表通りの裏通り

~珈琲とロックと道楽の日々~
ブルース・スプリングスティーンとスティーブ・マックィーンと渥美清さんが人生の師匠です。

Where were you in '62~弥生の裏通り

2025-02-26 17:46:56 | 焙煎珈琲裏通り

Where were you in '62? 「1962年、あなたはどこにいましたか?」

このキャッチコピー最高です。『ストリート・オブ・ファイヤー』のA Rock & Roll Fable. 「ロックンロールの寓話」と双璧だと思いません?

1962年。67年生まれの僕はまだこの世に存在していませんが、もし生まれ変われるならばここに行きたいです。

【アメリカングラフィティ】 劇場版予告

小学六年生のときに初めて観て以来、僕をアメリカかぶれにしてロックンロールの楽しさを教えてくれた、まさに人生のバイブル『アメリカン・グラフィティ』が、”午前十時の映画祭”に登場です!

中学生の頃に手に入れた『アメグラ』のサントラは、文字通りすり減るまで聴きまくったし、歌詞をカタカナで書いて覚えていました。

高校生の頃はビデオで夏休み中毎朝観ては、まだ見ぬアメリカへの憧れに胸を焦がしていました。どうしても映画館で観たくてリバイバル上映を東京まで観に行ったっけなぁ。

 

【弥生の裏通り】※3月15日改定!詳細はFACEBOOKページにて

15日以降の予定が色々変わっています。ご注意ください。


『敵』

2025-02-20 15:38:08 | 映画

19日は僕にとって特別な日なので映画を観に行くって殆どないんですが、昨日はいつものルーティンを崩して『敵』を観てきました。

以前観た予告編がとても面白そうだったのと、長塚京三さんをはじめとする俳優陣が気になったから。

第37回東京国際映画祭 3冠!1月17日(金)公開映画『敵』本予告

映画は長塚さん演じる主人公(77歳の独居老人)のありふれた日常を、モノクロームの映像の中で淡々と描いていきます。

蓄えと日々の生活費を計算しつつ、自らのXデーを決めて毎日バラエティ豊かな食事を作って独り楽しむ...と文字だけで見ると何か充実した老後のようですが、井之頭五郎もとい渡辺儀助流”孤独のグルメ”の見せ方が素晴らしくてどれも美味しそうでした。日々の食事にも手を抜かない、フランス文学の権威(だから融通が利かないし人付き合いがあまり上手じゃない)だった元大学教授渡辺儀助さん。レバーの血抜きのために牛乳に浸したり、焼き鳥の仕込みも冷麺作りも一切の妥協ナシ。ハムエッグ(しかも最後に水を加えて蒸し焼き!)や鮭の切り身をの焼く音や珈琲豆を挽く音、そして常に独りだから咀嚼する音と、食事のあと(珈琲を飲む前に!)必ず行う歯磨きのシャカシャカ音までもが儀助さんの”孤独のグルメ”を盛り上げてくれます。やはり映画の「音」ってとても重要ですよね。だから映画はやっぱり映画館で。

この一連のシーン、モノクロームだからもちろん色はついていませんが、とっても色鮮やかに独居老人の日常を映し出してくれます。一応物語は季節ごとのパートに分かれていて、儀助さんの人生の終わりを冬に持ってくるかと思いきや...。映画は徐々にサスペンスのような雰囲気に。

パンフレット内の吉田大八監督のインタビューにもあるように「いつの間にかモノクロであることを忘れた観客の想像力をMAXび起動させて...」と、ホントに白黒映画であることを忘れてしまいます。この辺の演出は実にお上手で、長塚さんの名演も相まって引き込まれていくこと請け合いです。

注:吉田監督に危うくダマされそうになるけど、本作品はモノクロームの映画です。

そんな色(色んな意味で)のない儀助さんの生活の中に彩を与えてくれるのが、思い出したかのように突然訪ねてくる元教え子の康子さん(滝内公美さんが艶っぽくてキレイ!)と、たまに儀助さんが訪れるバー「夜間飛行」を手伝う歩美ちゃん(河合優実さんの圧倒的な存在感。長塚さんと互角に渡り合っています)。そして要所要所で現世に出てくる死んだ奥さま信子さん(黒沢あすかさんハマってます)。

この三人の女性に翻弄され、現実と妄想の世界を行ったり来たりする儀助さんの様子が、タイトルにもなった『敵』の存在と複雑に絡み合って目が離せなくなるのです。

そうして観客は、穏やかな生活で”敵”なんていそうもない、前半のゆったりとした一見平和な余生を過ごす独居老人の他愛もない描写から、観ているうちに気がつけば現実と妄想の世界を行き来する儀助さんと同化しちゃっていることでしょう。これも長塚さんの名演技の賜物であり、刷り込まれていたCM(後述します)の主人公のせいでもありますが、きっと観た方には僕が何を言いたいのか分かって頂けるはずです。すみません。語彙が乏しくて。

