次に、この理解は彼らに起こっていたことを防ぎ、起きていることの重大性を軽減するために処置をとらせなければならなかった。
さらに、OIGはUSSSの上級管理者が自分自身が情報アクセスを止めるか、または、USSS従業員による委員長の記録への不正アクセスにつきUSSSの局長であるクランシーに知らせる機会を逃したという2つの特別な事例を見つけた。これらが、3月24日の最初の無許可のMCIアクセスの直後に起きた。
③USSSの諜報・情報戦略部(Office of Strategic Intelligence and Information :SII)の副次長補シンシア・ウォフォード(Deputy Assistant Director Cynthia Wofford) (筆者注6)は、3月24日に関する局長との聴問の間、委員長の申込の噂に関して聴取に呼び出された。
24日に噂の確認のためにインターネットによるアクセス検索に失敗した後に、ウォフォードは3月25日の朝に再度MCIにアクセスして、委員長の記録を見つけた。
ウォフォードは、SIIを監督する彼女の立場において、「彼女が気がついた一部情報、例えばUSSSに関する厄介で局長や副局長に連絡すうべきマスコミ報道の作成 等について責任がある」と述べた。
ウォフォードは、彼女が3月25日頃に自分で委員長記録についてクレイグ・マガー副局長に説明しようとしたと宣誓供述で、OIGに述べた。彼女の供述書によると、副局長はその際、追い払うよう動作を行ない「はい、はい我々が知っているよ」と述べたと記している。
④USSS副局長クレイグ:・マガー( Craig Magaw )の説明
「私(ウォフォード)は彼がそれ以上それについて話したくなかった、そして、彼が(原文のまま)噂問題から離れたいと考えていると受け取った。 」
⑤マガーは、その時にこの情報につき局長と協議しなかった。 マガーは、そのときの彼の立ち場について、彼がIOGの調査官にウォフォードとの意見交換の内容は思い出せさないと述べた。また、3月25日の日中に、ダラス・フィールド事務所特別捜査官(その人物は委員長記録(そして、そうすることが無権限であった)にアクセスした第三者である)は、委員長の申込記録がMCIの中に存在することを電話を通じて、主席補佐官マイケル・ビーアマン(Chief of Staff Michael Biermann )に知らせた。
局長や副局長の事実上のゲートキーパーとして任じられており、この情報をどちらのものにも伝えないほうを選んだビーアマンは、「3月25日以前に委員長に関する噂は聞いていたが、その噂をどこで聞いたか、またUSSS本部の上級管理者達がいる「8階」)以外から来たという噂には気づいていたと述べた。
ビーアマンは、彼は3月4日の事件(DHSとそれに関連した議会からの責任追求を含む)に絡んだ問題で多くの時間を割かされたと述べた。
マガーとビーアマンは、USSSの中を流れているインターネットのおしゃべりに気づいていたが、何が起きているかにつきその重大性を理解していなかったように見える。すなわち両名とも、委員長の申込の噂がーションの厳格に保護されたMCI記録に不適当にアクセスした多数のエージェントによって引き起こされた、活気づけられさらに確認された点を気づいていなかった。
彼らには、この無許可かつ違法な活動を止める権限があきらかにあったが、2人とも行わなかった。各人はMCIの委員長の記録へのアクセス情報の削除、制限に関する命令を出したり、損害賠償などを含むそのほかの行動を取りえたはずであった。しかし、2人ともUSS局長に本件を報告しなかった。
⑥さらに、シャフィッツ委員長の申込の事実を知って少なくとも1人の上級幹部は、そのリークを提案した。この情報が公表される2日前の3月31日に、USSSの教育・研修担当の局長補佐官であるエドワード・ローリーは、議会と広報担当の局長補佐官であるファロン・パラモア(Faron Paramore)からの電子メールに返事を出した。
パラモアの電子メールは、シャフィッツ委員長に関しシークレットサービス・エージェントを召喚するという決定を配布するというジョンソン長官によるプレス声明であった。パラモアのみに送信されたローリーの返事は、以下のとおり完全転載する。
ローリーは、OIGの面接において、USSSのいずれかに情報を公表ことを命じた点を否定し、そうすることが不適当だったと思うと述べた。彼は、ストレスと怒りを反映すると声明文書で述べた。
電子メールの受取人であるパラモアは、彼が電子メールに決して応えなかったため、何らの行動は行わなかったと述べまた。OIGには、ローリーまたはパラモアがその電子メール情報を守ったと確認できる情報はない。
クランシー局長は、OIGに対し、彼が4月1日まで委員長の申込の噂は聞かされていないと話して、4月2日の夕方に出たワシントン・ポスト記事に関連してUSSS職員による不正なMCIアクセスについて知らなかったと述べた。同日の夕方に、局長は彼のスタッフにUSSS従業員によって保護された情報の無許可の公開について述べている旨のメッセージを準備させて、その夜に同機関全体に行き渡るようメッセージを送った。
