
沢田研二といえば俺にとってはスーパースターだ。
タイガースの頃は知らない。ソロになってからのジュリーからしか知らないが憧れのスターだ。
周りが百恵だ淳子だピンクレディだキャンディーズだと、女性アイドルの切り抜きを下敷きに挟んでた頃も、俺の部屋の壁には沢田研二のポスターが貼ってあった。言っておくが俺はゲイでも男色家でもない。
その圧倒的な歌唱力、パフォーマンスに「カッコイイ!」と憧れた。
傷だらけの天使の萩原健一、探偵物語の松田優作と共に俺のアイドル(?)だったのよ。


そう、樹木希林が某ドラマでポスターに向かって「ジュリ〜」って言ってたのと同じ感覚ね。(因みに石野真子も「ジュリーがライバル」って曲をリリースしてる)
その沢田研二がコンサートのドタキャンをした。
10月17日にさいたまスーパーアリーナ行われる公演を、開演直前に中止。
理由は簡単に言えば9000人入ってるとプロモーター側は言ってたのに、実際は7000人くらいしかチケットが売れておらず、リハの時点で潰された客席を見てやる気が失せたってことらしい。
これについてマスコミは喧々諤々。ネットでは沢田研二について批判的なコメントが多い。
「お客様きてんねんからやれよ」とか
「横暴だ」とか
「交通費や宿泊費かけてきてる人もいるのに」とか
「振替公演すれば許されるってもんじゃないだろう」とか。
でもね、これ批判してる人って、当日会場まで足を運んだ人?沢田研二のコンサートを毎年行ってる人?多分違うだろうな。一度も行ったことがないやつらかただ単に批判したいだけの関係ない人だろう。
ダイアモンド☆ユカイがこのコンサートに行く予定だったのだが、彼は「えっ!!中止なの?!ガーーーン。残念」くらいしかブログに書いてないぞ。これがファンの反応だろうさ。何を関係ない人間が横からワーワー言ってんだか。
アーティストの体調不良でドタキャンになった時もそう言うの?
台風とかが近づいてる時に主催者側が当日開催諦めた時もそう言うの?
これと今回の「契約上の問題が発生したため、中止とさせていただきます」は何が違うの?これをジュリーのわがままだという人がいるが、何が違うのか俺にはわからん。
埼玉スーパーアリーナは座席配置によって5000人〜3万6000人収容できる。
ジュリー曰く「9000人集めたと言いながら7000人しか集まっていない。リハの際にモニターを見たら座席に一部エリアが資格でもないのに潰してあって『なんじゃこれは』ってなって、最終的に自分で決めた」そして「この結論を下したのは意地でしかない」と。
主催者側はギリギリまで土下座してまで懇願したが、さすがに今回はできないと思ったんだろう。
全盛期ならいざ知らず、「今の沢田研二にはさいたまスーパーアリーナを埋めるだけの集客力がなかった」ってのも本人は言っている。
2004年にも沢田は茨城水戸でのコンサートで800人くらいしか集まらなかったことでドタキャンをしてる。
全66公演に及ぶ大規模な古希記念ライブツアー「沢田研二 70YEARS LIVE 『OLD GUYS ROCK』。初日は武道館でこれは人数かなり入ったみたいだが、他の会場はかなり小さいところばかり。それでも今の沢田研二の熱狂的なファンが複数のコンサート会場に足を運んでるのだろう。でも、さいたまスーパーアリーナはちょっと大きすぎたな。
2008年には還暦記念ドームコンサート「沢田研二 還暦記念コンサート 人間60年 ジュリー祭り」を開催し、東京ドームと京セラドーム大阪で約6時間半でフルコーラス80曲を歌いきるというライブをしている。両日で5万4000人を集めたらしい。単発で大きなホールでするのならまだまだ秋キャクッはできるのだろうが、小ホールを交えた全国ツアーになると、大きなホールの集客が結構大変なんだろう。
でもね、プロモーターとか主催者は会場押さえたのならなんとかしてでも観客呼ばなきゃダメよね。
以前バックステージ運営(会場設営やチケット販売)の会社でバイトをしてたことがあるのだが、全然集客できないライブの時は「何人か集めてくれない?」ってチケットを束で渡されて四苦八苦したことがある。某ロックバンド(アイドルとかに楽曲提供してたNから始まるバンド)の時はあまりにもガラガラすぎて、知り合い知人そこらでくすぶってるやつ総動員してなんとか開催って感じだったこともある。
