ご存じの通り、ビールは麦芽の糖化酵素を利用して糖化し、発酵させて造るアルコール飲料です。麦芽のビールは洋食には抜群に合うのですが、淡白な味の和食には少し強すぎる気がしていました。そんな時に出会ったのがこの麹で糖化したビール(酒税法では発泡酒)です。日本の文化である麹を使って造った醤油や味噌といった調味料はもとより、旨味の元となる出汁、さらには淡白で素材そのものを味わうことが多い和食にぴったりのビールだと思いました。
製造元のオリゼーブルーイングさんは和歌山市内の街角にあり、小さなビルの2階で麹作り、1階で醸造をしています。ご夫婦2人だけの正真正銘マイクロブルワリーです。代表兼ブルワーの木下伸之さんは湯浅の醤油屋、熊本の味噌・甘酒のメーカー、そして福岡の酒蔵で経験を積みました。
木下さんは国家資格の味噌製造技能士1級を取得されています。2013年に「日本の文化である麹を生かした新たなモノづくりをしたい」との夢を実現すべく和歌山に帰郷しました。米麹の発酵スポーツ飲料を開発するなどの試行錯誤の末、2019年にこの事業にたどり着きました。
左が「ジャパニーズホワイトNo.9」です。
米麹で糖化し、日本酒用9号酵母を使用し1か月間低温で発酵させて造ります。日本酒のような輪郭と穏やかな香りと米の旨味を感じられる味に仕上げています。刺身などの淡白な味わいをより引き立てます。
真ん中が「オリゼーIPA」です。
米麹で糖化し、3種類のホップ(ギャラクシー、アマリロ、センテニアル)を使用したビールらしい喉越しに、米麹由来のすっきりした後味を目指しました。パイナップルや洋梨のような香りがファストフードに合います。
右が「オリゼーペールエール」です。
麦麹で糖化し、シトラホップ、モザイクホップを使用したフルーティな香りに、麦麹によるしっかりした麦の味わいがあるビール。エール本来の香りを出しながらも、麹由来の複雑な旨味を感じられる味わいを目指しています。肉料理など、比較的味わいの濃いものがおすすめです。
皆様も世界初でオンリーワンの麦芽不使用・麹ビールをぜひご賞味ください。(O.K.)