著:外間守善 中公文庫
ウチナーグチの歴史や語源などについて書かれた本です。
とても興味深かったのは、15世紀くらいにヤマトから沖縄へ、大規模な人口移動があり、それが今のウチナーグチの元になっているということです。
その元になった言葉は、ヤマトでは急速に変化を遂げていき、沖縄ではあまり変化しないまま近年まで伝わっていたそうです。だから、ウチナーグチには、日本の古語に近い言葉が残っているのですね
あともうひとつ、興味深かったのは、方言の矯正についてです。
明治33年に、県立1中生徒が中心になって、共通語普及に努力しましたが、学校教育における罰札(方言札)が明治40年くらいに始まってからは、一転して抵抗します。
その後、昭和になって海外移民が多くなると、外国の日本人社会の中で、言葉が分からないための沖縄人の孤立という問題がおきます。そして、昭和15年には、再び方言札が復活します。
この時代で面白いのが『民芸協会事件』です。
事の発端は、日本民芸協会の数人が沖縄の文化研究を目的に来島し、沖縄県の方針として盛んであった、標準語励行運動を批判したところから始まります。
民芸協会の人は、標準語励行運動の行きすぎを批判したのでしょうが、それに対して沖縄県側は、方言を保護せよなどと言うのは、沖縄を『愛玩県』として蔑視したものだと反論します。
『愛玩県』というのは、面白い言い方です。
これが当時はかなり大きな社会問題になったようです。
でも、考えてみると、この愛玩県問題は、いまだ解決されていないかもしれませんね。
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