あの頃(悪役)17

2020-06-15 06:26:18 | 日記
Aは、突然好きな人を先輩に奪われて、ずっともやもやしていたのかも知れません。

先輩と闘うつもりなど無く、負けるなら手も足も出ない完敗であることを確認したかったんだと思います。

あの『セリフ』との出会いさえ無ければ、もやもやしながらも、過去の出来事を封印して過ごしていたのでしょう。

彼女の行動が賢明だったのかどうかわかりませんが、それからのAは、人が変わったように良い演技をして、素晴らしい高笑いをしていました。

悪役にも悪役に徹するための壁や苦悩があるんです。

あの頃(悪役)16

2020-06-14 07:31:21 | 日記
「K君と会いましたか?私とも会う予定だったんですよ」

先輩はすべてを悟って、黙ってしまった。

「先輩を尊敬してました。とても魅力的な人だし…。だけど、私が大切だと思っているモノを盗った先輩は嫌いです。」

そこで、先輩から返ってきた言葉は、例のセリフです。

『未熟なあなたに彼は似合わない。彼ははじめからあなたを好きでは無かったと言ったわ。』

正確には…、

「Aちゃんは未熟ね。彼はあなたを本気で好きでは無かったと言ってたわよ。かわいそうだけど…認めた方がいいよ。」

そして、高笑い…。

(正確には、高笑いではなく、鼻で笑われた…と言ってました)

Aは、カウンターパンチを受けて、何も言い返せず帰ったそうです。

そんなこともあって、胸の奥に沸々と怒りをくすぶらせていたAは、『何か』を確認するために、稽古を休をんでまで、先輩が居るカフェにゲリラ的に駆け込んだ。


「先輩に聞きたいことがあります!」

「どうしたの?Aちゃん」

「先輩は本当にK君が好きですか?」

「何言ってるの?」

Aは、何も言わず先輩の本心からの言葉を待った。

「あの時、私は、先輩に勝てないと思って、何も言えませんでした。だけど、本当に彼が好きなのか…、それを聞いていなかったのが心残りで、もやもやしたままなんです。

「今もうまくいってるよ」

それだけを聞くと、Aは先輩に頭を下げると、帰ってきた。

自分が入り込む隙は、あるのか…無いのか…。

とにかく、入り込む隙も無いことを確認したかった。



あの頃(悪役)15

2020-06-13 07:41:12 | 日記
「先輩に聞きたいことがあります!」

「どうしたの?Aちゃん」

「先輩は本当にK君が好きですか?」

「何言ってるの?」


ーーー実は、Aちゃん、一度先輩とバトっている。

Aが、K君と別れようと決めた時、彼の本心を知りたくて、『最後の賭け』をした。

自分の誕生日に会う約束をした。

たぶん、その日、K君は先輩に呼び出されている…彼はどうするのか…、賭けてみたのだ。

結局、彼は来なかった…。先輩を選んだのだ。

恋のライバルは先輩。本来なら大人しく引き下がる方が賢明なのかも知れない。

だけど、Aは、簡単に引き下がれなかった。



先輩と、同じ現場で会った時、思いきって聞いてみた。

「先輩!◯月◯日は、どうしてましたか?」

「…仕事だったけど…。」

先輩の受け答えが、既に何かを察してしる様子だったらしい…。

「K君と会いましたか?」

「…会ったけど…?」

「私とも会う予定だったんですよ」

一気に気まずい空気が流れた。

あの頃(悪役)14

2020-06-12 07:40:22 | 日記
Aは、謎のイケメンKを呼び出した…。

何かを払拭したくて…。

しかし、来なかった…。

その日結局、Aは、稽古を休んでしまった。

何より、稽古を優先するはずの彼女は、とことん追い詰められていたんだと思う。



ーーーその時のAは、すっぽかされたからと言って、『そっか、仕方がない…』と諦められる状態ではなかった。


翌日今度は、Kを奪った先輩を呼び出した。…というか、会いに行った。

先輩がいつもお茶をする…というカフェ☕にゲリラ的に押し掛けた。


「先輩、聞きたいことがあります!」

強引に先輩がくつろぐカフェのテーブルの真正面に着いた。

「どうしたの?Aちゃん。」








あの頃(悪役)13

2020-06-11 07:42:46 | 日記
あまりにも、リアルなセリフに困惑して、深く傷付き、思い悩んでいたA。

自分が言わなければならないセリフと同じようなことを言われていたし、同じような状態だった…。
それ故に、彼女は苦しんでいた。

悩んで悩みぬいて、彼女は問題の謎のイケメンKを呼び出した。

その日も稽古があった…が、彼女の心情は『これがスッキリしないと先に進めない‼️』…というところだった。

Kを呼び出して、もう一度確認しておきたかった。
確認することで、さらに、傷付くかも知れない…。
それでも、今のまま、もやもやと過ごすよりマシ‼

Kに会ってみて、何を聞けばいいのか…、計画性なんて無い。

もちろん、会いたかったワケでもない。

思いっきり傷付いて這い上がるのも、今のもやもやから脱する方法のひとつと考えたのかもしれません。

とりあえず、Kを呼び出したが…、

来ない…。

今までも、ルーズな一面を見せていたから、覚悟はしていたが…。

もしかしたら、『会う』約束はしてくれたけど、急遽会いたくなくなって、すっぽかされた…?

とにかく、今日は会って『何か』を払拭しなければならない❗

前にも話しましたが、携帯さえも無かった時代です。
近くに公衆電話でも無い限り、連絡方法はありません。(思えば、不自由な時代でしたね)