現実逃避癖の高い僕は、年間50本以上の映画を劇場に観に行くのを目標にしています。年に50本って簡単そうだけど、今は実現するにはほぼ毎週観に行かなきゃ達成できません。2024年は35本くらいで打ち止めだったから、今年は何とか目標達成したいところですね。
昔は仙台で公開(ロードショーでも)される映画は殆ど“同時上映”があって、年間50本なんてあっという間でした。でもいつのまにか単独上映になり、シネコンが出来たおかげで完全入れ替え制になってしまいました。
高校生の頃までは立ち見は当たり前、好きな映画は朝から晩まで入り浸って何度も観ていました。名画座もあったから、映画を観るってお金のかからない楽しみだったのに、今や入場料は2,000円。それにIMAX上映や4DX上映だと追加料金がかかって(しょっちゅう観てるけど)、割引のないときに行ったら大変!
あまり前情報を入れずに観に行くので、時々「え〜」っと値段に見合わない(個人の感想です)場合もありますが、昨年劇場で観た全作品の中でもダントツ!時間があれば毎日朝から晩までずっと観ていたい映画が『侍タイムスリッパー』です。
とにかく面白いの一言。最初はタイムスリップもののよくあるB級映画だと思って(土下座したい気持ちです)軽い気持ちで観に行ったのに、完全にヤラれました。
全編これでもか!というくらい溢れまくる映画愛、時代劇愛。この作品に関わった全ての方たちの熱い情熱が、全てのシーン、セリフ、そして画面からドクドク飛び出してくる圧倒的な熱量。
初めて観たとき、これは令和の『蒲田行進曲』だ!と思ったものです。
オープニングの殺陣から画面に釘付けだったけど、劇中、沙倉ゆうのさん演じる優子殿のセリフ「私、両親が忙しかったからおばあちゃんに育てられたんです。『銭形平次』とか『水戸黄門』を観て…云々」
この一言で涙腺は崩壊です。ばあちゃんを思い出しました。
僕も子どもの頃、両親が忙しかったせいでばあちゃんっこでした。ばあちゃんが時代劇大好きだったので、毎日のように一緒に時代劇を観て育ちました。
大川橋蔵さんの『銭形平次』、東野英治郎さん時代の『水戸黄門』。助さんが里見浩太郎さんの頃。『暴れん坊将軍』はもちろん、萬屋錦之介さんの『子連れ狼』に勝新の『座頭市物語』。加藤豪さんの『大岡越前』と、これは記憶が定かじゃないけど竹脇無我さん時代の『江戸を斬る』。その他にも色々見せられていた幼少期でした。
でも僕のヒーローは主役の面々ではなく、主役に絡む名もない斬られ役のお侍さん。
だから朝起きると、枕元に置いてある帯を締め(着物ではない)、オモチャの刀を脇に2本(ココがミソ)差して、下駄か草履を履いて遊んでいました。
見様見真似で毎日殺陣の訓練をしていたおかしな子どもでした。そんな子どもだった僕にとって、ラストの息詰まる決闘シーンは涙なくしては見れません。
その後、小学校中学年(『ウルトラマン』でいえば新マン、『仮面ライダー』でいえばV3の時代)以降はテレビ時代劇の衰退(ではないと思いますが)とともに、“もっと子どもらしい”ヒーローものに興味が移り、テレビで時代劇を観る機会は激減しました。※ここで言うテレビ時代劇には大河ドラマは入っていません。
黒澤監督や勝新の映画版時代劇の迫力や、山田監督の『武士三部作』等のリアリティある時代劇は大好きで良く観ていましたけど、そこまで侍に夢中になれずいたのに、朝ドラ『カムカム・エブリバディ』の“ひなた編”で、松重豊さん演じる伴虚無蔵のカッコ良さにシビれました。忘れていた僕の中の時代劇が蘇ってきます。虚無さんの醸し出す侍の矜持、切られ役としてのプライド。大部屋俳優さんの悲哀。僕の観たかった時代劇がそこにありました。
しかし時代は大型時代劇全盛期。たまに公開される時代劇は派手な特撮アクション満載で、観ていて疲れちゃうんです。長いし。
そこに飛び込んできたのが『侍タイムスリッパー』。役者の皆さんのセリフ一つ一つに重みがあるのに重くならない、絶妙の塩加減。全ての登場人物に感情移入できる等身大のキャラクター設定が効いています。唯一気になったのは、西経寺の和尚さんがいつも数珠を手にしている(普段は持たないから)ことくらいかな。
冨家ノリマサさん演じる風見さんが挨拶で話した
「今や侍といえばサッカー」と言うセリフ。沁みました。
これからは「侍といえば『侍タイムスリッパー』」です。『侍タイ』大好きです。
参考までに2024年の個人的な映画ランキング
①『侍タイムスリッパー』
②『海の沈黙』
③『ミッシング』
④『僕が生きてる、ふたつの世界』
⑤『ラストマイル』
外国映画
①『トラップ』
②『めくらやなぎと眠る女』
③『インサイドヘッド2』
④『リトル・リチャード アイ・アム・エヴリシング』
⑤『オッペンハイマー』
別格で『ドル三部作』のリバイバル上映
観たい作品がいっぱいあったのに、地方での上映がない作品が多いのが悲しいです。
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