表通りの裏通り

~珈琲とロックと道楽の日々~
ブルース・スプリングスティーンとスティーブ・マックィーンと渥美清さんが人生の師匠です。

『スティーヴン・スピルバーグ IMAX映画祭』

2025-01-16 15:46:46 | 映画

1975年の暮れ。当時小学2年生だった僕は、この男のせいで数年間海に行けませんでした。

https://tohotowa.co.jp/spielberg-imax/

当時細横丁の公済病院の向かいにあった仙台東北劇場(そのあと火事で焼けちゃったけど)で、初めて自分の意志で観に連れて行ってもらった洋画が、この男ことステーブン・スピルバーグ監督の『ジョーズ』でした。

とにかく怖くて怖くて、自分の住んでいる地域の海にも絶対人食いザメがいると疑わなかった純真(今でも)無垢(これは今は疑問)な少年にはインパクトが強すぎました。多分夜もサメの夢を観ていたはず。

息子たちにもその恐怖を味あわせたくて(今の時代ではこの程度は怖くないらしい)久しぶりに劇場で観た『ジョーズ』は、そりゃもう映画的ワクワクの連続でした。フィルムの質感は残しつつも映像はキレイだし、音の立体感も素晴らしいし、さすがIMAX。その分鑑賞料金は高いけど。¥1,500にIMAX代¥600.う~ん。

映画鑑賞料金の高騰は今に始まったことではないし、話を彼の作品に戻しましょう。『ジョーズ』に限らず、スピルバーグ監督のサスペンス・スリラー作品は、ムダを一切省いた引き算で成り立っていますよね。この辺りはヒッチコック監督の作風に通じるものがあります。

小出しにジワジワと迫りつつ、見せるときは思い切って見せる。このメリハリがあるから『激突!』や『ジョーズ』のシビれるような緊張感が最後まで途切れないんですね。

最近のスピルバーグ映画はイマイチ僕の趣向と合わないので(あくまで個人の感想です。ファンの方すみません!)『レディープレーヤー・ワン』を最後に観ていません。食わず嫌いをやめてちょっと観てみなきゃいけませんね。

 

その七年後の1982年。東京から遅れる(昔は地方でのロードショウがが遅れることはザラでした)こと一週間、忘れもしない12月11日(土)、待ちに待った『E.T』が公開されました。前の晩から並んであさイチ上映を観に行っているので、多分学校は自主的にお休みだったんでしょうね。

前評判以上に素晴らしい映画で、僕の中のランキングでは『ダイ・ハード』に抜かれるまでずっとナンバーワンをキープしていた、大好きな作品です。

劇中にでてくる宅配ピザが羨ましくて(しかも子どものクセに堂々とお母さんの前でみんなタバコ吸ってるし)、大袋に入ったマーブルチョコレート(当時は明治の筒入りマーブルチョコレートしかなかった)も羨ましくて、みんなが乗っているMTBがカッコ良くて欲しかったけど高くて買ってもらえず、初めて見たハロウィーンの仮装行列にビックリして、泣いて笑ってラストは涙でスクリーンが見えませんでした。(何だこの感想は)

左:初公開時の前売りオマケの缶バッジ  右:2002年のリバイバル上映時の前売りオマケの缶バッジ

 

そしてこのお祭りのフィナーレを飾るのが...

もしもコスタリカの沖合の島に行ったら、ホントに恐竜に会えるんじゃないかと錯覚するほどリアルな恐竜が画面狭しと闊歩(疾走)する『ジュラシック・パーク』。『大脱走』のビッグXことリチャード・アッテンボローさんに久しぶりに対面できたのも嬉しかった作品です。

ところで皆さん、狭い島の中でT-レックスに追われるのと、大海原で人食いザメに追われ続けるのとどっちが怖いと思います?

