私は・・・女優よ！

そのスタジオへ入ったのは実に5年ぶりくらいだろうか・・・。
ずい分と長い間、撮影なんてしていない。
2階へ上がる階段は前と同じだというのに、私が少し緊張していた。

多分、階段を上がるとスタジオへは音か何かで連絡が入るのだろう。
待ち受けていたのは『くらのすけ』似のひょろっとしたお兄さん。
「身分証明用の写真、撮っていただきたいのですが」
「サイズは？」・・・ここで間違ってもBWHのサイズなど言ってはなりませぬ。

「3.5×4.5で」
「じゃあ、そちらのフィッティングでご確認を」
はい、鏡を見ても、いつも通り綺麗な楽母（おばかさんっ！）
「別にこのままで構いません」
「こちらへどうぞ、ここにかけて下さい」

で・・・ね・・・カメラマンさん登場ですの。
ハウンド・ドッグの大友さんを若くして甘さをプラスしたような男前で、一気に心拍数上昇。
「一度、テスト撮りしますね」って、優しいの。即座に横のモニターで見られて。
このままでもいいと思ったのに、その大友？さん「前髪の乱れ、直しましょう」
なんて、きゃ～近づいてきてオデコのあたりの髪の毛・・・チャチャッと直すの。
て・・・照れるぜ。
もう、目ぇ瞑っちゃう。

それからあれこれね・・・少し傾いてます、も少し右、はい、目はもっとパッチリ見開いて・・・そうそう・・・口元もっとキュッと・・・肩が落ちてきましたよ・・・
はい、そのまま・・・はい・・・ご苦労様！
いやん、モデル時代を思い出してしまいました。

その後ですやん。
デジカメなものだから、パソコンにあっという間に取り込んで、一番いいと思われるのを選んで、修正してくれるのよ。　モニターいっぱいの自分の顔を凝視できるほど
私・・・厚顔でもないのに、目の前でちょっとした皺とか、しみとか消してくれるの。どこか気になるところありますか？って、お・ね・が・いだから聞かないで。
「いいえ、充分綺麗ですやん！」本音が出ます（爆。。一生言ってろ！）

だいたいね、この大きさならともかく、3.5×4.5なんてのに縮小したらちょっとくらいの皺もしみも見えませんって。　そうじゃない？
なのに、いろいろいろいろ消した挙句に言ってくれたのが
「お肌、綺麗ですね～」　　　　嘘くせぇ！！

これで4枚　2400円也。 チャン、チャン
※　なお、写真は楽母とは何の関係もございません、はい。