の方が高いそうです。
ポット苗でいた時は、
窮屈だけど気ままな生活だったのに
松山櫨のために外科手術をすることになって
尊い犠牲を払うことになるかもしれません。

無言で佇む櫨の台木を見ていると、
自然と敬意を払いたくなるというものです。

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カイの木 その2

2007-04-18 19:45:51 | 復活奮闘日記
カイノキも実をつけますが、赤い実がなるそうです。
櫨同様ウルシ科ではありますが、
カイの木はカイノキ属。
一方櫨はウルシ属。
もし、カイノキを台木にしたら、
接ぎ木ができるんでしょうか。
気になるところですが、
南京櫨同様、種類も違うので無理な気がします。
それに、直角に枝分かれとか科挙とか「学問の聖木」とか
あまりに神々しすぎて、
どうも櫨とは性格が違うような気もするし。

とはいえ「ピスタチオ」はこのカイノキの仲間だそうで
かなり意外です。
なぜってピスタチオって、
TVを見ながらおつまみに食べるような
マイペースでリラックスしたイメージがあるわけで、
それが、あのピシッと背筋を伸ばした
学問の聖木カイノキと同じ仲間だなんて。

人は見かけによらないといいますが、
木も見かけによらないもんです。

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カイの木 その1

2007-04-17 18:12:24 | 復活奮闘日記
コガキューで櫨の苗木を買っていると、
古賀社長が近づいてきました。
「あんた、櫨の木を植えるんやってねぇ。
そういえば、櫨マケしない木があるの、知っとる?」
と古賀社長。私は
「南京櫨、ですか?」と、
やや面くらいながら答えると
「違う、違う。知らん?
知らんやったら、モグリやって言われるよ。
よし、教えちゃろう!」
私はありがたく拝聴することにしました。

それは、カイの木でした。
櫨同様、紅葉が美しく、櫨マケしないので
小学校などに植えられているそうです。

あとでWikipediaで調べたところ、
直角に枝分かれすることや
小葉がきれいに揃っているこから
楷書にちなんで名付けられました。
孔子の墓所「孔林」に
弟子の子貢が植えたこの木が代々植え継がれ、
科挙の進士に合格したものに楷の笏を送ったことから、
学問の聖木とされています。
日本には1915年に種子が伝わっています。

こうして櫨関連の知識が増えるのは楽しいことです。
なんか一つ賢くなったような気がするものです。

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「松山櫨便り」を置いています

2007-04-16 19:04:59 | 松山櫨とは
電車もJRも通ってないのに、「駅」とは紛らわしいんですが、
いわゆる「道の駅」って感じのトイレ付き休憩所が出来ました。

内山緑地へ登っていく道と、久留米側から山苞の道が始まる所です。
そこにチラシ置き場を見つけたので、
さっそく「松山櫨便り」を置かせていただくことにしました。

先日のオープンガーデンの時に、何枚か置いていましたが、
今日立ち寄ってみると、ほとんどなくなっています。
少しは興味を持たれた方がいらっしゃったって事ですね。
やった!
気をよくした私は、再び何枚か加えておくことにしました。


「松山櫨便り」は現在第6号まで発行しています。
内容は当ブログをまとめたもので、
ブログよりかなり進行が遅れていますが、
インターネットをしない方にも
見てもらおうと思って作っています。

もし田主丸に立ち寄られた際は、
この「山苞の駅」、JR田主丸駅、そよ風ホール、
福岡県緑化センターなどのチラシ置き場に
置いていますので、ぜひご自由に取ってください。

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