さすがに沢田研二クラスになるとタダでチケットばらまくとかいかず、集客足りないけどなんとか開催したかったんだろう。会場所要量1000万はすでに支払われてたらしいから、キャンセルになるとえらい赤字になるんだろうな。
でもさ、演る側としては面白くないのよね。テンション上がらないのよねガラガラの客席って。
俺も講習とかで全国回ってたことがあるけど、集客できない代理店やディーラーだとガラガラなのよね。
でもさ、これって俺の知名度の問題でもあるのよね。当時テレビなんかでもてはやされてた「カリスマ」とかなら簡単に集客できるのかもしれないけどね。だから小さなスタジオで少人数であろうと、結構規模の大きい会場で満員であろうと同じようにやった。でも本音は満員の盛況ならノリノリだが、ガラガラの会場ではテンション低くなってたのも事実だ。
北海道や九州なんかでの開催はチケットをかなり精力的にさばいてくれたのか、いつも大人数だった。ありがたいことだ。名古屋や静岡、岡山、広島なんかもこんな無名の俺のために結構集めてくれた。
逆に姫路で「講師のネームバリューがなくて人が集まらない」って講習を急遽代理でやった時は、さすがにガラガラだったけど、それでも代理店やメーカー、などが必死に勧誘したのかな、開始時間過ぎてから結構集まってくれた。
韓国でショーをさせてもらった時も、まぁよくもこんなに集めてくれたなぁって感激したことがある。ソウル・明洞ではそこそこだったけど、地方では大盛況。思わず予定にはないことやサービスで時間オーバーしてもやっちゃうよ。
大掛かりなドームツアーや各地で行われてるフェスなんかでも、小さなライブハウスやホールでも、NPOや地元が開催するイベントも、結局は集客努力
なのよね。
今はSNSやホームページなんかがあるからこれも活用されてるけど、結局は主催者側がどれだけ熱意があるかってことだ。
黒字なるか赤字になるか以前に、ゲストや客をどれだけ満足させられるかだ。満足させられないのなら開催しないほうがいい。ドタキャンでもそれはそれで仕方がないだろう。
だから、今回沢田研二がドタキャンした理由もなんとなく理解はできる。
彼ほどのスーパースターにはなったことがないから、本当に理解できるかといわれたらちょっと困るのだが、少なくともステージに立つ身となればちょっとはわかる気がする。
沢田研二は今の若い子たちには理解できないだろうが、美空ひばりと同じく昭和を代表するスーパースターだと思う。
先述の通り俺はタイガースをリアルタイムでは知らない。俺が知ったのはスパイダースの井上尭之とテンプターズの萩原健一、そしてタイガースの沢田研二という当時の人気バンド3人が組んだPYGが全然当たらず自然消滅した後くらいからだ。

井上尭之のバンドをバックに数々のヒット曲や名曲を送り出す。テレビや雑誌で沢田研二を見ない日はなかった。
当時オーケストラをバックに歌うのが当たり前だった芸能界で、沢田研二が貫いたこのバンド形式を西城秀樹が憧れたのもわかる。実際西城秀樹はSHOGUNの芳野藤丸さん(井上陽水の【夢の中へ】や石川さゆりの【天城越え】のギター)を口説いてバックバンドとして弾いてもらった。それぐらい沢田研二は当時の芸能界・歌謡曲界では画期的で異端児だった。
壮大なロッカバラードである「あなただけでいい」(当時にしては珍しくかなり即興的な演奏がされている)
ギターイントロがなんとも切ない「時の過ぎゆくままに」(ちなみにベースはこの曲まで岸部一徳だ)
レコード大賞受賞曲の「勝手にしやがれ」(サザンオールスターズがデビュー曲のタイトルでパクったのは有名。もう一つはピンクレディの渚のシンドバッド)
「憎みきれないろくでなし」「サムライ」「ダーリング」、アニメ映画「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち]のエンディングでいきなりこれが流れて涙した「ヤマトより愛を込めて」。そしてウイスキーを口にふくんで霧のように吹く「カサブランカ・ダンディ」まで作詞:阿久悠/作曲・編曲:大野克夫のコンビ。
