後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔526〕後期ゴシック彫刻を歩く⑪ 二度目の正直、ハンス・ムルチャーの聖母子像に遠目から会えました。

2022年11月13日 | 美術鑑賞
 10月3日(月)、ポリングの「妖しくない聖母子像」に対面した次の日のことでした。 アウグスブルクからランツベルク・アム・レヒ(レヒ川のランツベルクの意)までは40分足らずのところでした。ロマンティック街道に位置するランツベルクを最初に訪れようと思ったのは2019年のことでした。この時は他の訪問都市との兼ね合いで残念ながら見送らざるを得ませんでした。
 今回どうしても行きたかったのは、ここに後期ゴシック彫刻家の先駆け、ハンス・ムルチャーの聖母子像があるからです。この聖母子像はバクサンドールを初めとして数多くのドイツ語文献に掲載されているのです。その重要性についてはこれからの研究になります。





 この日は曇り空で雨でも降るのではないかという日和でした。たぶん普段よりもレヒ川の水量は多かったのでしょう。
 比較的たやすくマリア被昇天教区教会に辿り着きました。教会内は何処も収穫祭のためか野菜や花で美しく飾られて華やかです。





 お目当ての聖母子像は内陣深く、左側の壁面にありました。普段からそうなのでしょうか、綱が張ってあって内陣には近づけません。画像を大きくして遠目からシャッターを切りました。間近に鑑賞できない無念さはありましたが、やっと会えたという歓びのほうが勝っていました。



 この日はもう一箇所訪問の予定がありました。ランツベルクからアウグスブルクを通り越してドナウ・ヴェルトに向かいました。ここもやはりロマンティック街道の町です。近くを流れるのはもちろんドナウ川です。







 マリア大聖堂にはグレゴール・エーアハルトの「秘跡室の彫刻飾り」があります。写真集第Ⅴ巻所収のグレゴールのカタログに掲載されています。
 肝腎の下部の彫刻部分が頑丈に鉄柵で保護されていて、判然としませんでした。

 この日のトランクを置いての「遠足」は気楽で、充実感がありました。 

〔525〕後期ゴシック彫刻を歩く⑩ フライジング博物館の開館式に招待されました。

2022年11月13日 | 美術鑑賞
 9月30日(金)はラインベルガーの「アンナ三代像」、10月2日(日)は同じくラインベルガーの「妖しくない聖母子像」を拝観したということをブログに書いてきました。
 今回はその谷間の10月1日(土)のお話です。
 この日我々はミュンヘンからほど近いフライジングにいました。フライジングは日本のガイドブックにも載っていないようなところですが、昔からキリスト教では重要な地域だそうです。またドイツで一番古いビール醸造所があるところだそうです。以前日本のテレビで放送していましたよ。





 私たちにとってフライジングは大聖堂であり、博物館です。後期ゴシック彫刻の宝庫でもあるのです。しかし博物館はずっと改装中で入館できませんでした。

 しかし、この日、フライジング博物館の開館式があり招待されました。招待してくれたのはバイエルン国立博物館のマティアス・ヴェニガー博士でした。開館に深く関わった方です。
 実はこの日、彼は外国に出張の予定が入っていたのですが、私たちのために出発を1日遅らせてくれたのです。
 開館式は午後からということで、午前中はフライジング大聖堂で待ち合わせました。膨大な彫刻群のレクチャーを緑はヴェニガーさんから受けることになります。その解説は難解で、まさに機関銃のようでした。(掲載する彫刻はいずれもエラスムス・グラッサーの作品です。)





 昼はご自宅に招待してくれて、なんと美味しい米料理をいただきました。お連れ合いのルースさんの手作りでした。

 午後2時くらいからフライジング博物館の開館式が始まるということで、我々4人は会場に急ぎました。そもそもフライジング博物館に我々がどうしても行きたかったのは、エラスムス・グラッサーなどの良質の作品が数多く所蔵されていたからでした。
 入館を待って長蛇の列ができていました。開館祝いのために地域の人々が着飾って来館しているのです。ジーパンとヤッケの私は場違いという感じでした。
 入館すると一階のホールではすでに開会の挨拶が始まっていました。満席なため立ち見客でごった返しています。ホールは4階まで吹き抜けで、各階から覗き込めるようになっています。
 しばらくしてコンサートが始まりましたが、演奏の様子が良くわからなくて退屈なので、2人でお目当ての展示物を見に行きました。ここでもヴェニガーさんが来てくれて解説してくれました。展示に携わった専門家から話を直接聞けるのは我々ぐらいなのではないでしょうか。ルースさんは我々が迷子にならないか気を遣ってくれているようでした。



  今回はちょっと人が混み合って慌ただしかったので、別の機会にじっくり見回りたいと思った次第です。
 我々はインゴルシュタットに戻らないといけないので、少し早めに博物館を後にしたのですが、ヴェニガーさんが駅まで送ってくれました。