「乾杯~!」
思い付くまま計画性もなく近所を歩き回って、さぼどの収穫も得ずに、へっぽこ探偵は、仕事を終えた疲労感に浸っていた。
「やっぱり、無理かな?素人がこんな聞きまわりをしたって、ろくな情報は得られないよね。」
「駄菓子屋のおばちゃんの、一瞬戸惑った感じのリアクションは、何だったんだろうね…。」
「『あ、洗濯物取り込まなくちゃ!』とかっていうリアクションだったんじゃない?」
「え~!洗濯物!?(笑)」
少ししたら、枝美ちゃんが、トイレにたったまま、なかなか帰って来ない…。
酔い潰れた?…いやいや~、まだそんなに飲んでないはず!
心配になって、トイレに向かうと、枝美ちゃんは、見知らぬおじさんたちのテーブルに迷い混んで楽しそうに飲んでいる。
「枝美ちゃん」
「あ、ごめん、ごめん!すぐ帰ろうと思ってたんだけど…つい」
「おねえちゃんも、こっちで飲まない?」
かなりご年配のおじさまたちからのナンパだが、枝美ちゃんが盛り上がって帰って来そうもないので、とりあえず私も、そこへ加わった。
「…で、何だっけ?ここら辺で何か事件や孤独死があったか…?って?」
「そうそう!」
おっ!そうか、その手があったか!
枝美ちゃん、賢い!
地元の長老何人かに聞けば何か得ることがあるかも知れない。
しかも、酔ってるし、いろいろしゃべってくれそうだ!