このほとんどの曲を、今の40-60代の人は知っているし口づさめるだろう。ミリオン・100万枚売れてようが売れてなかろうが、昭和の曲ってそういうもんだ。実際沢田研二も中森明菜も美空ひばりも山口百恵も100万枚のセールスシングルは一枚もない。
糸井重里の歌詞を風を受けてパラシュート背負い歌ってた「TOKIO」(TMレボリューションの西川の風はこれのオマージュだと思ってる)のインパクト。この曲を最後に井上尭之バンドではなく、ALWAYS、EXOTICSとバックバンドが変わった。
「渚のラブレター」や歪んだギターがなんともかっこいい「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」「麗人」、「おまえにチェックイン」、「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」というヒット曲を経て、全曲井上陽水作詞作曲のMis.CASTを発表。(「背中まで45分」や「JUST FIT」は陽水もセルフカバーしてる)
この辺りからテレビの露出は著しく減った。
東芝EMIに移籍しての第一弾「灰とダイヤモンド」なんか名曲なんだがほとんど売れなかったんじゃないかな。作詞作曲は李花幻(いいかげんをもじった沢田研二のペンネーム)だが、これのせいで沢田研二は在日じゃないかんなって噂を立てられてる。(沢田研二は鳥取県生まれで京都の高校を卒業)
ちなみに1982年のアン・ルイスのヒット曲、ラ・セゾンは作詞は三浦百恵(山口百恵)で作曲は沢田研二だ。
その後事務所の独立やなんやかんやあって沢田研二は表舞台から姿を消した。
とはいえ舞台はやっていて、久々のCMなんかでいきなり太った姿を見せつけられてちょっとびっくり。上野樹里主演の映画『幸福のスイッチ』でも、最初沢田研二とは分からなかったくらいだ。
それでも2010年までは毎年新曲(シングル)を出し、精力的にライブツアーも行っている。
ただ気になるのは最近は反原発や、反政治的な発言が多いこと。ライブでも結構過激な発言してるよね。
今回の件でもさいたまスーパーアリーナ(会場側)が取材に対し、「沢田研二サイドに重大な契約の問題が発生したため」と説明したことを、沢田研二が普段コンサートで行っている反原発の署名運動をしない約束を破って、当日行おうとしたことが原因では?なんて燻がる人もいる。これも例によって関係者からの証言ってやつだが、こういった証言するやつの実名と所属・役職はマスコミは明記してほしいな。捏造とか憶測だってもうバレバレなんだからね。
ミュージシャンが社会的な発言するのとか、結構嫌う人がいるけど俺は構わないと思うのよ。
松山千春が政治的なこと言おうが、彼の歌には関係ない。RCサクセションがCOVERSで原発非難しようが、斉藤和義が福島でセルフカバーで「ずっと嘘だったんだな」を歌おうが問題ない。愛だの恋だの、君だけをとか甘ったるい浮ついた歌詞の曲より、メッセージぶっこんだプロテスタントソングの方がよっぽどいい。反戦フォークで育ち、クラッシュやアナーキーでパンクに目覚めた俺にとってはね。
社会的なことを歌わず「産んでくれてありがとう」とか心地いい言葉を乗せる似非ラッパーより、インスタントな愛だの恋だのをバラードで歌う歌姫とかよりも、思ったこと、感じたことを歌詞にし、唄う人たちのほうがかっこいい。もちろんそれは全然セールスに結びつかないんだがね。
沢田研二は2011年の東北大震災へ鎮魂の意味をこめて2012年の3月11日に「3月8日の雲」という曲を発表してる。
これをどうこう言う奴がいるならThe BLUE HEATSの「チェルノブイリ」も批判してくれ。ミスチルの桜井がBank Bandでカバーした浜田省吾の「僕と彼女と週末に」も批判してくれ。
沢田研二は1979年に公開された映画『太陽を盗んだ男』で、原子爆弾を作る理科教師の役を演じてる。
「シン・ゴジラ」でもモチーフされてたこの傑作を観てから、論じてくれ。
話があっちゃこっちゃに行ってしまった(いつものことだが)10月21日は大阪SAYAKAホールでのライブがある。
こちらはちゃんと開催できるのか。ファンなら急げ。まだチケットはあるぞ。

