Civilian Watchdog in Japan-IT security and privacy law-

情報セキュリティ、消費者保護、電子政府の課題等社会施策を国際的視野に基づき提言。米国等海外在住日本人に好評。

ホワイトハウスの無人航空システム使用時のプライバシー権等に関する覚書と法制整備等の最新動向(その1)

2015-03-22 16:58:30 | 個人情報保護法制

 

Last Updated :April 29,2015

Illustration by NH/Shutterstock
(2015.3.9 MITは手紙のdrone配達を希望(MIT wishes it could deliver acceptance letters via drone)という動画サイトからの写真を引用)

 わが国では、最近、「日本政府は国家戦略特区の第二弾として、地方創生特区を2015年春をメドに指定する方針を公表した。地方創生特区では、無人飛行機(UAS:Unmanned Aircraft Systems (筆者注1) (いわゆるDrone(ドローン)による宅配サービスやネット利用の遠隔医療・遠隔教育など中山間・離島地域の活性化につながる先進技術の実証実験を目指す。有識者会議(筆者注2)では、無人飛行機の試験運用が始まっているアメリカ等の海外の先進事例の研究などの検討を進めており、政府は2月中にも実施計画を策定したい」とのニュースが出ている。 (筆者注3)
 また、日本ではまだ無人機に関する法律は整備されておらず、日本政府の「日本経済再生本部」は2月10日に公開した「ロボット新戦略 Japan’s Robot Strategy―ビジョン・戦略・アクションプラン―」 において、「小型無人機に関して運用実態を把握し、関係法令等の整備を検討する」としている。

 このようなわが国政府の動きの背景には、米国国内で業務用の無人航空機(UAS)がニュービジネスとして離陸しようとしている点があげられる。すなわちオンライン・コマース最大手のAmazonやネット大手Googleを筆頭に、業務用のドローンを使った自動配送システムの開発競争が活発化する中、米連邦運輸省・航空局(FAAは2月15日、商業利用のための小型UAS規則案(Operation and Certification of Small Unmanned Aircraft Systems:Notice of proposed rulemaking (NPRM)を発表する等(筆者注4)わが国の関係業界や規制・監督機関としても無視しえない重要な点があげられる。



(英国メデイア:The Telegraph2014.8.29付け記事のGoogleテスト飛行写真)

 他方、昨年10月以来フランスでは原子力発電所の周辺でドローンが飛来する事件、また韓国では2014年3月以降、北朝鮮からの飛来したと見られるドローンが非武装地帯等に落下するなど、国家の基幹施設等のセキュリティ問題も急浮上している。

 本ブログでは、第一部として米国UAS問題の取り組みを整理する意味で主要な学術的研究、連邦議会の関係委員会での論議、議会の勧告機関である連邦議会行政監査局(GAO)報告、人権擁護NPOの州立法の詳しい解析等の検討内容等をまとめた。関連する動向すべては網羅していないが、本文を読むと米国のこれまでの法整備にいたる経緯が正しく理解できるととともに、他方わが国の関係法整備も含めた研究の遅れが大いに気になろう。

 第二部として米国政府やローファーム”Hogan Lovells”の2月18日ブログ等に基づき、(1)2月15日、ホワイトハウスが無人航空システムの国内使用におけるプライバシー、市民権および市民的自由権保護に関する大統領覚書を公表したことからその具体的内容、(2)各州にけるプライバシー保護等の観点からの立法対応、(3)FAAの小型UAS規則案、(4)商務省・電気通信情報局(NTIA)の「UAS規制にかかるプライバシー、透明性および説明責任に関する意見公募(Privacy, Transparency, and Accountability Regarding Commercial and Private Use of Unmanned Aircraft Systems)および(4)フランス等のUASのビジネス面および北朝鮮からの飛来等社会的なリスク問題を概観する。

 第三部として最後に1月5日に国土安全保障省(DHS)の内部監査機関であるOIG(監察総監部)が行ったDHSへの批判的内容の報告書を概観し、併せて連邦議会の反応を見る。その意義は、これからわが国において官民共通して利用の拡大が見込まれるUAS分野において果たして国民の血税が無駄なく執行されているか、会計検査院等わが国のWatchdogの真のミッションのチェックの参考例と考えたことが背景にある。  

 なお、3月24日にGAOは「無人航空システム:FAAが実施している米国内における試験サイトにおける飛行試験結果およびカナダ、オーストラリア、フランス、英国の商業用UASの規則制定動向」を発表した。その内容もさることながら、筆者はそこで引用されているカナダ、オーストラリア、フランス等の関係機関のサイト等に当たってみた。具体的な規制内容の図解解説やガイダンス(カナダオーストラリア:ガイダンス、 ;フランス;EASA)は極めて分かりやすく、わが国の検討において参考になる点が多い。別途本ブログで詳しく取り上げる予定である。

