エメラルドの瑕疵

旧 『楽母の人見知り日記』です。 毎日更新しています。気候の良い時期は地元(京都)の寺社散策に励みます。

余命10年

2019-10-09 15:20:38 | 
小坂流加 著  文芸社文庫  2019年 4月 10日 初版第12刷

号泣しました。
寝る前に読んではなりません。 朝、ばんばんに目が腫れます。

20歳で数万人に一人という不治の病を発症した茉莉。
今の医学では治らない。 発症してから10年以上生き延びた例はない。 つまり、ながくても余命10年。

未来を諦めて、今を楽しめればいいと生きていたのに。
同じ病気で亡くなった礼子との最後の会話。『ありがとう』と『ごめんね』と『好きです』この言葉を言えずにいた人たちがいる、後悔している・・・と。

胸に残ったその言葉を、茉莉も後悔しないように実践しようとする。
『好きです』が言えなかった小学校の同級生にそれを言うために同窓会に出席して、違う同級生と出会ってしまう。

付き合ったとしても30歳には自分は死んでしまう。
礼子の夫がそうであったように、愛する人を遺していくことの辛さ、むごさを見てきたから、茉莉は本気にならないように自分を戒める。

未来を諦めて、今、自分の夢中になれることを楽しんでいた茉莉は、死ぬことを受け入れて恐れていなかったのに。
愛する人が出来た途端に、死にたくないと思うし、死ぬことが怖くなる・・・茉莉は本心を押し殺して別れを選ぶ。

という、なんとも切ないラブストーリーで、病人の気持ちがものすごくリアルだと思っていたら、著者自身が病気で、、、おそらく、、、この本の中の茉莉と同じ病、、、亡くなったんですね。

『生きてさえいれば』という遺作があるそうですが、胸が痛くてしばし、読めそうもありません。

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