小泉(竹中)内閣のときの構造改革路線により不評を買った規制緩和だが、彼ら(小泉・竹中)がやった構造改革は、本当の構造改革、規制緩和とは程遠いものがある。自民党橋本内閣のときにも省庁再編が行われたが、結局、省庁の数は減っても本質は変わっていなかった。サッチャー元英国首相は、橋本内閣が省庁再編をしたその時に、「それはすごい、では公務員の数はどれだけ減ったのですか?」と質問したという。規制緩和とは、その名の通り経済の足を引っ張る規制を撤廃したり緩めたりすることである。日本では根本的に逆のことが行われており、法律の数は増え続け、六法全書はもはや分厚い2冊にもなり、法律が増え続けることで、特殊法人の数もまた増え続け、無駄な税金と規制に対応するための労力が費やされることになるのだ。無駄な法律は削っていくほうがいい、規制緩和とは法律のリストラから始まる。この根本を知らなければ規制緩和にはならないのだ。
財政再建を重視する声は根強くある、しかし本当のところ、これから通貨制度を作ろうとする国を想像してみれば財政赤字の意味がきちんと理解できる。政府がはじめて通貨を流通させようとするとき、まず最初にすべきことは国民から”何かを買う”ことだ。それは労働でもいい、例えば政府は国民に「道路を作る仕事」を依頼する。政府はその対価として「新しい貨幣」を国民に渡して対価を払う。つまり、「国民に通貨を流通させる方法は、まず財政赤字から始まる」のである。国民に通貨が十分に流通されて初めて、徴税、つまり税を集めることが可能になるのである。これを専門用語でスペンディング・ファーストという。まず、経済が大きくなる過程においては、財政赤字が増えるのが自然なのだ。要は、財政赤字が増えても経済が拡大しない状態、これが一番の問題なのである。財政再建を一番重要とみなすことは、本質から外れているということを知らなければならない。
ペルシャ湾問題では、日本国内メディアの無知・非常識が露呈している。アメリカが呼びかけを行っている有志連合への参加は、日本独自に国益を考える必要がある。しかし、そもそも自国のタンカーの防衛を他国に任せるという発想が国際的にいかに非常識なことなのか、その認識がまったく欠けているのだから恐れ入る。大体、左派メディアは原発に根本的反対の立場だ、ならばシーレーンにおける自国タンカーの安全運行がどれほど重要かということは、子供にも理解できることだろう。日本を太陽光発電中心国家にして、万年電力不足に悩む原始時代に帰したいのならば、自らがロウソクの明かりで記事を書き、人力で輪転機を回し、自分の足で瓦版のように新聞を配ってみればいい。きっと、電力のありがたさが身にしみることだろう
ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授が来日した。有名なMMT(現代貨幣理論)の提唱者であり、バーニー・サンダース大統領候補の経済アドバイザーも務めた人物だ。MMT自体は別に真新しいものでもなく、単なる貨幣理論であり、ケインズ経済学の亜流でもなんでもない。しかし、官僚や経済学者たちの拒否反応を見ると、常識をくつがえし、真っさらな目で見ることがいかに難しいかを痛感させられる。MMTを学ぶと税に関する考え方の変革を迫られる。しかし、優れた政治指導者には、経済学を学んだことはなくともMMTの本質を理解していると思われる人たちもいる。トランプ大統領やプーチン大統領らがその人たちだ。頭の固い人たちには”今なぜ減税の必要があるのか?”その理由を説明できないし理解もできないだろうが、日本がこのまま貧困化し、経財小国になりたくなければ、解決策は急務だ。このまま安倍増税が実現してしまえば、日本は間違いなく坂を転げ落ちることになるだろう。
アメリカがペルシャ湾を通行するタンカーを警護する有志連合を呼びかけ始めている。日本にとって、これは本当に悩ましい問題になりつつあるが、もともと起こり得べき問題だった。しかし、いまだ大きな問題として取り上げられてはいない、選挙が近いためだ(7月19日現在)。結論から言おう、日本は海上自衛隊の派遣をせざるを得ないだろう。そして、元々自国の船舶の警護は、船舶所有者の責任においてなされるべきである。日本の自衛隊派遣の議論は非常識すぎる。日本の船舶を他国が守るなど世界標準ではありえない。そもそも、石油エネルギー依存率ほぼ90%の我が日本、航行の安全を守るためのシーレーンの確保の議論やエネルギーの多角化議論をしてこなかった。政治家にも責任はあるが、そうした日本の安全保障を議論すらさせなかったマスコミにも大いに責任はあるだろう。