表通りの裏通り

~珈琲とロックと道楽の日々~
ブルース・スプリングスティーンとスティーブ・マックィーンと渥美清さんが人生の師匠です。

Road Diary~Eストリート・バンドに愛をこめて

2024-10-29 13:27:26 | ブルース・スプリングスティーン

先週25日より待望の配信が始まったブルースの最新ドキュメンタリー作品『ロード・ダイアリー』。表題の通り、昨年からのツアーの裏側を記録した作品という触れ込みだったけど、ブルースとEストリーターの歴史に迫る濃密な50年の物語です。

Road Diary: Bruce Springsteen and The E Street Band | Official Trailer | Hulu

普通、25日より配信となれば日付が変わった頃には観れる(聴ける)はずなのに、結局観れたのは25日の15時頃。これは本国への配慮なんでしょうか。

昨年2月に始まったインターナショナル・ツアー(当初はそう呼ばれていました)は、のっけから色々ありましたね。まだコロナ禍の名残もあり、メンバーが次々に感染しながらも何とかやりくりしながら継続。最終的にはブルース本人の体調不良から昨年秋以降のショウが大幅にリスケジュールされました。

巷では多くの同世代(何なら下の世代も)のミュージシャンたちがフェアウル・ツアーと銘打ってお別れ公演も真っ盛り。残念ながらエアロスミスは三公演を行った後にスティーヴンの喉の状態が思わしくなく中止となってしまいました。来春にはシンディがお別れ公演で久しぶりに来日するし、今年のビリーや昨年のエリック爺さん、ドゥービーズも”最後”とは言っていないもののこの先分かりませんよね。

上の世代では、ポール爺さんは相変わらず精力的に南米を回っていらっしゃいましたし、ローリング・ストーンズもそろそろツアー再開かな。

そんな状況を鑑みると、とても不安でした。昨年ブルースが病気療養に入ったときには「もしかしたらもうおしまいかも」と一瞬覚悟しました。

でも今回、劇中でブルースは高らかにこう宣言してくれました。

動けなくなるまで続ける。バンドが付いてきてくれる限り続ける。そしてファンの待つ街に行く

だそうです。先月75を超えて後期高齢者の仲間入りは果たしたものの、まだまだお元気そうで安心しました。

 

しかし今回のツアー、今に至るまで(例外はいくつかあったけど)殆ど基本のセットリストは変えていません。前回2016年(特に後半のヨーロッパ)の『河』ツアーが変化自在の日替わりセトリだったのに比べると物足りなく感じたのも事実です。

それまでも近年のツアーでは、観客のリクエストに応えるカタチでサインボードを山のように抱えて、その場で演奏曲を決めて(多分リハもやっていないような久しぶりの曲とか)メンバーを困らせていました。この頃の話は劇中でメンバーが笑いながら回想していますが、本当に大変だったみたい。でもそれでもやっちゃうのが百戦錬磨のEストリート・バンドのスゴいところなんですよね。

それに対して現在のツアー。まだ音源が日本でもダウンロードできていた初期は毎公演落として聴いていました。しかしあまりにも代わり映えのしないセトリに、最初の数公演でダウンロードはやめました。バンドの結束(というか潤滑度合い)が回を重ねる毎に高まっていっているのは実感できたけど、これは「何か理由があるんじゃないの?」と、ずっと疑問に思っていました。

『ロード・ダイアリー』はその疑問にあっさり答えを出してくれました。

丁寧な構成で、感情や考えを伝えることに重きを置いて、語りたい物語を伝えるため。今までのツアーとは違うものである。

なるほど。そういうことか。

2023年2月。ツアー初日のタンパ公演(チケット持っていたのにどうしても行けず涙)。ウクライナの人たちへのエールとして、世界中で理不尽な抑圧を受けている人々を励ますために、これ以上のオープニング・ナンバーはないでしょう。