この電子メールは、遠まわしにメディアに委員長の記録の公表にリファレンスをつけて、適用されるDHS規則とUSSSポリシーに従う以外は、彼らがUSSSの従業員の間でさえ、機微情報を明らかにするのを禁じられることを従業員に思い出させる内容であった。
この電子メール・メッセージは、「これら情報のすべての流布は直ちに終わらねばならない。4月3日、局長はこの問題に関する上級マネージャーとスタッフ・ミーティングを開催した」とする警告文言で終わっていた。
⑦ 4月17日に、局長は最近の従業員不正行為事件に言及するもう一つの事案につき全職員向けメッセージを発出して、局長として規則を無視し続け、かつて支法令遵守を誓った誓いを守らない従業員を大目に見ないと述べた。それらの通信内容は、〔添付資料3〕として付けた。
(6) 本事件に適用すべき規則、制定法
① Privacy Act
一般の条件として、プライバシー法は政府がら自身の機関内でも、誰でも個人について保持する記録を-その個人が公表に同意する、または公表が許される1ダースのカテゴリーに入らない限り、明らかにすることを禁じる。
その「公表」は実際の記録そのものを意味する必要がなく、書面、口頭または電子的のいかなる手段ででもなされることができる。この禁止規定の例外規定は、機関は当該個人の同意なしで記録を配信するのを許す。発表は機関内でなされることができ、彼または彼女の仕事の遂行義務の記録の必要がある場合である。 他の例外は、情報公開法(Freedom of Information Act)にもとづく要請(特定の状況とは、健康と安全、特定の議会の通知や他の理由を含んでいる有無を言わさぬ状況のための法の執行目的がある場合)への対処する場合を含む。シークレットサービス要員の「業務遂行義務」カテゴリー以外の、これらの例外のどれも、この問題にあてはまらない。プライバシー法によって保護されている物事につき承知かつ故意の公表がそれにあたる。(5 U.S.C. 522a(i)(1))。 (筆者注7) そのような起訴は、個人が物事がプライバシー法によって保護されていたが、それにもかかわらずそれを明らかにしたということを知っていたことの証明を必要とする。
その上、連邦機関が意図的または故意の方法により行ったと分かったときは、プライバシー法違反は、「差し止めによる救済」または「金銭損害賠償」のかたちで、所属機関を民事責任にさらす( 5 U.S.C.§552a(g)(1)(D))。 (筆者注8) 立法上の歴史は、標準的には「重過失よりいくらか重い」ように見える。
② DHS及びシークレットサービス・ポリシー
USSSのポリシーは、シークレットサービス情報技術(IT)に関する一般行動原則を含む。
その規定の中で、エージェントの行動にかかる43の「行動原則」とすべてのシークレットサービスITシステムの従業員の使用に適用される「一般原則」をリストアップしている。
このポリシーは、市民への無権限の公表に対する機密扱いおよびプライバシー関連情報を保護することをUSSSの従業員に要求する。
この確認は、標準形の上で記録され、従業員の人事記録の範囲内で維持される。また、シークレット・サービスは、政府コンピュータの無権限使用とプライバシー法に違反する情報の発表を含む不正行為について述べるために、罰則一覧を持っている。
本報告の〔添付資料4〕は、これらのポリシーに適用できる規定を含む。
2012年3月の「機密個人情報を保護するための「DHSハンドブック(Handbook for Safeguarding Sensitive Personally Identifiable Information」は、すべてのUSSS従業員を含むすべてのDHS職員にあてはまる方針を含む。社会保障番号は、もしもの漏洩が個人に相当な危害を引き起こすことがありえることを明らかにした次のPIIの定義も含む。
(i) 機微PII情報はあなたの公的義務に関して必要とされるするものであるときすなわち、その情報を知る必要があるときのみ、アクセスまたは使用すべきである。
(ⅱ) 好奇心から、または、個人的理由のために機密個人情報PIIを含んでいるファイルを決して読まないこと。 (筆者注9)
(ⅲ) 情報の受取人の必要が彼または彼女の公的義務に関連があるならば、DHSの中で機密個人情報を共有すべきである。
(ⅳ) 機密個人情報PIIの公表は、記録通知の適用できるプライバシー法制度の下で、発表された日常的使用(routine use)による公表を必要とする。
(ⅴ) 従業員は、無許可のアクセスを含んでいるすべての事案または人が認可された目的以外の他のためにPIIにアクセスする無許可の公表時には、彼らの監督者に報告することが要求される。
ガイダンス・マニュアルを取り扱っている2012年1月のDHSプライバシー事件は、プライバシー侵害事件の発見または探知の後に直ちに彼らの監督者に知らせることをDHS要員に要求した。そして、それは許可された要員であるユーザーが未許可の目的のためにPIIにアクセスする場合を含む。