そのT-レックスに追われる少年ティモシーを演じたのがジョゼフ・マゼロ。そう、あの『ボヘミアン』でのジョン・ディーコンです。『ボヘミアン』を観たとき、あのT-レックスに追われて泣き叫んでいた少年がクイーンのメンバーになるなんて...って妙に感心しちゃいました。なんとも感慨深いですね。

記念すべき第一作はその後のシリーズとは違い、主役であるメインの恐竜(ここではT-レックス)を足跡や音、有名なコップの水の揺らぎで全体像をすぐには見せずにジラしながら魅せる演出。今回はIMAXでしかも3D。楽しみでしかありません。

 

『スティーヴン・スピルバーグ IMAX映画祭』予告編<2025年1月10日(金)『ジョーズ』1月24日(金)『E.T.』1月31日(金)『ジュラシック・パーク 3D』全国のIMAXシアターにて公開>

できれば『E.T』は初期バージョンが観たいけどムリだろうなぁ。

 

そしてIMAX映画祭の第二弾があるんなら

『レイダース 失われた聖櫃』か『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』

『未知との遭遇』

『1941』

がまた映画館で観たいです。特に『1941』は不当に評価が低いと思いませんか?ハチャメチャな映画だけど、映画ならではの面白さは詰まっていると思うんですけど。


国際小児がんデー2025

2025-01-15 23:33:00 | 国際小児がんデー

皆さまもご存知の通り、毎年2月15日は国際小児がんデーです。

 
 
世界中で小児がん啓発のための様々なイベントが行われる予定です。
日本では毎年2000人の子どもが小児がん(0〜15歳まで)と診断され、医学の進歩に伴い約70%の患児が治療を終えることができるようになりました。しかし残りの約30%、人数にして600人前後の患児は治療を終えることができません。
昨年は講演会に呼んで頂く機会が増え、その場でもこのことを強く訴えていますが、大人のがんと違い症例が少ないための弊害が多々あります。
 
が、この話は語り出すと長くなるので、ここではその詳細は割愛して本題に移ろうと思います。 
 
 
僕らがんの子どもを守る会宮城支部でも、昨年に引き続き啓発イベントを開催します。
 


東北の小児がん拠点病院である東北大学病院と宮城県立こども病院をはじめ、いつもお世話になっている他団体さんやボランティア有志の方々のお力をお借りして、一番町三丁目藤崎百貨店さんのご厚意の元、玄関前をお借りして上記の通り啓発活動を行います。チャリティグッズ(新作多数)は数に限りがあります。特にレモネードスタンド(寒い時期なので既製品のみの販売ですが)の品揃えは見応えあり!数量限定(しかも少量)のレモネードが多いので、どちらもお早めに。無くなり次第販売は終了致します。
 
今年は当日が土曜日と重なります。お近くにお越しの際は是非お寄りください。
 
 
これに先立ち、2月3日(月)~7日(金)
宮城県庁二階回廊ロビーにて「小児がん と大学病院に入院中の 子どもたちの絵画展」(仮)を宮城県と共催で行います。
今年はちょっと趣旨を変え、例年同様の小児がんの子どもたちの絵画パネルと共に、東北大学病院小児科に入院中の患児たちの作品や、宮城県オリジナルの作品(息子の絵も飾らせて頂きます)も展示予定です。
県庁ってなかなか行く機会がありませんが、たまに如何ですか?
 

さよなら『ブラック・レイン 』

2025-01-11 17:36:34 | 映画

まさかこんな別れ方があるなんて...。

松田優作アニキの命を懸けた一世一代の名演に、世界中が度肝を抜かれた『ブラック・レイン』の日本での上映権が今月末で失効するんですって!

そんなことあるんですね。

高倉健、松田優作が出演、『ブラック・レイン デジタル・リマスター版』国内最終上映 【2025年1月24日より全国4館、1週間限定劇場公開】

優作アニキが亡くなる直前、仙台東宝で観た思い出の作品。アニキの狂気の演技にその他の役者さんたち(あの高倉さんも)が完全に霞んじゃいましたもんね。

負けていなかったのはアンディとガッツさんくらいでしょうか。

こんなに日本と深い繋がりのある作品が、日本の劇場で観れなくなるなんて信じられません。ついこの前”午前10時の映画祭”で上映してませんでしたっけ?