タイガースの頃は知らない。ソロになってからのジュリーからしか知らないが憧れのスターだ。
周りが百恵だ淳子だピンクレディだキャンディーズだと、女性アイドルの切り抜きを下敷きに挟んでた頃も、俺の部屋の壁には沢田研二のポスターが貼ってあった。言っておくが俺はゲイでも男色家でもない。
その圧倒的な歌唱力、パフォーマンスに「カッコイイ!」と憧れた。
傷だらけの天使の萩原健一、探偵物語の松田優作と共に俺のアイドル(?)だったのよ。


そう、樹木希林が某ドラマでポスターに向かって「ジュリ〜」って言ってたのと同じ感覚ね。(因みに石野真子も「ジュリーがライバル」って曲をリリースしてる)
その沢田研二がコンサートのドタキャンをした。
10月17日にさいたまスーパーアリーナ行われる公演を、開演直前に中止。
理由は簡単に言えば9000人入ってるとプロモーター側は言ってたのに、実際は7000人くらいしかチケットが売れておらず、リハの時点で潰された客席を見てやる気が失せたってことらしい。
これについてマスコミは喧々諤々。ネットでは沢田研二について批判的なコメントが多い。
「お客様きてんねんからやれよ」とか
「横暴だ」とか
「交通費や宿泊費かけてきてる人もいるのに」とか
「振替公演すれば許されるってもんじゃないだろう」とか。
でもね、これ批判してる人って、当日会場まで足を運んだ人?沢田研二のコンサートを毎年行ってる人?多分違うだろうな。一度も行ったことがないやつらかただ単に批判したいだけの関係ない人だろう。
ダイアモンド☆ユカイがこのコンサートに行く予定だったのだが、彼は「えっ!!中止なの?!ガーーーン。残念」くらいしかブログに書いてないぞ。これがファンの反応だろうさ。何を関係ない人間が横からワーワー言ってんだか。
アーティストの体調不良でドタキャンになった時もそう言うの?
台風とかが近づいてる時に主催者側が当日開催諦めた時もそう言うの?
これと今回の「契約上の問題が発生したため、中止とさせていただきます」は何が違うの?これをジュリーのわがままだという人がいるが、何が違うのか俺にはわからん。
埼玉スーパーアリーナは座席配置によって5000人〜3万6000人収容できる。
ジュリー曰く「9000人集めたと言いながら7000人しか集まっていない。リハの際にモニターを見たら座席に一部エリアが資格でもないのに潰してあって『なんじゃこれは』ってなって、最終的に自分で決めた」そして「この結論を下したのは意地でしかない」と。
主催者側はギリギリまで土下座してまで懇願したが、さすがに今回はできないと思ったんだろう。
全盛期ならいざ知らず、「今の沢田研二にはさいたまスーパーアリーナを埋めるだけの集客力がなかった」ってのも本人は言っている。
2004年にも沢田は茨城水戸でのコンサートで800人くらいしか集まらなかったことでドタキャンをしてる。
全66公演に及ぶ大規模な古希記念ライブツアー「沢田研二 70YEARS LIVE 『OLD GUYS ROCK』。初日は武道館でこれは人数かなり入ったみたいだが、他の会場はかなり小さいところばかり。それでも今の沢田研二の熱狂的なファンが複数のコンサート会場に足を運んでるのだろう。でも、さいたまスーパーアリーナはちょっと大きすぎたな。
2008年には還暦記念ドームコンサート「沢田研二 還暦記念コンサート 人間60年 ジュリー祭り」を開催し、東京ドームと京セラドーム大阪で約6時間半でフルコーラス80曲を歌いきるというライブをしている。両日で5万4000人を集めたらしい。単発で大きなホールでするのならまだまだ秋キャクッはできるのだろうが、小ホールを交えた全国ツアーになると、大きなホールの集客が結構大変なんだろう。
でもね、プロモーターとか主催者は会場押さえたのならなんとかしてでも観客呼ばなきゃダメよね。
以前バックステージ運営(会場設営やチケット販売)の会社でバイトをしてたことがあるのだが、全然集客できないライブの時は「何人か集めてくれない?」ってチケットを束で渡されて四苦八苦したことがある。某ロックバンド(アイドルとかに楽曲提供してたNから始まるバンド)の時はあまりにもガラガラすぎて、知り合い知人そこらでくすぶってるやつ総動員してなんとか開催って感じだったこともある。
