仙台から名画座、俗にいう二番館や三番館が無くなって久しいですが、先日の『スピルバーグIMAX映画祭』(コンプリートできました!)や、その直前にひっそりと開催されていた、『70/80年代フランシス・F・コッポラ特集上映』(これは全敗)など、リマスターされて蘇った過去の名作を劇場で観返す機会は確かに増えました。
音楽もそうですけど、キレイにしたら良いってもんじゃないような気がしませんか?(※あくまでも個人の感想です)
音楽で言えば例えばドミノスの『いとしのレイラ』やオールマンズの『フィルモア』、ブルースの『青春の叫び』や『明日なき暴走』だって最初聴いたときからのモコモコ籠った感じに慣れて(そういうもんだと思っていたから)いて、後年リマスターが出る度に買い増し(何度買わせるつもりでしょうか)し、改めて比べて聴いては愕然としていました。これは良い意味悪い意味両方ありますが、今回は割愛します。
映画も過去作のリマスター花盛りで、昨年リバイバルされた『荒野の用心棒』の画像と音のキレイさには衝撃を受けました。大好きな『男はつらいよ』シリーズもリマスターされて、映像は勿論音にビックリしました。山田監督お得意の画面いっぱいに集まった団らんのシーンなんかでは、みんな好き勝手に喋るから良く聞き取れないセリフもいっぱいありました。それがスッキリして、例えば手前で寅さんとおいちゃんが言い争っている後ろでおばちゃんたちが侃々諤々しているセリフまで聴こえるようになり、「あーここでこの人はこんなセリフ喋っていたんだ」という新たな発見がありました。これは嬉しいリマスターの一例です。
しかし今回僕が訴えたいのはそこではなく、先週までのスピルバーグ映画祭も、今上映中のフィンチャー監督の大傑作『セブン』も4KリマスターIMAX上映。特別料金プラスIMAX代¥600で計¥2,100.『ジュラシック』に至っては3Dだったからプラス¥500(3Dメガネ忘れたから).ま、飛び出すTレックスを満喫させて頂きましたけど、ちょっと高くないですか?
「午前10時の映画祭」は良心的な入場料で観れるけど(来月の『アメ・グラ』は絶対行きます!)上映開始時間が何ともビミョーなのが玉にキズ。
今や時代はBlu-ray等のソフトを通り越して配信で映画を観る時代。ロードショウから3、4ヵ月で新作がどこででも格安で観れるという(昔の僕だったら)まさに夢のような時代。そんなラクチンな時代にわざわざ映画館に足を運んで¥2,000以上のお金を払って映画を観るってスゴいことだと思いませんか?
僕も「映画を観る」って行為にはもっと特別感が欲しいので、やはり映画館の暗がりで腰を据えて観たいんです。たまたま我が家は徒歩圏内に駅前のシネコンがあるし、そう遠くない範囲にもシネコンが点在している好環境。
「年間50回以上映画館で映画を観る」のを目標(今年は今のところ8本。まずまずのペースです)にしている手前もあり、配信にはちょっと抵抗があります。とは言え”新しい映画の観方”としては大いにアリだと思っています。だから否定はしません。
昔はロードショウが終わると二番館に回されて、意外な作品と抱き合わせで、しかも安く映画を観ることができました。見逃していた作品やノーマークだったのに目当ての映画より面白かった作品があったり。楽しかったなぁ。仙台の名画座は僕の記憶では¥300の頃から。ドアを開けるとタバコの煙で全く中が見えなかった...なんてことも。高校生の頃改装されて、それでも¥500でした。
映画を観るためだけに(鈍行で)東京の二番館・三番館にも良く行きましたねぇ。¥500くらいで『ゴッドファーザー』1&2連続上映。トータル約7時間!とか。最高すぎませんか?
当然二番館の上映環境はヒドいもんでした。映写機だって銀幕だって古いし、使い回されているからフィルムもタランティーノ監督の『グラインドハウス』のようにキズだらけだし、コマ飛びもしょっちゅう。さすがに『ラ・ラ・ランド』の劇中のようにフィルム(『理由なき反抗』が焼けて上映中止というハプニングには遭遇したことないけど、フィルムが切れて一時中断ってのは何度かあった記憶があります。
ロードショウ館だって今と比較したら上映環境はどこも良いとは言い切れませんでしたね。仙台の映画館は古いのが多かったから、シートはあんこがへたってカチカチ。これは駅前の某A劇場の思い出。長尺物はキツかった。壁も薄いから、静かなシーンになると隣のゲーセンの音や隣で上映中の映画の音が聞こえてくるなんてことも。あ、これも駅前の某H会館の思い出です。
どこの劇場も基本画面は暗かったですね。『地獄の黙示録』のように暗いシーンばかりの作品は、初め何が映っているのか分からなかったほどです。内容も当時中学校に上がったばかりの子どもには難解すぎました。
シネコンと違い、当時は余程のことがなければ入れ替えもなかったから、朝から晩まで同じ映画をずっと観ていても誰にも(親は文句タラタラ)文句言われなかったし、劇場の方と顔見知りになって途中ご飯食べに行って戻ってまた入れてもらったり。
やっぱり映画館は僕にとって特別な場所でした。もちろん今も。
だからこそ「〇〇周年記念特別上映」とかリマスター、IMAX上映も良いけど、二番館的な劇場の復活を望みます。二本立てで¥700くらいで観れたら嬉しいなぁ。
【IMAX初上映】映画『セブン』4K版予告 2025年1月31日(金)期間限定公開
『セブン』も30年前に観た暗~いバージョンで観たいです。