少し前のブログで福田緑写真展「祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く」を取り上げましたが、現在展示がスタートしたばかりです。
初日の11月23日(土)は、永田浩三さんと緑とのギャラリートークもあり、多くの来場者(まさに40人満席)で賑わいました。しかし、永田さんがこれほど美術に造詣が深いとは、新鮮な驚きでした。そういえば彼は、著書『ベン・シャーンを追いかけて』(大月書店)、『ヒロシマを伝える-詩画人・四國五郎と原爆の表現者たち』(WAVE出版)などをお持ちでした。多くの的確な画像写真が説得力を持って迫ってきました。緑は好きなリーメンシュナイダーの話をたっぷり聞いていただける幸せに酔っているようでした。
あらためて緑の挨拶文を読んでもらいます。
●リーメンシュナイダーの追いかけ人として
福田緑
ティルマン・リーメンシュナイダーは、中世ドイツの彫刻家です。1460年頃、ドイツ中部のハイリゲンシュタットで生まれ、1483年にはヴュルツブルクの職人となっていました。1485年にヴュルツブルクのフランツィスカーナ通りに工房を構え、多くの木彫祭壇や聖人像を作りました。市の参事官や市長まで務めましたが、1525年にヴュルツブルクが戦場となった農民戦争で、農民の側に立ったためにマリエンベルク要塞に投獄され、その後の作品は見られません。土地も財産も奪われて1531年に亡くなってから、リーメンシュナイダーの名前は次第に忘れられていきました。
1832年、クレークリンゲンのヘルゴット教会で、市参事会員ミヒャエル・ドレーアーが教会の廊下にあった大きな箱の中に何が入っているのかと開けてみたところ、輝くばかりのマリア祭壇が現れました。その後の調査で、今まで作者のわからなかった一連の作品群がリーメンシュナイダーの手によるものであることがわかりました。今やドイツで最も人気のある彫刻家と言われるリーメンシュナイダーは、ゴシック最後の彫刻家というよりも、ドイツ・ルネサンスの先駆けとして再評価されています。
私は、リーメンシュナイダー彫刻からあふれ出る静謐さ、深い哀しみ、そして敬虔な祈りの表現に魅せられ、今も彼の作品を追いかけているのです。
本写真展では、16回にわたる取材旅行で撮影してきた写真の中からリーメンシュナイダーだけでなく、他の同時代の彫刻家の作品もご紹介しています。一人でも多くの方がこうした作品を訪ねて歩いてくださるとしたら、「リーメンシュナイダーの追いかけ人」の私にとって何よりの喜びです。
*展覧会 2019年11月23日(土)~12月7日(土)11:00~19:00(最終日16:00まで)
*会場 ギャラリー古藤(ふるとう) 東京都練馬区栄町9-16(武蔵大学正門斜め前)
℡ 03-3948-5328
■ギャラリートーク 参加費1000円 予約優先
11月23日(土)17:00~18:30 永田浩三(武蔵大学教授)+福田緑
11月30日(土)18:30~19:30 棚田康司(彫刻家)+福田緑
12月6日(金) 18:30~19:30 福田三津夫(白梅学園大学非常勤講師)+福田緑
さて、多くの方のご紹介もあって、このイベントが多数のマスコミに取り上げられています。まずは東京新聞から紹介させていただきます。日経新聞と赤旗、朝日新聞にも関連記事が掲載されました。後ほど紹介します。ありがたいことです。
■中世ドイツの彫刻家 ティルマン・リーメンシュナイダー 作品研究、練馬で撮影写真展
(2019/11/22 08:10東京新聞)松尾博史
中世ドイツの彫刻家ティルマン・リーメンシュナイダーの愛好家で、その作品の研究や撮影を続ける福田緑さん(69)=清瀬市=の写真展が、23日から練馬区栄町の「ギャラリー古藤」で開かれる。教会に差し込む夕日が照らす聖母マリアなど約40点を展示する。
リーメンシュナイダーは一四六〇年ごろに生まれ、キリスト、聖母マリアらの聖人像や祭壇、宗教彫刻を手掛け、一五三一年に亡くなったとされる。その作品はドイツなどの博物館や美術館、教会に展示されている。
福田さんは東京学芸大を卒業後、都内の小学校の教員を三十年余り務めた。一九九九年にドイツ旅行した際、本で知っていたリーメンシュナイダーの作品を見て、引き込まれた。キリスト教徒ではないが、「作品からあふれ出る静謐(せいひつ)さや敬虔(けいけん)な祈りの表現に魅了された」と振り返る。
これまでにドイツを十六回訪れ、各地の作品を見て回った。撮影が認められた場所ではカメラに収め、習得したドイツ語を使って博物館などに掲載許可を取り、写真集三冊を自費出版した。
写真展は、知人らの勧めで初めて開く。福田さんは「リーメンシュナイダーの作品は細かく丁寧に彫られ、見る角度によって顔の表情の雰囲気が異なる。彼の作品を多くの人に知ってほしい」と話す。
十二月七日まで。無料。無休。問い合わせは、ギャラリー古藤=電03(3948)5328=へ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201911/CK2019112202000123.html
