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連邦主要行政機関の機能不全手前のトランプ政権

2019-02-23 17:07:05 | 国家の内部統制

 Last Updated:Feburary 23, 2019

 2月18日付の朝日新聞(ワシントン特派員)は、昨年12月米国の次期国連大使としてトランプ大統領から指名(筆者注1)されていたヘザー・ナウアート(Heather Nauert)国務省首席報道官が就任を辞退したという記事が大きく掲載された。

 この記事の取材元は、米国メデイアに基づくものと思われるが筆者が毎日国務省のプレスリリースを読んでいたことと大いに関係する重大な政権問題である。すなわち、ナウアート報道官のプレス・ブリーフィングン内容、話し方等もとメディア出身だけあって国務省の個々の外交問題につきタイムリーに姿勢が明確に理解できたのである。

 簡単に負うと彼女は、国務省の長官以上に国務省の「顔」であった気がする。また重任を負いつつ10歳と8歳の2人の男の子(筆者注2)を育てたキャリアウーマンの典型と感じたのは筆者だけであるまい。

 しかし、国連大使なると話は別である。前任のニッキー・ヘイリー氏(Nikki Haley)(筆者注3)がサウスカロライナ州知事、下院議員から国連大使になったことと比較して修羅場である国際舞台の場で十二分な活動ができるのか、疑問を持ったのは米国のメディアだけではあるまい。

 彼女の国連大使の就任辞退の本当の理由は筆者もよくわからない。筆者が重要視するのは国連大使の重責を負うべき人物の任命が共和党が多数を占める上院の中でも順調に承認されないとなること自体が大問題と考える。

 また、今回あまり大きく取り上げられていないが、2月14日第85代司法長官としてウイリアム・P・バー(William Pelham Barr (1950年5月23日生まれ)氏の上院での承認、宣誓による就任も重要な問題である。バー長官は1991年から1993年までジョージ・H・W大統領のもとで第77回米国司法長官を務めていたため、今回は2度目の司法長官への就任となる。バー氏はまた、1990年から1991年までは法務副長官、1989年から1990年までは法務顧問弁護士補佐官も務めた。金融機関、公民権、独占禁止法の合併ガイドラインなど、さまざまな分野で新しい執行ポリシーを確立する責任を負っていた。

 筆者がここで問題視するのは、このようなトランプ政権幹部の人事の停滞や連邦機関の一時閉鎖問題ではない。開かれた米国連邦行政府の在り方である。

 このようなトランプ政権の混乱の中で大統領は2月22日にまたして国連大使の第二番目の候補をツイートした。現カナダ大使であるケリー・ナイト・クラフト(Kelly Knight Craft)である。彼女の3回目の配偶者の夫(Joseph W. Craft III)は、米国東部で2番目に大きい石炭生産企業である”Alliance Resource Partners、L.P”の億万長者(筆者注5)の炭鉱経営者である。

 彼女は夫も含め米国議会上院の長老等の友人も多く、また国務省のサイトで見ると、地域社会奉仕と教育の向上をキャリアの礎としてきたリーダー、起業家、そして慈善家と書かれている。カナダ大使時代、彼女はアメリカ - メキシコ - カナダ間の貿易協定、北米自由貿易協定の改訂を促進することにおいて役割を果たしたとある。

 また、米国メディアによると彼女は内閣としてのポストを要求していないとも記されている。

 いずれにしても国連という場でいかほどの手腕を機能させるのかを注視したい。

1.国務省のプレス・ブリーフィングの開催状況とその中身

(1) プレス・ブリーフィングの開催状況

 以下の述べるとおり、昨年11月以降国務省のプレス・ブリーフィングはほとんど行われていない。ナウアート時代は週2回ベースで行われていたし、丁寧に精査・推敲された原稿の内容、直近の重要テーマの取り上げ方、そこでの記者とのやりとりはトランプ大統領のツイートよりよほどよくできていた。

 この点は、以下のナウアート氏のブリーフィング例をよく吟味されたい。

20187月3日のブリーフィングを見ておく。

(2) 国務省のプレスブリーフィング回数の大幅減と首席報道官は今、誰?

 昨年9月以降の開催回数は大きく減り、副報道官( Robert Palladino:Deputy Spokesperson)が時たま代行するのみである。

また、国務省のサイトで見ても首席報道官はナウアート氏のままである。もしかすると、彼女は再度、首席報道官の任務に戻ってくるのかもしれない。

〇大幅に減った国務省のブリーフィング回数

2018年8月の実績

2018年12月の実績

 2.わが国の内閣官房長官の記者会見との比較

 わが国で米国務省のプレスブリーフィングに該当するものは、内閣官房長官の記者会見であろう。政府インターネットテレビで見れるし、閣議の概要は印刷も可であるが、官房長官の冒頭発言のない場合は閲覧者は動画で長官発言を繰り返し確認するしかない。

 

 一方、米国務省のプレスブ・リーフィングは前述の2月7日付の国務省サイトにあるとおり、必ず”TRANSCRIPT”(公式記録)がある。

 この問題は公文書の重要性の認識の日米比較を行う上で基本的な問題といえよう。

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(筆者注1) 2018年12月7日のトランプ大統領のツイート

(筆者注2) Nikki Haley氏の国連大使の退任のあいさつツイート(2019年1月1日)

(筆者注3) ナウアート氏は家族の写真を積極的に出すタイプではない。母の顔として貴重な写真である。

 (筆者注4) Kelly Knight Craft氏の写真

(筆者注5) Joseph W. Craft III氏は2012年Forbesの米国の億万長者400人の1人であった。Net worthが14億ドル(約154億円)とある。

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