「もう7、8年前になるかなぁ、独り暮らしの女の子が薬飲んで…」
それは、枝美ちゃんの部屋だった。
…事故物件であることが、わかってしまった。
帰り道、とぼとぼと歩く枝美ちゃんの後ろ姿を見て、こんなことになってしまって…。
知らない方が良かったのかも知れない…と、後悔した。
「…どうする?」
「どうするって?」
「せめて、今日は、うちに泊まりに来る?」
「ううん、とんでもない~!これで私の部屋の隠された事実を知ることが出来たんだから、むしろ安心した!」
とぼとぼと元気無さそうだったのは、飲み過ぎただけで、自分の部屋が事故物件であることを知ったからと言って、それはショックじゃないらしい…。
強がりなのかな…と、思った。
それからの枝美ちゃんの様子を見る限りだと、いつもと変わらず元気だ。
「枝美ちゃん、その後変化ある?」
しばらくして、家の事を聞いてみた。
「うん、あるある!相変わらず家鳴りはしてるけど、最近激しくなったの。…でね、面白そうだから、コミュニケーションを取ってみたの。」
イエスならトン。
ノーならトントン。
これを家鳴りの主に理解して貰うように調整中だという。
「本当に…?そんなことって、出来るの…?💦」
「まだ、ビミョーなんだけど、なんとなく出来てきてる気がするの。そのうちに、もっと会話が交わせるようになるよ!」
枝美ちゃんのポジティブさは、スゴイ💦