さすがに沢田研二クラスになるとタダでチケットばらまくとかいかず、集客足りないけどなんとか開催したかったんだろう。会場所要量1000万はすでに支払われてたらしいから、キャンセルになるとえらい赤字になるんだろうな。
でもさ、演る側としては面白くないのよね。テンション上がらないのよねガラガラの客席って。
俺も講習とかで全国回ってたことがあるけど、集客できない代理店やディーラーだとガラガラなのよね。
でもさ、これって俺の知名度の問題でもあるのよね。当時テレビなんかでもてはやされてた「カリスマ」とかなら簡単に集客できるのかもしれないけどね。だから小さなスタジオで少人数であろうと、結構規模の大きい会場で満員であろうと同じようにやった。でも本音は満員の盛況ならノリノリだが、ガラガラの会場ではテンション低くなってたのも事実だ。
北海道や九州なんかでの開催はチケットをかなり精力的にさばいてくれたのか、いつも大人数だった。ありがたいことだ。名古屋や静岡、岡山、広島なんかもこんな無名の俺のために結構集めてくれた。
逆に姫路で「講師のネームバリューがなくて人が集まらない」って講習を急遽代理でやった時は、さすがにガラガラだったけど、それでも代理店やメーカー、などが必死に勧誘したのかな、開始時間過ぎてから結構集まってくれた。
韓国でショーをさせてもらった時も、まぁよくもこんなに集めてくれたなぁって感激したことがある。ソウル・明洞ではそこそこだったけど、地方では大盛況。思わず予定にはないことやサービスで時間オーバーしてもやっちゃうよ。
大掛かりなドームツアーや各地で行われてるフェスなんかでも、小さなライブハウスやホールでも、NPOや地元が開催するイベントも、結局は集客努力
なのよね。
今はSNSやホームページなんかがあるからこれも活用されてるけど、結局は主催者側がどれだけ熱意があるかってことだ。
黒字なるか赤字になるか以前に、ゲストや客をどれだけ満足させられるかだ。満足させられないのなら開催しないほうがいい。ドタキャンでもそれはそれで仕方がないだろう。
だから、今回沢田研二がドタキャンした理由もなんとなく理解はできる。
彼ほどのスーパースターにはなったことがないから、本当に理解できるかといわれたらちょっと困るのだが、少なくともステージに立つ身となればちょっとはわかる気がする。
沢田研二は今の若い子たちには理解できないだろうが、美空ひばりと同じく昭和を代表するスーパースターだと思う。
先述の通り俺はタイガースをリアルタイムでは知らない。俺が知ったのはスパイダースの井上尭之とテンプターズの萩原健一、そしてタイガースの沢田研二という当時の人気バンド3人が組んだPYGが全然当たらず自然消滅した後くらいからだ。

井上尭之のバンドをバックに数々のヒット曲や名曲を送り出す。テレビや雑誌で沢田研二を見ない日はなかった。
当時オーケストラをバックに歌うのが当たり前だった芸能界で、沢田研二が貫いたこのバンド形式を西城秀樹が憧れたのもわかる。実際西城秀樹はSHOGUNの芳野藤丸さん(井上陽水の【夢の中へ】や石川さゆりの【天城越え】のギター)を口説いてバックバンドとして弾いてもらった。それぐらい沢田研二は当時の芸能界・歌謡曲界では画期的で異端児だった。
壮大なロッカバラードである「あなただけでいい」(当時にしては珍しくかなり即興的な演奏がされている)
ギターイントロがなんとも切ない「時の過ぎゆくままに」(ちなみにベースはこの曲まで岸部一徳だ)
レコード大賞受賞曲の「勝手にしやがれ」(サザンオールスターズがデビュー曲のタイトルでパクったのは有名。もう一つはピンクレディの渚のシンドバッド)
「憎みきれないろくでなし」「サムライ」「ダーリング」、アニメ映画「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち]のエンディングでいきなりこれが流れて涙した「ヤマトより愛を込めて」。そしてウイスキーを口にふくんで霧のように吹く「カサブランカ・ダンディ」まで作詞:阿久悠/作曲・編曲:大野克夫のコンビ。