メディアとの接触に関するUSSSのポリシーは、その指示システム、政府と広報問題の箇所(GPA-01 11/26/2003)で述べている。
広報プログラムは「すべての公式シークレットサービス・ポリシー、問題、方針と手順のスポークスマンとして勤め、市民からシークレットサービスにいたる情報の要求への受け取りと対処を調整する。..
OIGが本レポートの本文で注記したように、シークレットサービ要員はプライバシー法だけでなく、各々のこれらのDHSとシークレットサービス・ポリシーをも犯したのである。
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(筆者注6) 現在のシンシア・ウォフォードの所属は「Law enforcement statistics center, government:Secret Service Office」である。
(筆者注7) 5 U.S.C. 522a(i)(1)の原文.
(i)
(1) Criminal Penalties.—
Any officer or employee of an agency, who by virtue of his employment or official position, has possession of, or access to, agency records which contain individually identifiable information the disclosure of which is prohibited by this section or by rules or regulations established thereunder, and who knowing that disclosure of the specific material is so prohibited, willfully discloses the material in any manner to any person or agency not entitled to receive it, shall be guilty of a misdemeanor and fined not more than $5,000.
(筆者注8) 5 U.S.C.§552a(g)(1)(D))の原文
(g)
(1)Civil Remedies.—Whenever any agency
(A) makes a determination under subsection (d)(3) of this section not to amend an individual’s record in accordance with his request, or fails to make such review in conformity with that subsection;
(B) refuses to comply with an individual request under subsection (d)(1) of this section;
(C) fails to maintain any record concerning any individual with such accuracy, relevance, timeliness, and completeness as is necessary to assure fairness in any determination relating to the qualifications, character, rights, or opportunities of, or benefits to the individual that may be made on the basis of such record, and consequently a determination is made which is adverse to the individual; or
(D) fails to comply with any other provision of this section, or any rule promulgated thereunder, in such a way as to have an adverse effect on an individual,
the individual may bring a civil action against the agency, and the district courts of the United States shall have jurisdiction in the matters under the provisions of this subsection.
(筆者注9) 今回のUSSSの従業員の取った行動は、明らかにDHSハンドブックのこの規定②に違反するものであるといえよう。
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