初日の11月23日(土)は、永田浩三さんと緑とのギャラリートークもあり、多くの来場者(まさに40人満席)で賑わいました。しかし、永田さんがこれほど美術に造詣が深いとは、新鮮な驚きでした。そういえば彼は、著書『ベン・シャーンを追いかけて』(大月書店)、『ヒロシマを伝える-詩画人・四國五郎と原爆の表現者たち』(WAVE出版)などをお持ちでした。多くの的確な画像写真が説得力を持って迫ってきました。緑は好きなリーメンシュナイダーの話をたっぷり聞いていただける幸せに酔っているようでした。
あらためて緑の挨拶文を読んでもらいます。
●リーメンシュナイダーの追いかけ人として
福田緑
ティルマン・リーメンシュナイダーは、中世ドイツの彫刻家です。1460年頃、ドイツ中部のハイリゲンシュタットで生まれ、1483年にはヴュルツブルクの職人となっていました。1485年にヴュルツブルクのフランツィスカーナ通りに工房を構え、多くの木彫祭壇や聖人像を作りました。市の参事官や市長まで務めましたが、1525年にヴュルツブルクが戦場となった農民戦争で、農民の側に立ったためにマリエンベルク要塞に投獄され、その後の作品は見られません。土地も財産も奪われて1531年に亡くなってから、リーメンシュナイダーの名前は次第に忘れられていきました。
1832年、クレークリンゲンのヘルゴット教会で、市参事会員ミヒャエル・ドレーアーが教会の廊下にあった大きな箱の中に何が入っているのかと開けてみたところ、輝くばかりのマリア祭壇が現れました。その後の調査で、今まで作者のわからなかった一連の作品群がリーメンシュナイダーの手によるものであることがわかりました。今やドイツで最も人気のある彫刻家と言われるリーメンシュナイダーは、ゴシック最後の彫刻家というよりも、ドイツ・ルネサンスの先駆けとして再評価されています。
私は、リーメンシュナイダー彫刻からあふれ出る静謐さ、深い哀しみ、そして敬虔な祈りの表現に魅せられ、今も彼の作品を追いかけているのです。
本写真展では、16回にわたる取材旅行で撮影してきた写真の中からリーメンシュナイダーだけでなく、他の同時代の彫刻家の作品もご紹介しています。一人でも多くの方がこうした作品を訪ねて歩いてくださるとしたら、「リーメンシュナイダーの追いかけ人」の私にとって何よりの喜びです。
*展覧会 2019年11月23日(土)~12月7日(土)11:00~19:00(最終日16:00まで)
*会場 ギャラリー古藤(ふるとう) 東京都練馬区栄町9-16(武蔵大学正門斜め前)
℡ 03-3948-5328
■ギャラリートーク 参加費1000円 予約優先
11月23日(土)17:00~18:30 永田浩三(武蔵大学教授)+福田緑
11月30日(土)18:30~19:30 棚田康司(彫刻家)+福田緑
12月6日(金) 18:30~19:30 福田三津夫(白梅学園大学非常勤講師)+福田緑
さて、多くの方のご紹介もあって、このイベントが多数のマスコミに取り上げられています。まずは東京新聞から紹介させていただきます。日経新聞と赤旗、朝日新聞にも関連記事が掲載されました。後ほど紹介します。ありがたいことです。
■中世ドイツの彫刻家 ティルマン・リーメンシュナイダー 作品研究、練馬で撮影写真展
(2019/11/22 08:10東京新聞)松尾博史
中世ドイツの彫刻家ティルマン・リーメンシュナイダーの愛好家で、その作品の研究や撮影を続ける福田緑さん(69)=清瀬市=の写真展が、23日から練馬区栄町の「ギャラリー古藤」で開かれる。教会に差し込む夕日が照らす聖母マリアなど約40点を展示する。
リーメンシュナイダーは一四六〇年ごろに生まれ、キリスト、聖母マリアらの聖人像や祭壇、宗教彫刻を手掛け、一五三一年に亡くなったとされる。その作品はドイツなどの博物館や美術館、教会に展示されている。
福田さんは東京学芸大を卒業後、都内の小学校の教員を三十年余り務めた。一九九九年にドイツ旅行した際、本で知っていたリーメンシュナイダーの作品を見て、引き込まれた。キリスト教徒ではないが、「作品からあふれ出る静謐(せいひつ)さや敬虔(けいけん)な祈りの表現に魅了された」と振り返る。
これまでにドイツを十六回訪れ、各地の作品を見て回った。撮影が認められた場所ではカメラに収め、習得したドイツ語を使って博物館などに掲載許可を取り、写真集三冊を自費出版した。
写真展は、知人らの勧めで初めて開く。福田さんは「リーメンシュナイダーの作品は細かく丁寧に彫られ、見る角度によって顔の表情の雰囲気が異なる。彼の作品を多くの人に知ってほしい」と話す。
十二月七日まで。無料。無休。問い合わせは、ギャラリー古藤=電03(3948)5328=へ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201911/CK2019112202000123.html