 今回は、3回に分けて掲載する。

Ⅰ.これまでの米国のUASの基本的取組み
1.連邦議会の下院、上院関係委員会における公聴会の状況
 時間の関係ですべて網羅できないが、筆者が調べた範囲で引用する。これを読むだけでもUASに対する議会の多方面にわたる関心が高いことが窺えよう。なお、米国の無人航空機の官民、アカデミック等の取り組みの概要の解説はFAAの解説サイトを参照されたい。
 また、2012年までであるが、米国の無人航空機の規制にかかる法律、規則、ポリシー、法案等を概観できる資料「ミシシッピー大学ロースクール:The National Center for Remote Sensing, Air, and Space Law:Unmanned Aircraft Systems in U.S. National Airspace:Selected Document」も併せ参照されたい。

(1)2010年9月13日の上院「商務・科学・運輸委員会(Committee on Commerce,Science,and Transportation)」「航空事業の安全性小委員会(Subcommittee on Aviation Operation, Safety, and Security)」における専門分野別公聴会:(FIELD HEARING:委員長:ジョン D.ロックフェラー(John D. Rockefeller Ⅳ:ウェストヴァーニア州・民主党))

Senator John D. Rockefeller IV氏

①証人は次のとおり。(なお、4名の各証人の証言内容は同委員会サイトでダウンロードにより確認できる)

・Representative Earl Pomeroy , Congressman from North Dakota(2011年4月14日、管制官の居眠り問題の責任を取って辞任
Hank Krakowski , CFO, Air Traffic Organization; Accompanied by John Allen,Director, Flight Standards Service, Office of Aviation Safety, Federal Aviation Administration   
David Ahern , Director, Portfolio Systems Acquisition, Office of the Under Secretary of Defense (Acquisition, Technology and logistics
・Major General(少将) Marke Gibson , Director of Operations, Deputy Chief of Staff for Operations, Plans and Requirements, Headquarters U.S. Air Force
・Brigadier General L. Scott Rice , Co-Chairman, USAF/ANG National Airspace and Range Executive Council, National Guard Bureau

②目的:小委員会での委員長の冒頭主旨発言(原文が口語的英文なため一部意訳した)
 本公聴会は特に無人航空機(Unmanned Aerial Vehicles:UAVs)の訓練および運用問題を扱う。ノースダコタのグランド・フォークス空軍基地の領域が主要なUAVセンターになる予定である。我々は、無人偵察機プレデター(Predators)



およびグローバル・ホークス(Grobal Hawks)



(筆者注5)の一団を配置させる予定である。 我々はUAVsを飛行させることが米国の国土安全保障つながると考える。また、 ノースダコタ大学の航空宇宙科学センターを関係法およびUAV研究・調査のための研究センターとして国防総省の記述に基づき指定した。私は、一部委員会メンバーとともに空軍基地やノースダコタ大学を訪れ、実際にいかなる天候下でも無人航空機を安全に操縦、運用できていることを確認した。そこでは、真に無人航空機が有人機の隣り合せ領空で決まりきって操作するのを許容するのに必要な規則と手順を完成・開発することが優先的課題である。
 私が、この公聴会を必要と判断した理由の1つが、どこがこの問題のワーキンググループとして適格かにつき、われわれで理解しようとすることであり、また我々が欲するところから始めるために時間的なリミットまたは時代の敏感な需要を満たしうるかである。 そして、もしそうでないとしたら我々はどのようにそれらの必要条件を満たし始めるべきかである。
 FAAは特定の責任を有し、また空軍には別の責任がある。同時に我々がUAVsに関する訓練・運用能力についての統合化策を提供することで、米国の航空領空の安全性をいかに保証することである。
 これらが、2009年2月以来、何が起こっているかを理解しようとすることが本公聴会の目的である。我々が進みつつある中で、空軍とFAAがUAVsの能力と訓練について合意に達すること、またプレデターとグローバル・ホークスの一団をいつ確保できるかなどについて予想することにある。

(2)2014月1月15日の上院・商務・科学・運輸委員会での公聴会「Future of Unmanned Aviation in the U.S. Economy: Safety and Privacy Considerations」 
 内容は略す。連邦議会の動画サイトC-SPANで証言内容、記録を確認されたい。

