(予告編)
筆者は、本年3月にかけて米国、英国を中心にUAS問題を取り上げた。その際、この問題をグローバルな視点から改めて、取り上げる旨予告した。
筆者なりに整理した段階では米国(その1)の前書きの最後に述べたとおり、カナダ、オーストラリア、フランス等を中心とした規制機関等における規則内容やガイダンスの整理でまとめられると考えていた。
ところが、実はスペインの取り組みの調査の段階からカナダや北欧諸国の意外な展開が見えてきた。商用ビジネス使用規制や娯楽的なUASの規制ではとどまらない、ビッグビジネスすなわちフィンランドで見るとおり、最大500kgのUASの発射システム企業が注目され、軍事的な利用も含めUAS企業連合はより大規模なUASの実用化実験に取り組んでいる。
本ブログは正規の本文の執筆に先立って、これらの国々の概要をリンク情報とともにかいつまんで解説する。
1.カナダ:ADLANS UAS Committee (筆者注1)
(1)ADIANSの企業概要
わが国ではほとんど着目されていないカナダ・ノヴァスコシア州の中小企業グループである。同グループのHPの企業概要部分の一部を仮訳する。
「 ADIANSは、開発とプロモーションの機会の特化を通じてノヴァスコシアの活力ある航空宇宙、防衛およびセキュリティ産業の拡大を推し進めている。ADIANSは供給者、パートナーおよび共同事業者を求める政府、政府機関、より大きい航空宇宙や防衛企業をそれらに加えるべく内部事業化リンケージを手助けする。
同州の軍事費へ10億ドル(約990億円)以上の直接的な衝撃を与え、航空宇宙、防衛および関連するセクターの強い産業ベースは、毎年の収入において5億ドル(約495億円)以上の販売を実現させている。多様な側面で高い技能をもつ従業員6,000人を雇っている。
カナダ国防費支出について、ADIANSメンバー企業の年間売上高の合計金額は、ノヴァスコシア州のGDPのおよそ7%を占める。ノヴァスコシアの航空宇宙と防衛産業には、グローバルに共鳴する品質に関する良い評判がある。」
ADIANS UAS Committeeのサイトで確認できるとおり、これらグループの意図するところは、高度な技術に支えられた遠隔軍事兵器や軍事システムの構築にあるのかもしれない。
2.英国ウェールズ:West Wales UAV Centre,Parc Aberporth
(WWUAS)
安全面からの運用環境の概観
(1)地上設備とオプション設備
1,200mの舗装滑走路(tarmac runway)のほか発射台式発射装置(zero-point launch systems)や 芝滑走路や格納庫、燃料施設へのアクセスを可能とする。
(2)技術支援
WWUASは、国際的に見た安全性、耐空性および環境専門技術に基づく包括的な助言を提供する。また、必要に応じ試験環境や電気通信施設とともに安全性解析や安全性規格保証サービスを提供する。民間航空局(CAA)に対する例外申立の詳しい説明やUASの操縦上の輸送省管轄の航空規則(Air Navigation Order)適用除外についての支援を行う。
英国空軍研究所から民営化した研究開発企業QinetiQ社グループ会社である”Qinetiq Flying Organisation”を通じて、WWUASは民間および軍事飛行規則
に即してすべての顧客のために飛行監視や行動監視を行う。また、ユーザ-のニーズに即してUASの操縦者、パイロットおよび整備員を提供できるし、デモ飛行計画や飛行サービスとともに、システム・トレーニングや試験飛行方法の助言等を行う。
(3)試験設備や離着陸設備へのアクセス支援
WWUASは、環境および電磁両立性(environment, electro-magnetic compatibility:EMC) (筆者注5)、電気通信およびデータリンク試験を含む広範囲にわたる離着陸試験能力へのアクセス可能とする。また、航空業務の支援、運行システムの有効化とするため、追跡レーダーや電子光学追跡機器(electro-optical tracking instruments)等の設備を可能とする。
ブルドウ・ハイテク企業団地の構成企業であるBordeaux Technowest Technopoleは航空、宇宙、防衛分野において革新的なプロジェクトをサポートする。
