物件 12

2021-11-08 11:16:59 | 日記
「おばちゃん、一瞬困った顔したよね」

枝美ちゃんも気付いていたようだ。

「やっぱり、何かあるのかな?」

二人は探索をしながら町を歩いた。

「あそこの雑貨屋の店、古そうじゃない?聞いてみようか?」

すると、店主は若い人だった。

「若い人だと、知らないかもね。」

「とりあえず聞いてみよう」

「あのぅ、そこの角を曲がってずっと行くと、布団屋さんがあると思うんですが…」

「はい」

「そこの向かいのアパートって、過去に何かありましたか?」

「何かって?」

「事件とか、孤独死とか…」

「ここの建物は古いけど、私、ここへ来てまだ新しいんです。だから、ここら辺の昔のことは、よくわからなくて…」

「そうですか…ありがとうございます」

ついでに雑貨屋さんで、買い物をして、お店を後にした。

そのあとも、あちこち古そうなお店を物色して入ってみては、厳ついおじさんで聞きにくくて諦めたり、やっぱり若い人だったりと…なかなか情報を得ることは出来ずに、うろうろしていると、もう夕方。

「お酒でも飲もう!」

ということになった。

駅前の居酒屋に入って、ビールで乾杯。