このほとんどの曲を、今の40-60代の人は知っているし口づさめるだろう。ミリオン・100万枚売れてようが売れてなかろうが、昭和の曲ってそういうもんだ。実際沢田研二も中森明菜も美空ひばりも山口百恵も100万枚のセールスシングルは一枚もない。
糸井重里の歌詞を風を受けてパラシュート背負い歌ってた「TOKIO」(TMレボリューションの西川の風はこれのオマージュだと思ってる)のインパクト。この曲を最後に井上尭之バンドではなく、ALWAYS、EXOTICSとバックバンドが変わった。
「渚のラブレター」や歪んだギターがなんともかっこいい「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」「麗人」、「おまえにチェックイン」、「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」というヒット曲を経て、全曲井上陽水作詞作曲のMis.CASTを発表。(「背中まで45分」や「JUST FIT」は陽水もセルフカバーしてる)
この辺りからテレビの露出は著しく減った。
東芝EMIに移籍しての第一弾「灰とダイヤモンド」なんか名曲なんだがほとんど売れなかったんじゃないかな。作詞作曲は李花幻(いいかげんをもじった沢田研二のペンネーム)だが、これのせいで沢田研二は在日じゃないかんなって噂を立てられてる。(沢田研二は鳥取県生まれで京都の高校を卒業)
ちなみに1982年のアン・ルイスのヒット曲、ラ・セゾンは作詞は三浦百恵(山口百恵)で作曲は沢田研二だ。
その後事務所の独立やなんやかんやあって沢田研二は表舞台から姿を消した。
とはいえ舞台はやっていて、久々のCMなんかでいきなり太った姿を見せつけられてちょっとびっくり。上野樹里主演の映画『幸福のスイッチ』でも、最初沢田研二とは分からなかったくらいだ。
それでも2010年までは毎年新曲(シングル)を出し、精力的にライブツアーも行っている。
ただ気になるのは最近は反原発や、反政治的な発言が多いこと。ライブでも結構過激な発言してるよね。
今回の件でもさいたまスーパーアリーナ(会場側)が取材に対し、「沢田研二サイドに重大な契約の問題が発生したため」と説明したことを、沢田研二が普段コンサートで行っている反原発の署名運動をしない約束を破って、当日行おうとしたことが原因では?なんて燻がる人もいる。これも例によって関係者からの証言ってやつだが、こういった証言するやつの実名と所属・役職はマスコミは明記してほしいな。捏造とか憶測だってもうバレバレなんだからね。
ミュージシャンが社会的な発言するのとか、結構嫌う人がいるけど俺は構わないと思うのよ。
松山千春が政治的なこと言おうが、彼の歌には関係ない。RCサクセションがCOVERSで原発非難しようが、斉藤和義が福島でセルフカバーで「ずっと嘘だったんだな」を歌おうが問題ない。愛だの恋だの、君だけをとか甘ったるい浮ついた歌詞の曲より、メッセージぶっこんだプロテスタントソングの方がよっぽどいい。反戦フォークで育ち、クラッシュやアナーキーでパンクに目覚めた俺にとってはね。
社会的なことを歌わず「産んでくれてありがとう」とか心地いい言葉を乗せる似非ラッパーより、インスタントな愛だの恋だのをバラードで歌う歌姫とかよりも、思ったこと、感じたことを歌詞にし、唄う人たちのほうがかっこいい。もちろんそれは全然セールスに結びつかないんだがね。
沢田研二は2011年の東北大震災へ鎮魂の意味をこめて2012年の3月11日に「3月8日の雲」という曲を発表してる。
これをどうこう言う奴がいるならThe BLUE HEATSの「チェルノブイリ」も批判してくれ。ミスチルの桜井がBank Bandでカバーした浜田省吾の「僕と彼女と週末に」も批判してくれ。
沢田研二は1979年に公開された映画『太陽を盗んだ男』で、原子爆弾を作る理科教師の役を演じてる。
「シン・ゴジラ」でもモチーフされてたこの傑作を観てから、論じてくれ。
話があっちゃこっちゃに行ってしまった(いつものことだが)10月21日は大阪SAYAKAホールでのライブがある。
こちらはちゃんと開催できるのか。ファンなら急げ。まだチケットはあるぞ。

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