エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

実柘榴

2017年09月23日 | ポエム
花柘榴は、葉を残したまま紅葉への移行期にある。
実柘榴は、静かにしずかに成熟しようとしている。
実りの秋、への移行期にあるのだ。



この柘榴、公園の隅にあって誰も身を獲ろうとしない。
確かに・・・柘榴は食べるのが面倒くさい。

そうだからと言って、折角食べ頃になったと云うのに収穫しないのは礼を失する。
今年は、チャリンコで行って幾つか頂こうかと思っている。

面倒だけれど、ぼくたちが幼かった頃の「おやつ」であった。
あの甘酸っぱい赤い実。
あのルビーのような透通った赤い実。



郷愁を覚える秋果の一つ、である。
かつて実家の庭に、一本あった。
クネクネして上へと伸びる柘榴の木は、極めて個性的である。







「実柘榴の碇下ろせる廃家かな」







実柘榴の季節は、無き父と母を思い出す。
そういえば、彼岸の季節でもある。



       荒 野人