大好きな役者さんの一人、ジーン・ハックマンさんが亡くなりました。95歳。
1930年生まれなので、スティーヴ・マックイーン師匠やクリント・イーストウッド御大、ショーン・コネリーさんらと同い年です。
ハックマンさんはやはり70年代の役者さんのイメージが強いけど、御大渾身の一作『許されざる者』の保安官リトル・ビル役は最高でした。主演のクリント御大が良い人のようなイメージを持つけど、マニーこそが元残虐な犯罪者で過去を悔いている男。この一見逆に見える構図が作品に深みを出しています。
保安官リトル・ビルの職務に忠実すぎるが故の残忍さ。よそ者を極端に嫌うけど老後のために自分で家を建て、穏やかな老後を過ごすはずだったのが、あのラストの大殺戮シーンになり、ビルの最期のセリフが「何で俺が...家を建てたばかりなのに...」。こんな役ハックマンさんにしかできません。
自分の街を守るためには過剰な暴力も辞さないーみたいな頑固さは、大傑作『フレンチ・コネクション』のポパイ・ドイル刑事に繋がっているような気がしませんか?
『フレンチ・コネクション』。ウィリアム・フリードキン監督にとっても最高の作品。ザラっとした寒々しい画面(実際冬のニューヨークは極寒だし)の中をひたすら走り回って殴りまくって暴言吐きまくって犯人を追い詰める。一瞬たりとも気を抜けない緊張感溢れる刑事映画の最高峰。
狙った犯罪組織のヤツらが高級フレンチに舌鼓を打っている店の外(めっちゃ寒そう)で、相棒クラウディと震えながらホットドッグを齧るシーンが大好きです。
やはりハックマンさんの声は小池朝雄さん(または石田太郎さん)、ロイ・シャイダーさんは羽佐間道夫さんですよね?
しかも『フレンチ』はジョン・フランケンハイマー監督の続編も濃厚で面白いし、『ポセイドン・アドベンチャー』での神さまに悪態をつくスコット牧師、アル・パチーノと共演した『スケアクロウ』の荒くれマックスとか、『スーパーマン』シリーズのレックス・ルーサーなんて楽しそうに演じていましたよね。そんな見た目風貌のせいか優しい人(どの役も人情味があって根は優しいけど)が似合わない役者さんでしたね。
晩年(80年代以降)では『ミシシッピー・バーニング』や『ザ・ファーム』『クリムゾン・タイド』も良かったなぁ。
中学生の頃、この世代の役者さんたちに胸を焦がしていた、僕の思い入れたっぷりな時代のヒーローたちがどんどん鬼籍に入っていきます。
仕方のないことだけど、やっぱり寂しいなぁ。
この映画のイメージとは似つかわしくないデザインのポスター大好きです。
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