今年も7月17日に「大雪渓初呑切り選定会」に行ってきました。昨年長瀬杜氏は体調不良で欠席でしたので、2年ぶりにお会いすることができました。自他共に認める「日本一気さくな杜氏」ぶりは健在でした。
到着が昼になったので、今回は先に「初呑切り酒」をいただきながらのランチタイムです。長瀬杜氏、平林副杜氏、黒岩さんも参加していただき、賑やかな懇親会となりました。
蔵に到着後まずは蔵見学です。すでに何度も蔵訪問されているベテラン参加者ばかりですが、2つの新設備が導入されていたのでそれら中心の見学会となりました。
一つ目は今まで常温だった貯蔵庫に水冷式のクーラーが2台設置されました。井戸水を通すことで夏場でも18℃の風が出ます。これにより年間を通して温度変化の少ない貯蔵環境になります。しかもエアコンの1/10の光熱費だそうで、エコでもありますね。
2つ目はなんと2千万円をかけた上槽・濾過機です。これは今期の造りが終わってから導入したもので、実際には来期からの稼働となります。やぶた(自動圧搾機)で搾った新酒がほとんど酸素に触れることなく、よりフレッシュな状態でタンクに貯蔵されます。理屈では微発泡を残したまま火入れが出来るのだとか。上の2枚の写真の両方を繋げた酒蔵はまだほぼ無いそうです。来期の酒がどう変わるか乞うご期待です!
薄井社長も加わっていただき選定会が始まりました。
今期の初呑切り酒ですが、より透明感がありキレが良く素直な酒質に進化していました。初めましての酒は、①「広島酵母」を使用した香り華やか味わい甘やかな流行りの純米吟醸酒。②長野県で生まれたリンゴ酸多産性酵母「長野R酵母」を使用した、白ワインと日本酒の中間のような豊かなリンゴ酸が口中に広がる純米酒です。どちらも今までの大雪渓には無いタイプの酒ですが、参加者から「若い人やビギナーにはうける」「日本酒消費者層の裾野を広げる」と好評でした。
伝統を踏まえながら新しいものを取り入れていく大雪渓酒造の進化が止まりません。(O.K.)