「ノー・サレンダー」。スティーヴのウクライナ・カラーのギターもそれを物語っていましたよね。

ブルースとEストリーターたちはそこから物語を紡いでいたのです。

数ある聴きどころ見せ場以外に、個人的に好きだった流れが「ラストマン・スタンディング」~「裏通り」への繋がりなんですが、ここにもとても大切なメッセージが込められていました。この意味を知ってしまった今は、涙失くしては聴けません。是非本編でご本人の言葉でご確認ください。

そしてそこからラストの「十番街」までのまるでジェットコースターのような(本人談)怒涛の展開はまさにEストリート・バンド。圧倒されます。

 

また、最新作の『オンリー・ザ・ストロング・サヴァイブ』からはアレサで有名な「ドント・プレイ・ザット・ソング」とコモドアーズの「ナイトシフト」が選ばれ、大所帯のEストリート・クワイアが華を添えてくれています。どちらもライヴ映えする曲(もっと聴きたいのがあるけど)ですが、「ナイトシフト」は単なる過去のソウルマンたちへのオマージュじゃなかったという深い意味にビックリしました。

ホントに今回は全ての曲に意味のある、まさに集大成的なツアーとなっているんですね。だからこそ本編の最後に「十番街」を置いてしっかりEストリートの歴史を締めくくっているわけですね。ここには今までなら「デトロイト」や「ツイスト」のようなカバー曲が鎮座していたけど、今回に限っては「十番街」以外考えられません。そして最後の最後に「夢で逢いましょう」。カンペキです。

 

『ロード・ダイアリー』には他にも見どころがいっぱいです。ニュース記事では読んだけど、はパティがご自分の病気について自ら語っているところは衝撃的でした。『河』ツアーの後半からあまり参加せず、今回も数える程しか参加していません。しかも一、二曲ブルースと共演する程度。扱いもゲストですもんね。一日も早い回復と無事をお祈りします。

さらに毎回異様すぎる盛り上がりをみせるバルセロナへの想い、ジェイクが語るおじさんへの想い、クラレンスやダニーも何度も登場して、あたかも未だ現役(もちろんそうですが)の如くバンドへの想いを語ったり、バンド・メンバーだけでなくEストリート・ホーンズの面々やクアイアたちもいっぱい話してくれているのが嬉しいですね。

 

最後にジム・モリソンの詩を引用して本編は終わります。

 

偉大なる創造者よ

この芸術を行うためあと一時間与えてくれ

この人生を完成させるため

 

何か集大成というには重すぎる言葉。ホントに終わるんじゃないの?という雰囲気ですが、先に引用した通り、動けなくなるまで続けるそうです。ファンが待つ街に行くために。

だったら来年は是非日本にきてきださい!ヨーロッパに負けない熱いファンがあなたを待っています。日本で本物のロックを見せてください!

 

Eストリート・バンドに愛をこめて。


「川の向こうでの会見」~「ジャングルランド」 Asbury Park

2024-09-18 10:16:07 | ブルース・スプリングスティーン

間違いなくスペシャルな、過去に例を見ないショウになるとは思っていたけど、まさかこんなにスゴいライヴ(通しては未見)になるなんて。

前半は予想通り『挨拶』からの曲が続き、全体を通しても初期のナンバーが目白押し。夢のようなセトリですね。

そして『河』ツアー2016のザ・ガーデンでリアルに体験した「川の向こうでの会見」~「ジャングルランド」という奇跡の繋がり。

当時気を失いかけました。『明日なき暴走』を締めくくったジャズからロック・オペラへの流れ。最高です。正直あまり野外には合わなそうだけど。

Bruce Springsteen - Meeting Across the River / Jungleland - Asbury Park - September 15, 2024

