富田元治のブログ

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小山さんノート、ホームレスの女性が残したノート。

2024年05月03日 | #あ~人生
手書きのノートを大量に残して亡くなったホームレスの女性がいる。
「小山さん」。本名は分からないが、そう呼ばれていた。

小山さんは2013年秋ごろに体調が悪化し、
近くで野宿する女性などが世話をしたが、12月27日に息を引き取った。
65歳だった。
残されたのは、約80冊にも上るA6サイズのノートだった。

町を歩いて出会う物たち、喫茶店でノートを広げ書く時間、
そして、頭のなかの思考や空想。
満足していたわけではなくても、小山さんは生きるためにここにいた。

時間の許される限り、私は私自身でありたい。
2013年に亡くなるまで、公園で暮らしながら、
膨大な文章を書きつづっていた小山さん。


A6サイズノートの大きさは、
A6サイズとは「105mm×148mm」のサイズを指します。
 A6サイズは葉書に近い大きさであり、
文庫本のサイズとしても用いられています。
100円ショップで売られています。



【小山さんのノートより】

働きに行きたくない。仕事がかみあわない。もう誰にも言えない。
私は私なりに精いっぱい生きた。

私にとって、大事なものは皆、無価値になって押し流されていく。

雨がやんでいたのに、またふってくる。もどろうか。もどるまい。
黄色のカサが一本、公園のごみ捨て場に置いてあった。ぬれずにすんだ。
ありがとう。今日の光のようだ。

駅近くに、百円ちょうど落ちていた。うれしい。内面で叫ぶ。


80円のコーヒーで2~3時間の夜の時間を保つことができる。
ありがとう。イスにすわっていると、痛みがない。


ノート、音楽と共にやりきれない淋しさを忘れている。

5月20日、夜九時過ぎ、つかれを回復して夜の森にもどる。 
にぎやかな音楽に包まれ、心ゆったりと軽い食事をする。

タコ、つけもの、紅のカブ、ビスケット、サラミ少々つまみながら、
にぎやかな踊りをながめ、今日も終わる。


夜空輝く星を見つめ、新たな意識回復に、22時過ぎまで自由な時間に遊ぶ。
合計516円拾う。

ほっと一人ゆったりと歩く。のどがかわいた。水かコーヒーを飲みたい。

こんな活気のない金曜の夜、300円もち、何も買えない。
人間の人生は生きてる方が不思議なくらいだ。


一体、50にもなって何をしているんだと、いい年をしてまだ本をもち、
売れもしないもの書いて喫茶に通っているのか……と。

怒り声が聞こえそうな時、私の体験の上、選んだ生き方だと、
私の何ものかが怒る。

美しい夕陽を見送り、顔が今日の夕陽のように赤く燃えている。


2階カウンターの席にすわり、ノートと向かいあう。
まるで飛行機に乗ったような空間。まだ3時過ぎだ。
流れるメロディーに支えられ、
フランスにいるような気持ちに意識を切り替える。


一時間、何もかも忘れのびのびと終わるまで踊ることができた。

明るいライトに照らされた足元に、一本のビンがあった。
冷たい酒が二合ばかり….。





 

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