それはそうと、今回の最終上映が観れるのが国内で4館だけ。

仙台で観れないのは仕方ないとして、ロケ地だった大阪で上映されないってヒドくないですかね。

 

 

何とかもう一度映画館の暗がりで観たいなぁ。


John The Revelator

2025-01-11 16:05:51 | Blues

サム・ムーアさんが逝去されました。89歳。

https://news.yahoo.co.jp/articles/354d8a41f4e00829ff5b99c8976e630ede0b03f6

鬼籍に入っても仕方のないお歳ですがめっちゃ悲しいです。自分のじいちゃんが死んじゃった気分です。

サム&デイヴは僕にソウルのカッコ良さを教えてくれた先生です。ベタだけど代表曲「ソウル・マン」のカッコ良さにシビれました。

僕がサム・ムーアさんに辿り着いたのは、中一の頃に黒人音楽に何の知識もないまんま観た(今はなき東映パレス!)映画『ブルース・ブラザース』の中でした。ご本人は出ていないけど、劇中でカーラジオから薄~く流れる「スージー・ミー」「ホールド・オン、アイム・カミン」。「何だ?このカッコ良い曲は!!」とシビれました。

そのあとブルース・ブラザースのデビューアルバムで「ソウル・マン」のカバーを聴いて以来、サム&デイヴがお気に入りのアーティストに。

https://youtu.be/FTWH1Fdkjow?si=OdZCcoa1nsigGRnV

そして第一作から18年後の続編『ブルース・ブラザース2000』でサムさんはついにブルース・ブラザースの仲間入り!クリオファス牧師ことジェームス・ブラウンと一緒にゴキゲンなソウルを聴かせてくれました。

John The Revelator (No Police Interruption) | Blues Brothers 2000 (1998) | Sam Moore, James Brown

このシーンは物語の展開を左右する重要な場面だし、何度観ても楽しくて大好きです。

また一人、『ブルース・ブラザース』を彩った大スターがいなくなっちゃいました...。

 

 

ブルース絡みでは1992年の(僕は大好きだけど)あまり評価の高くないアルバム『ヒューマン・タッチ』で「ソウル・ドライバー」「リアル・ワールド」「マンズ・ジョブ」の3曲で共演。

そしてロックの殿堂コンサートではブルースの客人として「ソウル・マン」と「ハイヤー・アンド・ハイヤー」でパワフルな歌声を披露。このステージはたまりませんよね。ブルースのサムへのリスペクトぶりが最高です。

https://youtu.be/zK42PMBcESo?si=n46XYPRDNnz5Jqjl

さらにブルース版”フロム・ザ・クレイドル”(と、僕が勝手に思っている)『オンリーザ・ストロング・サヴァイヴ』でも「ソウル・デイズ」と「愛を忘れて」で共演。特に「ソウル・デイズ」での掛け合い "I wanna hear Sam & Dave (Oh, listen baby" がほのぼのしていて大好きです。

20年くらい前のサムのアルバムでもデュエットしていましたよね。

 

あぁ。切ない。悲しい年明けになりました。

 

サムさん、一度もお会いできなかったけど安らかに。

 

 


『侍タイムスリッパー』

2025-01-05 00:00:00 | 映画
現実逃避癖の高い僕は、年間50本以上の映画を劇場に観に行くのを目標にしています。年に50本って簡単そうだけど、今は実現するにはほぼ毎週観に行かなきゃ達成できません。2024年は35本くらいで打ち止めだったから、今年は何とか目標達成したいところですね。

昔は仙台で公開(ロードショーでも)される映画は殆ど“同時上映”があって、年間50本なんてあっという間でした。でもいつのまにか単独上映になり、シネコンが出来たおかげで完全入れ替え制になってしまいました。

高校生の頃までは立ち見は当たり前、好きな映画は朝から晩まで入り浸って何度も観ていました。名画座もあったから、映画を観るってお金のかからない楽しみだったのに、今や入場料は2,000円。それにIMAX上映や4DX上映だと追加料金がかかって(しょっちゅう観てるけど)、割引のないときに行ったら大変!

