25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

小説に没頭している

2014年11月08日 | 文学 思想
村上春樹の小説を続けて読んでいます。昔、ノルウェーの森を読んで、悲しい青春の話だぐらいにしか思っていませんでした。ところが1995年の近代都市が我時に崩壊する阪神淡路大震災があり、すぐにオウム事件が起こりました。
 これを機に村上作品は変わったように思いました。「神のこどもはみな踊る」でとても不思議で、よくわかる短編集をだしたのです。村上春樹が外界の事象にコミットし、現代社会という背景にも裏打ちされたものとして、僕はふしぎな感覚で読み、感銘を受けたのです。以後、彼の短編集が楽しみになりました。中編の「アフターダーク」も読み、「海辺のカフカ」も読みました。すふと長編になると、とたんに僕には退屈に感じました。カフカ少年のような人物にも人間くささがなく共感しません。
 出版社の広告がうまいのか、彼の長編小説がでるたびに大騒ぎです。
 それで、またおお騒ぎで、「1Q84」がでました。これも無視していました。2年経って、なぜだったか忘れましたが、図書館で目にとまり、読んでみようかと思ったのです。
 青豆という女性は魅力的です。天吾という男性は毎度おなじみの受動態のような孤独な男ですが、セックスだけは事足りる、変な女にもてるいつもの 村上春樹の主人公です。
 オウム真理教事件が背景にあり、小説は深化し、ストーリーも格段に面白く、謎をかんがえる余裕もなく興奮して読みました。
 1年後、また読み返してみました。すると何倍も面白いと思い、謎について考えることもしました。
 こうなれば、彼の長編小説を全部読んでしまおうと思ったのです。新しい順から遡っていく順で読んでいます。
 村上の小説の吸引力は女性にあります。僕は前にまちがったことをかきました。
「1Q84」では青豆と天吾がたがいに牽引しあったのだ、と言いましたが、今は青豆が引っ張りあげたのだと思います。「ねじまき鳥クロニクル」を読み、
 「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読み、ノルウェイの森を再読し、途中で、新刊の「女のいない男たち」を読み、今、「羊をめぐる冒険」を読んでいます。どのくらいの質量があるものか、量りたい個人的な趣味というものです。そして女性が牽引しているのはどれも変わりありません。男性像にやや魅力に欠けるのも、僕にとっての特徴です。
デビュー作の「風の歌を聴け」まで、あと3作品です。



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