この中でdrone専門企業はThales(タレス)である。(筆者注6)企業概要を訳しておく。
「タレスは、航空産業のための電子機器で市場に出ている世界的リーダー企業の1社である。 ハイテク団地Aeroparcで2,000人以上の従業員を雇用して、タレスは世界の主要な航空機メーカーのために、コックピット表示システム(ヘッドアップ式またはヘッドダウン式のディスプレイ、ヘルメット搭載の射撃照準器、航空機指標とコントロール・ステーション)と航空電子機器(Avionics suites)を設計、開発する。また、タレスはレーダーとシステム工学と建築専門知識のセンターであると認めら、また戦闘装置とシステム関連の活動を統合する事業に取り組んでいる。最近では、タレスはAeroparc団地内ですべてのドローン・システム関連の活動を行っている。」
前記英国のWWUASで述べたUAS Zero-Point Launch発射台を初期に開発したのはフィンランドのUAS企業 Robonicが開発したUAS発射台システム”Tactical UAS”とイタリアのフィンメッカニカ(Finmeccanica S.p.A.:イタリアの機械産業持株会社である世界的規模の軍事産業グループである)の子会社”SELEX Galileo”が2008年12月11日にブルガリアの空軍基地でデモを行った旨の記事がある。
(1)Robonicの企業概要と戦略
(2)米国子会社SELEX Galileoの企業概要と戦略
5.ノルウェイーのUAS Centre NOROS
6.デンマークのUAS Test Center Denmark
同センターのプロジェクトマネージャーの マイケル・ラーセン氏は次のとおり語っている。
「2011年にボーイング機のテスト飛行に始まり優れた施設、インフラなどからUAS試験飛行センターとしての基礎が作られた。また同時に、UASデンマークの空域確保だけでなく、約60社からなる革新的ビジネスネットワークを構成している。
2015年5月28日ボーイング機の予定テスト飛行案内予告(BVLOS-flight at NORDIC UAS EVENT MAY 28:Boeing will conduct a BVLOS flight with its Insitu ScanEagle in cooperation with UAS Denmark and the Danish Transport Authority.)
「このUAS飛行空域の拡張や写真測量コースを導入するための計画が急速に進んでいる。我々は、緊密の提携関係にあるデンマーク航空管制(ACC)とともに、UASの試験飛行ト運用訓練のためにオーデンスのハンス・クリスチャン・アンダーセン空港出の空域を開発した。このことから、我々は効率かつ短期の飛行承認手続を提供できる。」
7.NATO
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(筆者注1)”ADLANS UAS Committee”の真実性について注記する。同サイトの最後のCopyright文言をチェックしてほしい。普通では”Copyright ©2010-2015 ADINS UAS Committee”と記するであろうが、”2010-2013”のままである。チェック漏れでは済まされない問題であろう。
(筆者注2)
(筆者注3)
(筆者注4)
(筆者注5)電磁両立性(英: electromagnetic compatibility、EMC)とは、電気・電子機器について、それらから発する電磁妨害波がほかのどのような機器、システムに対しても影響を与えず、またほかの機器、システムからの電磁妨害を受けても自身も満足に動作する耐性である。電磁共存性、電磁的両立性、電磁環境両立性または電磁(環境)適合性とも呼ばれる。Wikipediaから一部抜粋。
(筆者注6)タレスジャパン株式会社(Thales Japan Kabushiki Kaisha(TJKK)のHPは次のとおり述べている。
「航空宇宙、防衛、セキュリティ、および交通システムの世界市場にサービスを提供している、エレクトロニクス技術およびそのシステムを専門とするフランスの国際的なリーディンググループ「タレス」の一員です」
(筆者注7)
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