(3)2014年1月15日の上院・商務・科学・運輸委員会の動画サイトC-SPAN「Unmanned Aerial Drones in The U.S 」上院・情報委員会委員長フェインスタイン氏証言
 内容は略す。なお、連邦議会の動画サイトC-SPANで証言内容、公式記録を確認されたい。

C-SPANから抜粋

(4)2014年12月10日、 連邦議会下院・航空小委員会公聴会: “U.S. Unmanned Aircraft Systems: Integration, Oversight, and Competitiveness”の動画
 内容は略す。標記連邦議会の動画サイトC-SPANで証言内容、公式記録を確認されたい。

2. 「2012年連邦航空局の近代化・改革法(FMRA:FAA Modernization and Reform Act of 2012)」の成立とFAAの新たな取組課題
 この問題に関し、米国ジョージ・メイソン大学のMercatus Center の解説によると、FMRAに基づき連邦議会は2015年9月までに時宜にあわせ無人航空機と呼ばれる無人機システム(UASs)を全米航空システムと統合するため連邦航空局(FAA)にその任務を課した。 その成果の一部として、議会は統合試験計画として機能するように6つの試験範囲を確立するようFAAに指示した。 2013年2月22日に、FAAはサイトと要求の選択のための「実験場プログラムの中で無人機システムの操作に関して国民と議会によって起こされたプライバシーへの懸念を記述するための提案されたアプローチ」のパブリック・コメントに関する過程を発表しつつ、連邦官報で通知を発した」とある。

3.2008年5月15日、2012年1月3日のGAO連邦議会行政監査局(GAO)報告および9月18日のGAO報告の概要

(1)2008年5月15日のGAO報告・勧告(全73頁)
 ハイライト部分を仮訳する。なお、本文を読まれて気がつくと思うがこの報告がなされたのは7年前である。わが国が今取り組むべき課題の多くが明確な解説とともに取りあげられている。

「UASsは、現在、国境警備、科学的研究とその他目的のために連邦機関によって使われている。地方自治体では法執行または消防活動等において潜在的用途を見ることができ、また民間部門では潜在的用途(例えば不動産の写真撮影)を見ることができる。関係業界の調査では、UASの生産高はそのような政府や民間部門の用途に対処するために将来的に増加すると見込んでいる。専門家は、UASsがより少ない雑音とより少ない環境への影響という観点から、ある程度有人航空機の飛行の代替的機能を果たすことができると予測する。
 UASsは、技術面、法規制面、作業負担等について国家空域システムにおいて通常の機能する能力に影響を及ぼすという調整難問を引き起こす。 UASsは、航空の安全条件(他の航空機を見て、避けることのようなこと)を満たすことができない。 UASsは、UASsが増加する潜在的挑戦が日常的な空域アクセスを得た後に予想できるセキュリティ保護の欠如をもたらす。 UASsに関するFAA規則の欠如は、FAAによるUASsの活動を個別的な承認によるという制限を課す。 UASsを運営する要請の予想された増加は、FAAのために作業負担難問を起こすことができよう。これらの挑戦について述べる複数の努力を調整することが、さらなる再挑戦である。
 FAAと国防総省(DOD)は、技術的挑戦について述べている。また DHSは、日常的なUASのアクセス問題につき空域の国家の安全保障問題に取り組んでいない。 FAAは、UAS安全な規制規則を完成することは10年以上かかると見込んでいるが、まだなお、その日常的なUASのアクセスを提供するために要求されるステップを伝えるプログラム計画や時間枠は発行されていない。 FAAは小さなUASsが空域アクセスをするのを許すことに取り組んでいて、特定の空域をUASテストに指定した。 それは、規則を作成するためにこのテストから始まり、またDODからのデータを使う予定であるが、すでに集めたデータはまだ分析していない。 その作業負担挑戦について述べるために、FAAはより多くのオートメーションを使っている。 航空投資家と専門家は、全てにかかわる事業者が連邦、アカデミックや民間部門の努力を調整して、促進するのを助けることができるように提案した。 2003年、連邦議会は、複数の連邦機関と民間部門の間で次世代航空運輸システムのために計画を調整するために、FAAと類似の事業体を創設した。」

(2)2012年1月3日のGAO報告 「U.S. Unmanned Aerial Systems:Jeremiah Ger1tler,Specialist in Military Aviation January 3, 2012」(全55頁)
 内容は逐一解説せずに項目のみあげる。しかし、読んで分かるとおり、米国の世界戦略上、UASの軍事的重要性は明らかである、かつ軍事面から取り上げるべき課題の広さが理解できよう。なお、GAOは同報告の中でDHSのTSA(運輸保安局)に対し、非軍事用UASの安全面の意味合いにつき精査するよう勧告した。