 

そして観終わったあとの感想。

この作品、一言で括るとジャンルは何だろう?やっぱりサスペンスなのかな。あとからジワる映画です。

落ち着いたら筒井康隆さんの原作を読んでみよう。

 

追伸

長塚さんと言えばウイスキーのCMのイメージが強くて、ちょっとYouTubeで探してみました。

https://youtu.be/XmfLDpIZTY0?si=R0OFnBEbSKQd0eiw

もう30年も前の名作CM「恋は、遠い日の花火ではない。」。このキャッチ素晴らしいですね。

若い女性に翻弄される若き日の長塚さん。既視感があるとおもったらやっぱり何となく繋がっていました(個人の感想です)。このまんま歳とって儀助さんになったみたい。

 


1990年2月17日

2025-02-17 19:40:00 | ローリング・ストーンズ
今から35年前(この日生まれた方も中年の仲間入り)、ホンモノのローリング・ストーンズを初めて体験しました。




来日公演3日目。仕事の都合で僕の初日はこの日になってしまいましたが、あの日の興奮・感動・衝撃は一生忘れることはありません。まるで昨日のことのように思い出は蘇ってきます。

開演予定時間の2時間も前に開場した水道橋にある日本初の屋根付き野球場(名前を口にするのも憚れる)の一階スタンド席は、すでに半分近くが埋まっていたような覚えがあります。チケット代も当時では破格の10,000円!まだ景気のよかったニッポンだったせいか、その値段にも関わらず10日間の公演は完売。にわかファンもわんさか出現して、あの頃のニッポンは“ストーンズ・フィーバー”に湧きかえっていましたよね。

35年前だからまだ弱冠23歳。周りは幻の初来日公演に行くはずだった世代の先輩方ばかり。全国各地から水道橋の屋根付き野球場に結集したスタンド席のファンの熱量はスゴかったですよ。
アリーナの前方はローリング・ストーンズに興味のない、スポンサー枠の背広組だらけ。一部にはファンの方もいらしたんでしょうけど、遠く離れたスタンド席からは全く盛り上がっているようには見えませんでした。
この辺の“ストーンズ狂想曲”は、98年に新潮社から発行された『ROLLING STONES NEVER STOP』におもしろおかしく書かれていますので、是非一読願います。寝てたアホもいたようです。

開演予定時間を大幅に過ぎて場内が暗転。とは言っても当時のあの野球場は通路に幕張っていなかった記憶があります(違うかな?)ので、ド暗転じゃなかったかも。そしてオープニング・イントロの「コンチネンタル・ドリフト」が流れ、場内の期待と緊張と興奮は最高潮に。一瞬の静寂があって花火が火を噴いて「スタート・ミー・アップ」。

初来日公演を観に行った大半の方は“ナマ”ローリング・ストーンズ初体験だったはず。だからストーンズ🟰「スタート・ミー・アップ」と言うファンは多いのでは?かく言う僕もその一人ですけど。

セットリストは10日間ほぼ変わらずで、「プレイ・ウィズ・ファイヤ」「悲しみのアンジー」と当時の新曲「オールモスト・ヒア・ユー・サイ」が何度か入れ替わったくらい。このツアーは2回しかチケットが取れなかった(仕事も忙しくて東京にいなかった)ので、2回とも「オールモスト」だったのは残念。ようやく「アンジー」と対面したのは95年の『ブードゥー』ツアーでした。ま、「アンジー」がとり立てて好きなわけじゃありませんが、初来日公演のときに一回くらい聴きたかったです。
今だに残念なのは5日目だけ披露された「リトル・レッド・ルースター」が聴けなかったこと。ツアー後に出たライヴ盤『フラッシュ・ポイント』にも収録されたアトランティック・シテイ公演(エリック・クラプトン客演)バージョンがめっちゃカッコ良かったから余計に悔しい気持ちが残っています。
ついでに言うとアトランティック・シテイにゲストで登場したジョン・リー・フッカーさん。カッコ良すぎます。当時73歳!それでも今のミックとキース、なんならロニーよりも若かったという衝撃の事実に改めてビックリですが。
もっとついでに言うと、このバンドとしても久しぶりのツアーは、まだ40代のキースの“キメ”のアクションがたまらなくカッコ良いんですよね。
もっともっとついでに言うと、この後のツアーではスーツをビシっと着こなしていたチャーリーも、アトランティックのときの服装がエンジのスポーツシャツにベストと言う、現場の人のような佇まいが大好きです。

そんなわけで今日は朝からローリング・ストーンズ一色の裏通りでした。

先日SNSに「今年何年振りかの英国公演の予定だったけど、諸般の事情により中止になった。ついでに予定されていた欧州公演も無くなった…」みたいな記事が上がっていましたが、事実どうなんでしょう?

