高倉健さんの映画

また一人、昭和の名優が逝かれた。
高倉健さん。
奇しくも森繁久彌さんや森光子さんと同じ日に亡くなられたらしい。
ネットには各界の著名人、俳優の追悼コメントが溢れてる。

高倉健さんと言えば任侠もの。
昭和の時代、深夜営業してたのはスナックと吉野家とラーメン大学くらいしかなかった。
それとオールナイトの映画館。ポルノ映画か任侠ものしか上映してなかった。
ヤクザ映画はだいたいいつも同じパターン。
流れ者のヤクザが、世話になった親分や兄弟分のために、長ドスひとつで敵対組織に殴り込みにいく。
そして又、さすらいの度に出る結末。
Vシネマが出てくる迄、ヤクザ映画はこのパターンだった。
この流れ者とか訳ありとかのヤクザを高倉健さんが演じるんだけどとにかくかっこ良かった。
映画館を出る時は全員健さんになりきってた。ちょっと笑えるくらいにみんな寡黙で背筋真っ直ぐ。
多分その中には本物のやくざさんもいたと思うけど、健さんの網走番外地シリーズや昭和残侠伝シリーズ観た後は
「よし、これからは真っ直ぐな極道になろう」と思ったはず。（多分）

寡黙でタフ=高倉健ってイメージはいつから出来たんだろう。
ゴルゴ13のデューク東郷も高倉健さんがモデルという話もあるのも納得。
実際プライベートや撮影時のエピソードでもほんと真っ直ぐな人だったんだって思える話がいっぱい。
（撮影休憩時に椅子に座らないとか、共演者と同じ食事しか食べないとか、気遣いとか）
TVドラマ「傷だらけの天使」で萩原建一が子供の写真を周りの人に見せて
「可愛いだろう、高倉健の健に菅原文太の太で健太」って毎回言ってたのを何故か思い出した。

健さんは任侠映画のあと、日本の名作と呼ばれる映画に多数主演してる。
ラストシーンが感動的な「幸福の黄色いハンカチ」
薬師丸ひろ子のデビュー作となった「野性の証明」
過酷なロケをしたに違いない「八甲田山」や「南極物語」
松田優作の遺作となった映画「ブラックレイン」
「あ・うん」「居酒屋兆治」「鉄道員（ぽっぽや）「駅（STATION）」
ハードな物から淡々と描かれる人情ものまで幅広いジャンルの映画に出演されてた。
拙い記憶だけでこのくらい思い出せたから、wikiとかで調べたらもっと出てるんだろうな。
っていうか、今迄気にしてなかったけど、健さん主演の映画を結構見てたんだなぁとあらためてビックリ。

映画スターと呼べる人はもう吉永小百合さんだけになってしまったなぁ。