①Background,②Why Does the Military Want UAS? ,③What Missions Do UAS Currently Perform?,④Intelligence, Surveillance and Reconnaissance,⑤Strike ,⑥What Other Missions Might UAS Undertake in the Future?,⑦Resupply,⑧Combat Search and Rescue Refueling,⑨Air Combat,⑩Why Are There So Many Different UAS?,⑪Does the Department of Defense Have an Integrated UAS Development Policy?,⑫UAS Management Issues ,⑬Cost Management Issues,⑭Organizational Management Issues,⑮UAS and Investment Prioritie,⑯Interoperability,⑰Reliability/Safety,⑱Force Multiplication/Autonomy,⑲Engine Systems,⑳Duplication(複製) of Capability ,㉑Other Potential Missions,㉒The Issue of Airspace,㉓Recruitment and Retention,㉔Industrial Base Considerations,㉕Congressional Considerations,㉖Funding,㉗Trade-Offs,㉘Measures of Effectiveness,㉙Pace of Effort、㉚Management ,㉛Operators,㉜R&D Priorities,㉝Development Facilities,㉞Other Issues,㉟In Summation, ㊱Current Major DOD UAS Programs :
MQ-1 Predator;MQ-1C Grey Eagle MQ-9 Reaper ;RQ-4 Global Hawk;BAMSMQ-8B Fire Scout FIRE-X/MQ-8C RQ-170 Sentinel 、㊳Other Current UAS Programs

(3)2012年9月18日のGAOのUASに関する連邦議会の検討と連邦関係機関への勧告の概要
①GAO報告「UASの手段的進捗と潜在的プライバシー侵害に向けた検討は全米航空システムへの統合を容易にする」リリース概要
 このGAO報告は、2015年12月を規則制定の期限とする従来の航空域安全性や技術的課題という観点からプライバシー問題に一歩進めた検討を行っている。
 その該当要旨部のみ仮訳する。
「UASの国家安全保障、プライバシーおよびGPS信号への障害等への懸念は解決されておらず全米における通常の領域航空システムへのアクセスに影響するかもしれない。TSAには非軍事も含め、輸送のすべての手段につき安全面の規制を実施する権限を持つ。FAAおよび他の連邦機関は、ともにロナルド・レーガン・ナショナル空港への出入りにかかる限定的飛行制限等セキュリティ手順を実行すべきである。
 利害関係者のプライバシー問題は、UAS技術を用いた政府による監視、すなわそれらの個人情報の収集や使用における理由なき捜査や差押え等の合衆国憲法修正第4違反問題の可能性も引き起こす。
 現在、すべての連邦機関においてUASの利用に関し、連邦機関全体にわたるプライバシー問題を法規制する機関はない。利害関係者の中にはUASの政府による監視や法執行目的での使用のいうことから見て、DHSや司法省が扱うべきという見解も見られた。」

GAO報告全文(全49頁) 内容は略す。 

4.米国EPICのUASレポートの概要と州立法の全体像
(1)米国の人権擁護団体EPIC(Electronic Privacy Information Center)は2014年10月にDroneにおける官民の関係機関におけるプライバシー侵害問題をとりあげ「Spotlight on Surveillance - October 2014:DRONES: Eyes in the Sky」を公表した。NPOとしての本格的なものであり、主たる項目のみ引用する。
I. Introduction
II. Drone Surveillance Technology
III. Government Use of Drones
IV. Private Drone Use
V. Federal Regulation of Drones
VI. State Regulation of Drones
VII. EPIC’s Work

(2)主な州におけるUAS飛行にかかるプライバシー規制法の立法動向
カリフォルニア州
アイダホ州
インデイアナ州 
ルイジアナ州
ノースカロライナ州

 なお、上記も含め連邦や州の最新立法については全米州議会議員連盟(National Conference of State Legislatures:NCSL)のレポート、前記EPICのサイトや全米刑事被告弁護士会(NACDL)の”NACDL’s Domestic Drone Information Center”の連邦および州の法案一覧検索サイトを参照されたい。

NCSLレポートから抜粋

  州におけるドローン規制問題の論議で最近時、興味深いテキサス州弁護士会のブログ記事を読んだ。米国の女性弁護士で連邦政府の立案政策提言実績等で有名なリサ・エルマン(Lisa Ellman) (筆者注6)がテキサス州オーステインで3月13日~22日の間に開催された娯楽対話イベント「SXSW Interactive 2015」においてプレゼントした内容に関する記事である。