ツアーはあるんでしょうか?まさか12年前の来日公演が最後なんてことはないよね?ミック?キース?


水道橋の駅前で買ったブートのテレフォンカード。宝物です。

こっちは多分正規品の缶バッジ。これも宝物です。




二番館の復活を夢見て 【IMAX初上映】『セブン』

2025-02-13 10:19:29 | 映画

仙台から名画座、俗にいう二番館や三番館が無くなって久しいですが、先日の『スピルバーグIMAX映画祭』(コンプリートできました!)や、その直前にひっそりと開催されていた、『70/80年代フランシス・F・コッポラ特集上映』(これは全敗)など、リマスターされて蘇った過去の名作を劇場で観返す機会は確かに増えました。

音楽もそうですけど、キレイにしたら良いってもんじゃないような気がしませんか?(※あくまでも個人の感想です)

音楽で言えば例えばドミノスの『いとしのレイラ』やオールマンズの『フィルモア』、ブルースの『青春の叫び』や『明日なき暴走』だって最初聴いたときからのモコモコ籠った感じに慣れて(そういうもんだと思っていたから)いて、後年リマスターが出る度に買い増し(何度買わせるつもりでしょうか)し、改めて比べて聴いては愕然としていました。これは良い意味悪い意味両方ありますが、今回は割愛します。

映画も過去作のリマスター花盛りで、昨年リバイバルされた『荒野の用心棒』の画像と音のキレイさには衝撃を受けました。大好きな『男はつらいよ』シリーズもリマスターされて、映像は勿論音にビックリしました。山田監督お得意の画面いっぱいに集まった団らんのシーンなんかでは、みんな好き勝手に喋るから良く聞き取れないセリフもいっぱいありました。それがスッキリして、例えば手前で寅さんとおいちゃんが言い争っている後ろでおばちゃんたちが侃々諤々しているセリフまで聴こえるようになり、「あーここでこの人はこんなセリフ喋っていたんだ」という新たな発見がありました。これは嬉しいリマスターの一例です。

 

しかし今回僕が訴えたいのはそこではなく、先週までのスピルバーグ映画祭も、今上映中のフィンチャー監督の大傑作『セブン』も4KリマスターIMAX上映。特別料金プラスIMAX代¥600で計¥2,100.『ジュラシック』に至っては3Dだったからプラス¥500(3Dメガネ忘れたから).ま、飛び出すTレックスを満喫させて頂きましたけど、ちょっと高くないですか?

「午前10時の映画祭」は良心的な入場料で観れるけど(来月の『アメ・グラ』は絶対行きます!)上映開始時間が何ともビミョーなのが玉にキズ。

今や時代はBlu-ray等のソフトを通り越して配信で映画を観る時代。ロードショウから3、4ヵ月で新作がどこででも格安で観れるという(昔の僕だったら)まさに夢のような時代。そんなラクチンな時代にわざわざ映画館に足を運んで¥2,000以上のお金を払って映画を観るってスゴいことだと思いませんか?

僕も「映画を観る」って行為にはもっと特別感が欲しいので、やはり映画館の暗がりで腰を据えて観たいんです。たまたま我が家は徒歩圏内に駅前のシネコンがあるし、そう遠くない範囲にもシネコンが点在している好環境。

「年間50回以上映画館で映画を観る」のを目標(今年は今のところ8本。まずまずのペースです)にしている手前もあり、配信にはちょっと抵抗があります。とは言え”新しい映画の観方”としては大いにアリだと思っています。だから否定はしません。

昔はロードショウが終わると二番館に回されて、意外な作品と抱き合わせで、しかも安く映画を観ることができました。見逃していた作品やノーマークだったのに目当ての映画より面白かった作品があったり。楽しかったなぁ。仙台の名画座は僕の記憶では¥300の頃から。ドアを開けるとタバコの煙で全く中が見えなかった...なんてことも。高校生の頃改装されて、それでも¥500でした。

映画を観るためだけに(鈍行で)東京の二番館・三番館にも良く行きましたねぇ。¥500くらいで『ゴッドファーザー』1&2連続上映。トータル約7時間!とか。最高すぎませんか?

