エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

柿の秋

2017年09月22日 | ポエム
路地植えの柿の木、である。
この木を植えられた一人暮らしのおばあさんは、ついこの間亡くなった。



お孫さんが生まれた時に「植えたのよ!」そう云って毎年収穫していたものだった。

甘い柿である。
ぼくも、毎年頂いた柿だ。

皮を剥き食べ易く切り分けると、ゴマ模様が入っていて食欲を誘った。



娘さん二人に看取られて、おじいさんと建てた家で亡くなられた。
一人暮らしだったけれど、最後はキチンと家族が看取った。
幸せな最後だったであろう。



何故か、シンミリとしてしまった。
秋の成せる業、である。







「熟るるまで指折り数ふ柿の秋







今年も収穫できた。
おばあさんを偲んで、頂く事にしようと思っている。

そうそう、この柿の木の葉は天麩羅にして頂いたものだった。
若い葉、である。
誰も剪定はしない。
それだけに「撓わ」に実る。

春と秋と、それぞれ愉しませて頂いた。
柿の秋、である。



         荒 野人