九月が永遠に続けば

沼田まほかる著　　新潮文庫　　平成23年　9月10日　9刷

本の帯にあった、『第5回ホラーサスペンス大賞受賞作！』　『おすすめ文庫王国　国内ミステリー部門　第1位』なんていう文字に惹かれたわけではない。

ただ、暑かったから（笑）
数年前も猛暑、残暑が続いた時に、「9月で35℃やなんて、このままいけば12月には60℃ぐらいになってるで」とかいってどっと笑い転げる漫才みたいなのがあったけれど、今年もなんだかダラダラと暑い。
暑いのが苦手な私は、この『九月が永遠に続けば』というタイトルに、少しばかりの反感を持って手に取ってしまった。

で。
その反感が見事に返り討ちにあったかのような、なんともグロい、どろどろの読後感の悪い小説（苦笑）

色合いは、京極夏彦の、京極堂シリーズ・・・ウブメ・・・みたいな、こう。。。
なんていうのかなぁ、じめっと暗い、逢魔が刻の辺りの暗さを漂わせている。
ふっとそんな時間帯に、見知ったはずの角を曲がれば、どこからともなくぽっかりと口を開けていた異次元空間に入り込んでしまったような、、角を曲がったのを確認していた我が子が、次の瞬間神隠しのように姿を消したような、なんとも落ち着きの悪いじりじりする思い。

最初から最後までその重い暗さ、焦燥感みたいなものに責められるように読み終えた。
登場人物は多くない。
解説者がどこかで、この中には悪人は誰ひとり登場しない、ただ、一見普通でありながらどこかネジのゆるんだ人間達、と書いていたが、私はそうかなぁ？と思った次第。　確かに、世間的には悪人って出てこないけれど、ネジのゆるんだ人間がこれだけ何人も出てくると、サソリの毒？？のように、じわじわ後から効いてくるような感じで、ひさびさ、イヤな感じになる小説を読んだわ。

はまる人にははまりそう（笑）