後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔548〕後期ゴシック彫刻を歩く㉛  偶然出合った彫刻が多かった ことに帰国してから気づき興奮しています。

2022年11月26日 | 美術館・博物館鑑賞


 マイケル・バクサンドールはイギリスの美術史家です。ルネサンスなどのイタリア美術に詳しくいくつかの関連本を出版しています。そしてドイツの後期ゴシック彫刻について書いたのが『彫刻家の芸術』です。
 ちなみにバイエルン国立博物館のヴェニガー博士はこの本や福田緑の写真集に多くの価値を見いだし、ドイツ芸術史に新しい視点をもたらしていると証言しています。(写真集第Ⅳ巻前書き)褒めすぎという感じはしますが、嬉しいコメントではあります。

 バクサンドールのこの本が我々の後期ゴシック彫刻を歩くためのバイブルになりました。彫刻の素材などについて詳しく書かれていますが、我々が一番関心を持ったのは作家列伝とその作品カタログでした。
 今回の旅の訪問先を決定するためのドイツ語文献はあまたありますが、『彫刻家の芸術』もその大きな決め手になりました。以下の6つの像はどうしても見たかったものですが、拝観することができました。〔ブログ掲載済み〕

Ⅰ 聖母子像(ハンス・ラインベルガー)ポリング
Ⅱ 聖母子像(ハンス・ムルチャー)ランツベルク
Ⅲ ゲオルク像(ハンス・ラインベルガー)ミュンヘン
Ⅳ 庇護マントのマリア(グレゴール・エーアハルト)フラウエンシュタイン
Ⅴ マウア祭壇(作者不明)マウア
Ⅵ 聖家族を描写した翼付き祭壇(ダニエル・マウホ)ビーゼルバッハ

 帰国して、写してきたあまたの彫刻写真を見ながらブログを書いていると、予想もしなかった発見がありました。そのことに驚き、興奮しています。写した写真の中にバクサンドールの本に登場している彫刻が5体もあったのです。

Ⅶ マリア戴冠(ヴィジツ)フライブルク大聖堂
Ⅷ 庇護マントのマリア(Hans Sixt von Staufen)フライブルク大聖堂
Ⅸ 悲しみのマリア(作者不明)ゲルマン国立博物館
Ⅹ アンナゼリプドリット (アルテエッティンクのマイスター)リンツ城博物館
Ⅺ 聖母子祭壇(作者不明)シュトゥットガルト州立博物館

 ブログに縷々書き綴ってきましたが、これらの他にも多くの素晴らしい後期ゴシック彫刻に出合ってきました。何時の日か、どんな形でか、発表できると良いなと思っています。

〔547〕後期ゴシック彫刻を歩く㉚  美術史美術館はまさに中世彫刻の宝庫でした。

2022年11月26日 | 美術館・博物館鑑賞
 10月9日(日)、ウィーン中央駅からSバーンで2つ目のウィーン・ミッテ駅で下車し、約1キロの道をシュテファン寺院まで歩きます。ここまでは通い慣れたる道です。少し左手にカーブすると王宮が見えてきます。その先が美術史美術館です。







 美術史美術館修復士のバルバラさんは残念ながら出張で再会なりませんでした。彼女については写真集第Ⅴ巻に紹介しています。

 今回、美術史美術館で見たかったのは、もちろん後期ゴシック彫刻です。リーメンシュナイダーやミヒェル・エーアハルトなどの著名な彫刻家だけでなく、マウホやヴェックマンなどの作品はありそうです。
 ありました、ありました。興味深い作品がてんこ盛りでした。人はほとんどいないので写真撮影にはもってこいのはずですが、ほぼすべてがガラスケース入りのため光が反射していてうまく写らないのです。それでも資料作りのため、粘り強く作品と表示を写しまくりました。

 絵画もたっぷり堪能しました。でもフェルメール「絵画芸術」がなぜか「不在」でした。前来たときは、まわりに人もいなくて、消失点まではっきりと確認できました。
 クリムトの壁画は階段正面を上がったところの上部にあります。反対側からこれを写すのはけっこう難しいですよ。






〔546〕後期ゴシック彫刻を歩く㉙ ベルヴェデーレ宮殿でついにパッハーの絵を見ました。

2022年11月26日 | 美術館・博物館鑑賞


 10月5日(水)、アウクスブルクからウィーンに移動しました。ホテルは新しくできたウィーン中央駅のすぐ近くでした。ウィーン中央駅はあのベルリン駅をさらに大きく豪華にした感じで、ちょっとびっくりしました。
 ホテルにトランクを置いてベルヴェデーレ宮殿に向かいました。ウィーン中央駅からベルヴェデーレ宮殿まで1㎞ちょっとでしょうか。なんとか美術館には入館できそうです。



 ちなみにベルヴェデーレとは美しい眺めのことだそうです。
 チケット売り場で上宮と下宮の入場券を購入しようとしたら、今からでは両方は見学できないだろうと言われました。まだ閉館まで2時間ぐらいあったんですがね。上宮だけ入場することにしました。
 2階にクリムト、シーレ、ココシュカなどオーストリア絵画の粋が凝縮され、なんと言っても一番人気です。見学者で溢れかえっていました。韓国のツアーが2組ありました。
 人がまばらな1階から回りました。これが大正解。私たちが目差していたミヒャエル・パッハーの絵が数点並んでいました。パッハーはムルチャー、シュトースと並んで彫刻と絵画の二刀流です。じっくり舐めるように鑑賞し、写真に収めました。
 少し人が空き始めた頃2階へ。それでもクリムトの「接吻」の前は黒山の人だかりでした。



 翌日、ゆったりと下宮を目差しました。かつてここでスラヴ叙事詩のミュシャ展を見たことがあります。その後何年かして東京でこのミュシャ展が開催され、ここにも足を運びました。
 入館料が高いのに不満を言いながら、外宮の別棟プルンクシュタールに向かいました。ここには中世美術のコレクションがありました。いくつかの部屋に所狭しと彫刻などが陳列されていました。撮影しようと近づくとブザーが頻繁に鳴りました。



 散策するにはお金がかかりません。
 確かに美しい眺めでした。