当然二番館の上映環境はヒドいもんでした。映写機だって銀幕だって古いし、使い回されているからフィルムもタランティーノ監督の『グラインドハウス』のようにキズだらけだし、コマ飛びもしょっちゅう。さすがに『ラ・ラ・ランド』の劇中のようにフィルム(『理由なき反抗』が焼けて上映中止というハプニングには遭遇したことないけど、フィルムが切れて一時中断ってのは何度かあった記憶があります。

ロードショウ館だって今と比較したら上映環境はどこも良いとは言い切れませんでしたね。仙台の映画館は古いのが多かったから、シートはあんこがへたってカチカチ。これは駅前の某A劇場の思い出。長尺物はキツかった。壁も薄いから、静かなシーンになると隣のゲーセンの音や隣で上映中の映画の音が聞こえてくるなんてことも。あ、これも駅前の某H会館の思い出です。

どこの劇場も基本画面は暗かったですね。『地獄の黙示録』のように暗いシーンばかりの作品は、初め何が映っているのか分からなかったほどです。内容も当時中学校に上がったばかりの子どもには難解すぎました。

シネコンと違い、当時は余程のことがなければ入れ替えもなかったから、朝から晩まで同じ映画をずっと観ていても誰にも(親は文句タラタラ)文句言われなかったし、劇場の方と顔見知りになって途中ご飯食べに行って戻ってまた入れてもらったり。

やっぱり映画館は僕にとって特別な場所でした。もちろん今も。

だからこそ「〇〇周年記念特別上映」とかリマスター、IMAX上映も良いけど、二番館的な劇場の復活を望みます。二本立てで¥700くらいで観れたら嬉しいなぁ。

【IMAX初上映】映画『セブン』4K版予告 2025年1月31日(金)期間限定公開

『セブン』も30年前に観た暗~いバージョンで観たいです。


6弦が紡ぐ音楽の祭典

2025-02-07 11:00:29 | Blues

一つの作品を長く上映して育てようという気が全くない(お客さん入らないから仕方がないんだけど)仙台圏のシネコン。

この待ちに待った作品もたった一週間で打ち切られてしまいました。しかも夜の上映は一回のみ。連日11時台という、観て欲しい対象者が全く分からない時間帯で「とりあえず空いてる時間にかけてやっから観にくれば」感がいっぱい。

さらに公式サイトで”今回のクロスロード・ギター・フェスティバル2023の上映を記念して、クロスロード・フェスティバルのロゴをあしらったプレミアムなグッズとポスターを劇場で販売いたします。”と、謳っているのに売らないし。

同じ映画を複数のスクリーンで流すのも結構だけど、一定数は存在する好きモノにも人権を!

【予告編映像】エリック・クラプトン “クロスロード・ギター・フェスティヴァル2023”

とは言え、やはり昨日の最終上映も寂しい限りのお客さんの入りでした。

でも、エリック爺さん前回の来日公演後の秋に、4年ぶりに二日間にわたって開催されたクロスロード・ギター・フェスティバルの模様を二時間に凝縮したこの作品は見どころ十分でした。

オープニングのMC、ビル”ゴーストバスターズ”マーレイさんのさすが貫禄の観客煽りから、爺さんを呼び込んでの小芝居。そこから延々と現代を代表する様々なジャンルのギタリストたちの6弦が紡ぐ音楽の祭典が続きます。

とは言え、音楽の守備範囲が晩年の金本並みに狭い僕は、正直半分以上「初めまして」な方々ばかりでした。「お名前だけは存じ上げておりますが...」とか「名前と顔が初めて一致した」方々などの登場は新鮮だし、何よりクロスロードに呼ばれるだけのテクニシャン揃いでお腹一杯になりました。食わず嫌いはいけませんね。何人かのアーティストの超絶プレイには涙が流れてきましたし。メモしながら観るのを忘れてしまったから名前が分からず悔しいです。こういう作品こそ、パンフレットの販売をして欲しいですね。

 

シェリル・クロウとジョン・メイヤーの共演、 久しぶりに拝見したら相当お歳を召していた(けど元気そうな)タジ・マハールさん、スティーヴン・スティルスさんとエリック爺さんの共演には胸が熱くなったし、そこにジェイコブのザ・ウォールフラワーズが加わったステージは圧巻でした。ウォールフラワーズ、デビュー当時は何枚かアルバム聴いていましたねぇ。

でも僕が一番ワクワクしたのはやっぱりラストの3曲。

サンタナさんの熱すぎるステージ、そしてロビー・ロバートスンさんに捧げた「イット・メイクス・ノー・ディファレンス」。

さらにこのクロスロードはこのためにあったと言い切って良いでしょう。スティービー御大の登場で一気に会場の雰囲気が変わり、異様な盛り上がりの中スタートした「クロスロード」。トリハダものでした。

弾いているんだか歌っているんだか分からない御大を、傍でずっとニコニコしながら見つめるネーザンとクリスさん。なんて温かいエンディングなんでしょう。

この「クロスロード」が観れて僕は幸せな気分で劇場を後にしましたとさ。