「この辺で、何かあったか?って?」
ご近所のおじさん3人組と、枝美ちゃんはいつの間にか合流して盛り上がっていた。
しかし、どうやら、ご近所の過去を知るおじさんたちに、酔わせて聞き出そうとする枝美ちゃんの作戦のようだ。
「…そうだなぁ…。事件なんてもんは、ここら辺では、起きたことはないなぁ…」
「お嬢さんは、この辺に住む予定なの?」
「いいえ、私じゃないんです。友達の男の子が、住みたいと検討中です」
「そんなこと気にしてビクビクしてるなんて、男のくせに、臆病だなぁ…」
「ですよね~!」
枝美ちゃんは、自分が住んでいる…と言ってしまうと、途端に話してくれなくなりそうだと判断して、友達…と、言ったのだと思いました。
しかし、ここでも、情報は得られそうもない。
まぁ、でも、美味しいお酒が飲めたからいいか!
「…あ、だけど、一件、事件じゃないけど…」
「え?なんですか?」
枝美ちゃんは、身を乗り出した。
「自殺があったよなぁ…」
「あ、あれかぁ…」
おじさんたちは、思い出すように語りだした。
「だけど、もう7、8年前になるかなぁ、独り暮らしの女の子が薬飲んで…」
「そうそう、そんなことあったなぁ」
「その家は、どこですか?」
「2丁目の今にも潰れそうな布団屋の向かいアパートだよ」
私は、凍りついた。
「何号室?一階?二階?」
枝美ちゃんは、怯むことなく、聞き続ける。
「確か…2階の一番奥かな?」
…枝美ちゃんの部屋だ…💦