 細かな点は省略するが、ビジネスにおける商業用ドローンの利用可能範囲は極めて広いと述べる一方で(日本では農薬の空中散布の85%はドローンが行っていると引用)、プライバシー保護の面からは米国民の慎重な姿勢を有しており、立法政策にあたりそのバランスを十分配慮すべきといった論調である。その中で面白いと感じた指摘は次のとおりである。なお、エルマンのプレゼンテーションは動画サイトでも閲覧可能であり、米国で活躍する女性の例を直接見るのも面白かろう。

・立法論として未来を考えると土地の保有者は鉱山権や石油や天然ガス等に地下にある利益も保護されるべきであると主張するように、その位置の上空についても権利を主張するかもしれない。しかし、その権利は地上から約350フィート(約107メートル)以下とすべきであり、連邦が管理する500フィート(約152メートル)以上と統合管理されるべきと考える。

その他、ドローンの騒音問題も静か過ぎるとスパイ活動に有利になるといった問題も指摘できよう。

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(筆者1)UAS””UAV””RPAS”および”drone”等の用語が必ずしも厳密な定義がなく使われている。一定の範囲で解説したものとしては、JAXA(宇宙航空研究開発機構)航空本部:航空マガジン 2014年夏号FLIGHT PASS No.6 「無人飛行機特集」文中の説明が分かりやすいが法的な意味での定義とは考えにくい。

(筆者注2) 「近未来技術実証特区検討会」においてドローンの実用化に向けた検討が始まると議事録に記されている。しかし、第1回会合の議事録を読んでこれからの具体的的検討の進め方についてイメージが湧く読者はいかほどいようか。

(筆者注3) 経済産業省の無人航空機の取組みの概要は,例えば「平成2014年9月17日経済産業省・製造産業局・航空機武器宇宙産業課課長補佐 府川秀樹「我が国無人航空機産業への期待」があげられる。ただし、プライバシー問題や法整備等への言及はまったくない。
 また、産業界の取組みとしては、日本産業用無人航空機協会の2014年9月17日の第4回産業用無人航空機の現状と利用に関する研究会の講演会資料等が参考となろう。同資料もプライバシー問題への言及はまったくない。

(筆者注4) 2015年3月19日、連邦航空局(FAA)はAmazon Logistics,Inc.に対し、同社が計画する無人航空機の研究、開発および操縦者の訓練目的での使用につき、試験的耐空証明(Experimental airworthiness certificate)を発行した旨発表した。次の掲げる条件下でのみ認めることから、以下で、その内容を仮訳する。

  なお、本件に関するメディア記事 等も参照されたいが、そこで読み取れる課題はいうまでもないが、(1)ここで規制対象となるUASは明らかに航空機の一種であり、趣味的なおもちゃの延長線上でないこと(operatorとはいわずpilotと言う用語を使用)、(2)米国といった広大な国土を有する国の規制ルールがそのまま狭い国土の日本では適用できない、(3)プライバシー侵害問題等関係規制機関の調整がまったくできていない点などがあげられよう。 

*(1)すべての航空操縦は、400フィート(約122m)以下または昼間の視覚気象条件の下で行うこと。 

(2)UASは常にパイロットと監視者の見通し通信飛行(VLOS: Visual Line of Sigh)で行うこと。 

(3)実際のUASを操縦するパイロットは、自家用操縦士技能証明(private pilot’s certificate)またはFAAが定める現時点の健康証明を持つこと。 

(4)アマゾンは毎月次の内容の報告をFAAに行う。①実施した飛行数、②1飛行あたりのパイロットの勤務時間、③異常なハードウェアやソフトの不具合数、④管制官からの指示の逸脱事例、⑤意図せざる通信状態の途絶

(筆者注5) グローバル・ホーク:主翼幅約40メートル、全長約14.5メートルの大型無人偵察機。米国防産業大手ノースロップ・グラマン製。赤外線センサーで夜間や悪天候下でも目標を捕捉できる。無人偵察機プレデターと異なり攻撃能力はない。米軍はアフガニスタン攻撃やイラク戦争で使用。2010年9月に米領グアムの空軍基地に配備した。気象観測や災害状況の把握でも活用され、東京電力福島第1原発事故後、原子炉建屋の損傷状況を調べるために使われた。

(筆者注6) リサ・エルマン(Lisa Ellman)がパートナーである大手法律事務所「McKenna Long & Aldridge LLPは、UASについて本格的な解説を行っている。

Lisa Ellman 氏
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