後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔529〕後期ゴシック彫刻を歩く⑭ オットーボイレン・ケンプテン・エーレンシュタイン・ヴィッピンゲン、マウホとグレゴール・エーアハルトを堪能しました。

2022年11月14日 | 美術館・博物館鑑賞
 ヴィリーは「緑たちの旅行 2022年」という9月4日(日)から9月8日(木)までの旅程表をプリント1枚にまとめて作ってくれました。朝の食事から夕食までの詳しい日程表です。彼はその他にも自分の運転する地図をプリントアウトしてファイルにまとめているのです。毎回頭が下がります。
 アンゲリカの家では毎日心づくしの豪華な食事をいただきました。
 シルヴィアとクラウスの購入した広大な野外地では、彼らの友人を呼んでのバーベキュー に舌鼓を打ちました。

 さて、オットーボイレン・ケンプテン・エーレンシュタイン・ヴィッピンゲン…と後期ゴシック彫刻のある地方都市を彼らの車で案内してもらいました。これだけ見回ることは、私たちだけでは到底叶わないことでした。

 「オットーボイレンのマイスター」はハンス・トーマンではないかという説がありますが、まだ確定はしていないようです。いずれにしてもオットーボイレンは訪ねてみたいということで、オットーボイレン修道院に行きました。ここには博物館があるのですが残念ながら改築中でした。それでもパンフを手に入れ、「オットーボイレンのマイスター」の部屋が有ることは突き止めました。何時の日か再訪を考えています。

  ブラウンシュタイン・ヴィッピンゲンではマウホの「ヴィッピンゲン祭壇」、ブラウンシュタイン・エーレンシュタインではグレゴール・エーアハルトの「エーレンシュタインのマドンナ」を比較的順調に拝観できました。









 ところが、ケンプテンの聖ローレンツ教会でマウホと工房の「マリアの戴冠」を探したのですが、ここには現存しませんでした。現在はマリエンカペレの個人蔵になっているということを突き止め、マリエンカペレに導いてくれたのはシルヴィアでした。
 マリエンカペレは小さな教会でした。日本から訪ねてきたということもあってか、鍵を開けて、丁寧に話もしてくれました。ため息が出るほど「マリアの戴冠」は素晴らしく、輝いて見えました。




〔528〕後期ゴシック彫刻を歩く⑬ マウホのガイスリンゲン祭壇はドイツの友人によって開かれました。

2022年11月14日 | 美術館・博物館鑑賞
 9月4日(日)、コロナ禍の中の久しぶりの海外旅行で成田からフランクフルトに飛ぶとき、友人の啓子さんと我々夫婦は相当緊張していました。ドイツ入国はかなりコロナに対して緩くなってきたとはいえ、万が一にも外地でコロナに罹ったらどうしようというプレッシャーがありました。
 しかし、シュトゥットガルトで出迎えてくれたドイツの友人たち(二組の夫婦、シルヴィア、クラウス、アンゲリカ、ヴィリー)の顔を見たらそんな不安はどこかに吹き飛んでしまいました。なるようになれ、楽しむしかない! です。
 彼らとの行動は4泊5日(3泊はアンゲリカ宅、1泊はケンプテンのホテル)でした。

 9月5日(月)、彼らの運転する2台の車に分乗してガイスリンゲンに向う途中、レヒベルクハウゼンに立ち寄りました。マウホと工房作の聖人像が数体あるのです。





 最終目的地はガイスリンゲンで、ここには写真集第Ⅴ巻で紹介したマウホのガイスリンゲン祭壇があるのです。シルヴィアがしっかり事前に教会と連絡をとっておいてくれて、鍵を開けてくれました。
 この祭壇の魅力はマウホらしい優しく慈愛に満ちたマリア像と、彫刻としては今までに出合ったことがないような「煉獄の炎」が下部のプレデラに配置してあることです。写真集ではウルム博物館提供の写真が際立っているのでご覧になってください。









  彼らとの旅はまだ続きます。

〔527〕後期ゴシック彫刻を歩く⑫ ビーゼルバッハはダニエル・マウホへの一本道でした。

2022年11月14日 | 美術館・博物館鑑賞
 そもそもダニエル・マウホへの関心を高めたのはウルム博物館で見たマウホのカタログがきっかけでした。大部な本のため旅途中での購入はためらわれたのですが、日本に戻ってきてから、多少高価ではあったのですが、ネット購入をしました。それというのも、このカタログを責任編集していたのは、ウルム博物館の彫刻写真掲載でお世話になっているエヴァ・ライステンシュナイダー博士だったからです。
 マウホは日本でほとんど知られていない後期ゴシック彫刻の大家です。私たちの写真集第Ⅴ巻にはライステンシュナイダーさんのご厚意で多くのマウホ作品を掲載することができました。おそらくマオホの日本デビューではないかと思います。

 今回の「後期ゴシック彫刻を歩く旅」の多くは「マオホを歩く旅」になっています。写真集に掲載したマオホ作品に加えて、カタログから情報を得て、新たなマオホ作品に出合う旅でもありました。

 10月4日(火)、ハンス・ムルチャーの聖母子像などを拝観した次の日のことでした。
 アウグスブルクから西に電車・バスを乗り継いで約2時間のところにビーゼルバッハがありました。ここにはダニエル・マウホの代表作「聖家族を描写した翼付き祭壇」が安置されているはずです。緑がフランツ・クサーヴァー礼拝堂に連絡を取ると拝観はいつでも可能であるというのです。



 親切なバス運転手に促されてビーゼルバッハのバス停に降り立ちました。見渡す限りの野原です。道は左右に一本ずつ、ビーゼルバッハの標識を頼りにコロコロを転がしました。途中魚の養殖所があったり、水鳥が群れていたりのどかなところです。



 十数分砂利道を歩いて、道が左右に分かれたところに小さな可愛らしい礼拝堂が見つかりました。フランツ・クサーヴァー礼拝堂でした。
 本当に小さな堂内は無人で、正面に「聖家族を描写した翼付き祭壇」がドーンと構えていました。親切なことにライトも付けられるようになっていました。





 もう一体、マウホ作品が左側の壁に設置されていました。こちらもカタログに掲載されているものです。



 夢中で撮影させていただきました。感謝のみです。