この奇跡のおかげで「裏通り」がオチたのかも知れませんが、それでもアズベリー・パークのための珠玉の名曲のオンパレード。

早速プレイリスト作って流して聴いていますけど、なんて心地よいんでしょう。

Setlist

1. Lonesome Day
2. Blinded By The Light (tour debut)
3. Does This Bus Stop At 82nd Street (tour debut)
4. Growin' Up
5. The Promised Land
6. Spirit In The Night
7. Thundercrack (tour debut)
8. The E Street Shuffle
9. 4th Of July, Asbury Park (Sandy) (tour debut)
10. Hungry Heart
11. Local Hero (tour debut)
12. Atlantic City
13. Tougher Than The Rest (with Patti Scialfa)
14. Long Walk Home
15. Racine In The Street
16. Because The Night
17. She's The One
18. Wrecking Ball
19. The Rising
20. Badlands
21. Thunder Road
22. Meeting Across The River (tour debut)
23. Jungleland (tour debut)
24. Born To Run
25. Rosalita (Come Out Tonight)
26. Bobby Jean
27. Dancing In The Dark
28. Tenth Avenue Freeze-Out
29. Twist And Shout
30 Jersey Girl (tour debut)
 
これは是非とも映像作品にしてリリースして欲しいです!お願いブルース!
 

Got a wife and kids in Baltimore, Jack

2024-09-17 16:20:53 | ブルース・スプリングスティーン

こんなオープニングは反則です。

いくらバルティモアに妻と子どもがいるからって...

しかもそれに続けて「愛しのシェリー」だなんて...会場にいたら失神しますね。

Springsteen - Hungry Heart / Sherry Darling - Baltimore - September 13, 2024

そしてこの魅惑のセットリスト。このツアーの基本線は押さえながらアレもコレも。楽しそうですね。

Setlist

1. Hungry Heart

2. Sherry Darling

3. Lonesome Day

4. No Surrender

5. Ghosts

6. The Promised Land

7. Darlington County

8. Reason To Believe

9. Atlantic City

10. Youngstown

11. Long Walk Home

12. E Street Shuffle

13. Nightshift

14. Racing In The Street

15. Last Man Standing

16. Backstreets

17. Because The Night

18. She's the One

19. Wrecking Ball

20. The Rising

21. Badlands

22. Thunder Road

23. Born To Run

24. Rosalita (Come Out Tonight)

25. Bobby Jean

26. Dancing In The Dark

27. Tenth Avenue Freeze-Out

28. Twist and Shout

29. I'll See You In My Dreams

 
しかしこの数日後、ブルースとEストリーターは、地元アズベリー・パークでもっとスゴいことをやっちまったのでした。
 
映像作品として出してくれないかなぁ。
 

 


行けるかな?

2023-02-25 23:12:12 | ブルース・スプリングスティーン
学校行事の関係でどうしても日程が合わず、諦めていたブルースのスタジアムツアー地元ニュージャージー公演。

でも予想通り追加公演が発表され、無事争奪戦を勝ち抜きました!



前回ニュージャージーでブルースのショウを観たのは、93年の『ヒューマン』ツアー。しかもジャイアンツ・スタジアムではなく、当時のBRENDAN BYRNE ARENA。しかもEストリート・バンドじゃなかったし(それはそれで貴重でしたが)。

以降(それ以前もか)幾度となく名演・熱演、ドラマの生まれた現メットライフ・スタジアムでEストリート・バンドをバックにしたブルースのショウを観るのは長年の夢でした。
前回の『河』ツアー2016の通称「メッドライフ・マッドネス」と称されたスリーデイズは、直前に「MSGでブルースを観る」という夢を達成させたばかりで、ある意味満ち足りていた(大豪雪のせいで2ヶ月で2往復したせいでもあるけど)のでスルーしてしまいました。
しかし、後日オフィシャル・リリースされた音源を聴いて衝撃を受けました。

やはりブルースはメットライフで観なきゃ絶対現世に未練が残る

…と、次なるチャンスを待っていたらコロナ。

そしてようやく始まった2023ツアーは、初日の切符を持っていたのに諸事情により断念。

最初に発表されたスタジアムツアーのメットライフ公演は日程が合わず…

…と、思っていたら(ちょうど次のNYとの間がキレイに空いていたので)追加公演の発表。

これは運命ですね。

さてさて、どうなることやら。乞うご期待!