あまり前情報を入れずに観に行くので、時々「え〜」っと値段に見合わない(個人の感想です)場合もありますが、昨年劇場で観た全作品の中でもダントツ!時間があれば毎日朝から晩までずっと観ていたい映画が『侍タイムスリッパー』です。



とにかく面白いの一言。最初はタイムスリップもののよくあるB級映画だと思って(土下座したい気持ちです)軽い気持ちで観に行ったのに、完全にヤラれました。

全編これでもか!というくらい溢れまくる映画愛、時代劇愛。この作品に関わった全ての方たちの熱い情熱が、全てのシーン、セリフ、そして画面からドクドク飛び出してくる圧倒的な熱量。

初めて観たとき、これは令和の『蒲田行進曲』だ!と思ったものです。

オープニングの殺陣から画面に釘付けだったけど、劇中、沙倉ゆうのさん演じる優子殿のセリフ「私、両親が忙しかったからおばあちゃんに育てられたんです。『銭形平次』とか『水戸黄門』を観て…云々」

この一言で涙腺は崩壊です。ばあちゃんを思い出しました。

僕も子どもの頃、両親が忙しかったせいでばあちゃんっこでした。ばあちゃんが時代劇大好きだったので、毎日のように一緒に時代劇を観て育ちました。

大川橋蔵さんの『銭形平次』、東野英治郎さん時代の『水戸黄門』。助さんが里見浩太郎さんの頃。『暴れん坊将軍』はもちろん、萬屋錦之介さんの『子連れ狼』に勝新の『座頭市物語』。加藤豪さんの『大岡越前』と、これは記憶が定かじゃないけど竹脇無我さん時代の『江戸を斬る』。その他にも色々見せられていた幼少期でした。
でも僕のヒーローは主役の面々ではなく、主役に絡む名もない斬られ役のお侍さん。

だから朝起きると、枕元に置いてある帯を締め(着物ではない)、オモチャの刀を脇に2本(ココがミソ)差して、下駄か草履を履いて遊んでいました。




見様見真似で毎日殺陣の訓練をしていたおかしな子どもでした。そんな子どもだった僕にとって、ラストの息詰まる決闘シーンは涙なくしては見れません。


その後、小学校中学年(『ウルトラマン』でいえば新マン、『仮面ライダー』でいえばV3の時代)以降はテレビ時代劇の衰退(ではないと思いますが)とともに、“もっと子どもらしい”ヒーローものに興味が移り、テレビで時代劇を観る機会は激減しました。※ここで言うテレビ時代劇には大河ドラマは入っていません。

黒澤監督や勝新の映画版時代劇の迫力や、山田監督の『武士三部作』等のリアリティある時代劇は大好きで良く観ていましたけど、そこまで侍に夢中になれずいたのに、朝ドラ『カムカム・エブリバディ』の“ひなた編”で、松重豊さん演じる伴虚無蔵のカッコ良さにシビれました。忘れていた僕の中の時代劇が蘇ってきます。虚無さんの醸し出す侍の矜持、切られ役としてのプライド。大部屋俳優さんの悲哀。僕の観たかった時代劇がそこにありました。

しかし時代は大型時代劇全盛期。たまに公開される時代劇は派手な特撮アクション満載で、観ていて疲れちゃうんです。長いし。

そこに飛び込んできたのが『侍タイムスリッパー』。役者の皆さんのセリフ一つ一つに重みがあるのに重くならない、絶妙の塩加減。全ての登場人物に感情移入できる等身大のキャラクター設定が効いています。唯一気になったのは、西経寺の和尚さんがいつも数珠を手にしている(普段は持たないから)ことくらいかな。

冨家ノリマサさん演じる風見さんが挨拶で話した

「今や侍といえばサッカー」と言うセリフ。沁みました。

これからは「侍といえば『侍タイムスリッパー』」です。『侍タイ』大好きです。


参考までに2024年の個人的な映画ランキング

①『侍タイムスリッパー』
②『海の沈黙』
③『ミッシング』
④『僕が生きてる、ふたつの世界』
⑤『ラストマイル』

外国映画

①『トラップ』
②『めくらやなぎと眠る女』
③『インサイドヘッド2』
④『リトル・リチャード アイ・アム・エヴリシング
⑤『オッペンハイマー』

別格で『ドル三部作』のリバイバル上映


観たい作品がいっぱいあったのに、地方での上映がない作品が多いのが悲しいです。